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第1章 砂都の夜明け
灰白の囁き
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その夜――風は完全に止み、月すら雲の奥に隠れていた。
屋根裏の天窓から差し込むはずの微光も閉ざされ、フィアの視界は欠片の仄かな光だけに支配されていた。
革鎧を脱いで横たわりながら、彼女は結晶を手のひらに転がした。
それは温度を持たず、ただ、脈を打つように時折光を放っていた。
(やっぱり……生きてる、みたい)
彼女は目を閉じる。
すると、欠片の脈動が心拍と重なり、まるで内側から囁きが届くような錯覚に陥った。
──フィア……
その声は、言葉にならぬ音でありながら、確かに彼女の名前を呼んだ。
性別も、年齢もわからない。けれど、誰よりも彼女を“知っている”響きだった。
(あなたは……誰?)
問いかけると、灰白の光が強まった。視界の裏に、逆さまの神殿と、裂けた大樹の幻が映る。
その枝の隙間から、夜風のような囁きが再び届いた。
──まだ、君は君だよ。
涙が、不意にこぼれた。
何に悲しんでいるのかわからないまま、彼女は胸元で欠片をそっと抱き締めた。
その夜、風の代わりに“囁き”が世界を撫でた。
誰も気づかぬその変化が、七つの界の歯車をわずかにずらしていた。
屋根裏の天窓から差し込むはずの微光も閉ざされ、フィアの視界は欠片の仄かな光だけに支配されていた。
革鎧を脱いで横たわりながら、彼女は結晶を手のひらに転がした。
それは温度を持たず、ただ、脈を打つように時折光を放っていた。
(やっぱり……生きてる、みたい)
彼女は目を閉じる。
すると、欠片の脈動が心拍と重なり、まるで内側から囁きが届くような錯覚に陥った。
──フィア……
その声は、言葉にならぬ音でありながら、確かに彼女の名前を呼んだ。
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(あなたは……誰?)
問いかけると、灰白の光が強まった。視界の裏に、逆さまの神殿と、裂けた大樹の幻が映る。
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──まだ、君は君だよ。
涙が、不意にこぼれた。
何に悲しんでいるのかわからないまま、彼女は胸元で欠片をそっと抱き締めた。
その夜、風の代わりに“囁き”が世界を撫でた。
誰も気づかぬその変化が、七つの界の歯車をわずかにずらしていた。
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