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逃れられない運命
しおりを挟む「そっかー。じゃあ、転校生はだいぶ面倒な奴が来るってことか」
「『王道学園』の主人公はタイプは色々あるみたいだけど、共通してるのは『学園の中を引っ掻き回す問題児』ってことらしい。つまり、めちゃくちゃ面倒な奴ってことだな」
「タイプ……って、どんなん?」
「ええと、姉さんが言ってたのは、天然ビッチとか、鈍感な元気少年とか……って、え。まさかお前が主人公?」
「なんで俺が!!!?」
だってお前、天然で鈍感だし、すぐ人を惚れさせるし、元気でうるさいじゃん。
「主人公は転校生って話じゃなかったのか!?」
「んー……まあ、たしかにそこは疑う余地なし、かな。ていうか、お前が主人公だったら同中の俺は確実にモブじゃなくなるし、それは困る」
「だろ?俺は関係ないって」
ほっとしたような黒柳には申し訳ないが、たぶん関係なくはないと思う。
主人公がいるからには、そいつと恋に落ちる登場人物がいるはずだ。
ゲームであれば攻略対象と呼ばれるであろう存在が。
そして、それはたぶん────。
「……たぶん、黒柳は主要キャラだと思うんだよな」
「は?」
「いやだって、『王道学園』で主人公とイチャイチャするのは生徒会メンバーがテンプレだ、って姉さん言ってたし」
「はぁ!!??」
「しかもこの学校、『役職持ち』とかいういかにもそれっぽいのがあるじゃん。たぶん、主要キャラは『役職持ち』だ。
……お前、『役職持ち』だろ?」
「いやいやいや!ないって!生徒会っていったって、書記だぞ!?書記とか在って無いような役職だろ!そんなのモブだよモブ!」
「在って無いような役職って……それ本人が言っちゃっていいのか?」
「それより自分の身が大事だ」
まあ、保身に走りたい気持ちはわかる。俺だってそうだし。気持ちはすごく分かるんだけど……残念ながら、黒柳は主要キャラで間違いないだろう。
「……まあ、付き合うことになったら、相談乗るよ」
「いや、付き合わねえよ」
「男同士だと色々大変なこともあるだろうけど、なるべく協力するから……」
「だから、付き合わねえって!!」
……ほんとかなぁ?
条件的に黒柳は明らか主要キャラだし。
このホモだらけの学園じゃ、流されて男同士で──という可能性は十分にある。黒柳って能天気だからすぐ流されそう。
できれば友人である男の性癖が歪むところはあまり見たくないけど、これはもう王道学園の運命に身を任せるしかないんじゃ────。
「俺は男とどうこうなるなんて絶対にごめんだよ!!!」
「だよな!!!!そうだよな……!よく言った、心の友よ……!」
「伊織……!」
ガシッと固く手を取り合って握手をする。
俺が間違ってた。お前は味方だ。
これからも、この先も……!
え?手のひら返しが早い?
なんのことですか???
ーーーーー
「でもやっぱ怖いから、学校ではあんま話しかけないで」
「えー、なんで」
「お前といると目立って嫌なんだって」
「伊織は俺といなくても目立ってるぞ?」
「さらに目立つから嫌なんだよ!」
そもそも俺が目立っているのは外部生だからであって、男にモテている黒柳と一緒にしないでほしい。
「伊織の目立ちたくないって気持ちもわかるけど、俺だって伊織に話しかけたいの我慢してるから、これ以上は譲れない」
「いやいや、毎日昼休みと下校の時に話しかけてくるじゃん。え、我慢してアレ?」
「当たり前だろ!本当だったら休み時間の度に伊織のクラスに行きたい」
「それは絶対やめてくれ」
生徒会メンバーは、ほとんど生徒会室で仕事をしているから出現率SSRみたいなもんだぞ。
軽率に顔を出したら死人が出る。
「えーもう全部ダメじゃないか!話しかけるのも教室行くのも名前呼ぶのもダメなのかよ!せめて『伊織』って呼ばせて……」
「お前それが本音だろ。でもそれが一番ダメだからな!?」
「えぇぇ……。じゃあ、俺のこと『悠矢』って呼んで」
「はいはい、ゆうやゆうや」
「適当!!!」
顔を手でおおって泣き真似をしている黒柳を呆れた目で見て、ため息を着く。
「別に、学校で話しかけるなって言ってるだけで、こうやって部屋に来る分には問題ないからさ……」
「まじで!?!?」
途端にさっきまでの落ち込み方が嘘のように笑顔で迫られて、『やられた』と思った。
「やったぁ、じゃあこれからも仲良くしような?ってことで、まずは二人で夕飯食べに行こう!食堂へレッツゴー!!」
「…………」
ぐいぐいと引っ張られる腕に遠い目になりながら、俺は諦めて身を任せる。
人生諦めが肝心ってな。
(こいつ、天然の皮を被った策士なんじゃないか……?)
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