お風呂で溺死したら異世界転移!? まぁ、なんとかなるか!!

鯨クジラ

文字の大きさ
13 / 32

13話 世間でいう馬鹿が私

しおりを挟む
 シャルネさんにここ最近の出来事を順を追って説明していった。

 ここ数年の旅から観光にシフトチェンジして、そこからまた冒険者として復帰しようとしてること、今回の行き先で自分と同じ高ランクの冒険者に出会ったこと、もしかしたら獣人の養子として迎え入れられるかもしれないこと。

 そして、結果的には処理したとはいえ何もないはずの平野にバクキード(もぐら)が現れその魔石が有り余っているから研究に使うかギルドを媒介せずに売却する方法などを聞いた。

 魔石に関してはシャルネさんが即買いで半分以上を買い取ってくれた。

「こ、こんなに純度の高い魔石を破格で手に入れられるなんてっ…………!! レーナはやはり女神の化身なのでは…………?」

「いや、あの女神と一緒にされたくない」

 思わず素で返したら、いまなんか凄く女神に騒がれてる気がする。

 知らんけど。

「でもまぁ、これは本当に私が持っていても持て余すのは確実だったから貰ってくれるとむしろ助かります」

「はわぁ……あの地中の恐怖を即死させるなんて…………」

「あ、よく分かりましたね? あんまりガナス平野の被害区域広げたくなかったのでわりとすぐ処理しました」

「魔獣の始末が早く、なおかつ適切な対処が出来ているほど魔石の純度が高まり、腕のいい冒険者が処理したものだと一目で分かりますっ……」

「野菜の鮮度とかと似てますよね」

「案外魔獣もデリケートな部分がありますからね……ですがまだ魔獣や魔物、その他のモンスターについての研究が追い付いてないのが現状です…………そ、その分俺は薬学や魔法を通じてなにか社会に貢献してなにか結果を残したいって思ってるのに……ずっと、無理で…………」

「いやいや、この村の魔法薬学の第一人者で日々いろんな研究で成果上げてるだけでも充分すぎるくないです?」

「だ、だから! そういうのも全部、全部レーナさんのお陰なんですぅッ……お、俺はあなたの知恵を借りて……り、利用して…………ぅっ……うぅっ…………あなたをずっと、騙してることになるかもってぇ…………」

 彼の情緒が不安定なのはいまに始まったことではない。

 魔薬師として、魔法薬学に精通した学者としては大変優秀な彼だが、なんせ本当に自信のなさが目に余る。

 私は何度も気にしてないと伝えるはずなのだが、何かが彼のポリシーに反するらしく幾度となく慰めてきた。

 これじゃどっちが教えを説いて貰ってるか分からないなぁ。

「あー、ごほんっ……話し戻しますけど、情勢に疎い私ですら耳に入ってきたんですけど、SSSランクの冒険者探してるってやつ、それ……もしかしなくても私ですよね? なんだってまた」

 問題がこれなのだ、この数年もうホン~~~ットあっちこっち行ったり来たりで飛び回って、逆に滞留してお仕事体験(笑)的なことしてみたりと忙しなかったから気にも止めてなかったが、あちこちでSSS冒険者捜索~って話を耳に挟んで私は普通に他人事で、なんだなんだ冒険業サボってる高ランク馬鹿いるのかあははっと笑ってたのだが、この間囁く切り株亭を出発してわりとすぐに町の号外で大国ガウル王国を筆頭としたその他の国々が大手を挙げて"SSSランクの冒険者、ローイズ・ウィリアン探し求む"って大々的に出されてて二度見どころかガン見したよね。

 私じゃねぇかっ!!?!!?!?
 ……って。

 いや、いやいやいやっ!!!!

 こっちだってやりたいことっていうか、趣味でむしろ冒険者やってたくらいだし??

 他の手に職付けたかったしおすしぃ~~~????

 まぁ、世間でいう馬鹿が私だってことを自覚したところで、この間までギルド直行~~~っ!!とか息巻いてたけど、ちょっとばかり気が重くなり(というか、めんどくささが勝り)、とりあえずシャルネさんのとこに相談という名の現実逃避に来た訳である。

「………………? ……??? えっ、、~っと……れ、レーナ…………あなた、分かってて世界各国飛び回っていたのでは…………? というか、こう……新人冒険者であるあなたの名を広めるための旅だとばかり俺は思って…………」

「えっ!?!? うそうそ、知らないですよそんなの。 というか、シャルネさんは知ってたんですか? いつから?」

「えっ、えっ……え!!?!? あっ、えっと……ほ、本当にご存じ無かったんですかぁ!!?! …………レーナさんがこう、いきなり『ちょっくら温泉いってきまーす!!!!』って言ったっきり連絡が半年ばかり跡絶えた辺りですけど……」

 ・ ・ ・ ・ ・ ・

「……………………ん~~~っと? あー、アステマ温泉だっけ? ルゥーマ温泉、いや……バッシュオ温泉かな…………あー、まぁ…………うん、1年……2年前かな……?」

「3年前です、あとマクゥーオ温泉です」

「マジ?」

「ま、マジです…………」

 確かに成り上がりもいいとこで無茶苦茶に日々任務と討伐、依頼をこなす日々が嫌になり自棄を起こして唐突に国を飛び出た記憶はある。

 そこからとある島国の温泉街に行って心身休めた記憶もある。

 リフレッシュと気分転換も終わって、そこから私は貯蓄もあったし、心にも余裕が出来たからこの世界の仕事や普通の暮らしをしてみたくて、農業が盛んな村にお世話になりながら畑の手伝いをしたり、海の近い貿易が盛んな町では食堂の補助や卸売業の見習いをしてみたり、スキルにもある衣類生成を活かすのに服飾系の仕事をしてみたり、その他にも色々数えきれないくらい色々やってきたから案外月日が経っていてもおかしくない。

 というか、月日が思ったより経っていたからギルドに更新しに行こうとしてたんだけども__

「いや、でも5年以下なら罰則もなかったから別によくない? 本人の自由意思だよ」

「で、でも……要は5年に一度開催される世界的な冒険者の大会と祭典に参加してほしいらしいですよ……?」

「なにそれ、オリンピック的なやつですかね?」

「お、おりん…………? よく分からないですが、各国の実力ある冒険者たちの大会です。 滅多に集まることのないS~SSS持ちの冒険者が勢揃いするとかで大騒ぎで……最近その話で持ちきりですよ…………というか、あと大会まで半年もないですし……主催国であるガウル王国が血眼になってレーナを探してますよ、どうするんです?」

「まってそんなん知らんし、むしろこっちが聞きたいわ。 どうするんですかこれ」

 お互いがお互い、いままでの認識の齟齬に対し部屋が重苦しい雰囲気になる。

 マジ、どうすっかな……この状況。

 自身が置かれてるこの状況が思っていた以上にややこしくなっており、いっそ気絶でもして意識を飛ばしてしまいたい玲奈だった。
しおりを挟む
感想 16

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

『異世界に転移した限界OL、なぜか周囲が勝手に盛り上がってます』

宵森みなと
ファンタジー
ブラック気味な職場で“お局扱い”に耐えながら働いていた29歳のOL、芹澤まどか。ある日、仕事帰りに道を歩いていると突然霧に包まれ、気がつけば鬱蒼とした森の中——。そこはまさかの異世界!?日本に戻るつもりは一切なし。心機一転、静かに生きていくはずだったのに、なぜか事件とトラブルが次々舞い込む!?

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。

カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。 今年のメインイベントは受験、 あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。 だがそんな彼は飛行機が苦手だった。 電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?! あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな? 急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。 さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?! 変なレアスキルや神具、 八百万(やおよろず)の神の加護。 レアチート盛りだくさん?! 半ばあたりシリアス 後半ざまぁ。 訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前 お腹がすいた時に食べたい食べ物など 思いついた名前とかをもじり、 なんとか、名前決めてます。     *** お名前使用してもいいよ💕っていう 心優しい方、教えて下さい🥺 悪役には使わないようにします、たぶん。 ちょっとオネェだったり、 アレ…だったりする程度です😁 すでに、使用オッケーしてくださった心優しい 皆様ありがとうございます😘 読んでくださる方や応援してくださる全てに めっちゃ感謝を込めて💕 ありがとうございます💞

誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!

ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく  高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。  高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。  しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。  召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。 ※カクヨムでも連載しています

私が美女??美醜逆転世界に転移した私

恋愛
私の名前は如月美夕。 27才入浴剤のメーカーの商品開発室に勤める会社員。 私は都内で独り暮らし。 風邪を拗らせ自宅で寝ていたら異世界転移したらしい。 転移した世界は美醜逆転?? こんな地味な丸顔が絶世の美女。 私の好みど真ん中のイケメンが、醜男らしい。 このお話は転生した女性が優秀な宰相補佐官(醜男/イケメン)に囲い込まれるお話です。 ※ゆるゆるな設定です ※ご都合主義 ※感想欄はほとんど公開してます。

【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)

かのん
恋愛
 気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。  わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・  これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。 あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ! 本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。 完結しておりますので、安心してお読みください。

異世界は『一妻多夫制』!?溺愛にすら免疫がない私にたくさんの夫は無理です!?

すずなり。
恋愛
ひょんなことから異世界で赤ちゃんに生まれ変わった私。 一人の男の人に拾われて育ててもらうけど・・・成人するくらいから回りがなんだかおかしなことに・・・。 「俺とデートしない?」 「僕と一緒にいようよ。」 「俺だけがお前を守れる。」 (なんでそんなことを私にばっかり言うの!?) そんなことを思ってる時、父親である『シャガ』が口を開いた。 「何言ってんだ?この世界は男が多くて女が少ない。たくさん子供を産んでもらうために、何人とでも結婚していいんだぞ?」 「・・・・へ!?」 『一妻多夫制』の世界で私はどうなるの!? ※お話は全て想像の世界になります。現実世界とはなんの関係もありません。 ※誤字脱字・表現不足は重々承知しております。日々精進いたしますのでご容赦ください。 ただただ暇つぶしに楽しんでいただけると幸いです。すずなり。

処理中です...