滅亡への道

キラ

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王家の悩み

なんとか無事に王太子の挙式が終わった。

二人は王宮に設えた館で暮らす事になり、いまは結婚式を終えて、館にいる事だろう。

問題はナターリアの実母だ。

ナターリアの養女先が見つからなかったので、実母との縁が切れない。

今日の結婚式て着ていた母親のドレスも、品が無い。
王妃が、扇で口元を隠しながら、

「水商売のような女ですわ」

呟いでいた。

式典だと言うのに、胸の大きく開いた、派手な色のドレスを着ていた。

招待されていた貴族の夫人は皆、おとなしく地味な色の、首元が閉まったドレスを身につけて、アクセサリーも一つだ。

何よりも花嫁以上に目立つてはいけないのだ。

時と場所を考えられないのか、、、。
全く。

披露宴ならばまだしも、今日は教会での結婚式だ。

結婚式で着るドレスがないと、喚き散らしていると言うので、何処ででも作るように言えば、この始末だ。

確か実家は伯爵家で、嫁ぎ先は男爵家だったと思うが、、、家での教育はどうなっていたのか、、、。

頭の痛い結婚式がやっと終わり、王宮の居室に帰ってきた所だったが、今度は、王妃から息子の嫁の親の愚痴を聞かされる。

「まあまあ、これから顔を合わせることもないのだから、、、」

そう言って妻を宥めた。

そう、顔を合わせることなど無いはずだった。


翌日からナターリアの王太子妃教育が始まった。
子が産まれたら、しばらくの間は教育も休まなければならない。

ひと月後の披露宴の時の、マナーだけでも覚えてもらわなければ、恥をかくのは王家だ。

ダンスに、パーティ会場での食事のマナー。
挨拶の仕方、挨拶を受ける順番と覚えてもらう事は山ほどある。

結婚式後の、蜜月はどうなるのだと、リオナ殿下とナターリアが宰相に詰め寄ったが、披露宴顔終わってからにしてくださいと、冷たく突っぱねた。

ナターリアに披露宴のマナーを覚えてもらうことの方が蜜月よりも優先だ。

それに蜜月など過ごさなくても、既に子を孕んでいる。
アレは子を作るためであって、楽しむのは二の次だ。

そう言って始まった王太子妃教育だったのだが、、、
教育係は食事の作法からつまずいた。

テーブルに出された物を、食べる順番さえ知らない。

フィンガーボールの水を飲んだり、ナフキンで、テーブルの上にこぼした物を自分で拭いたり、果ては落としたスプーンを自分で拾ったりと、目も当てられない。

ダンスを踊らせてみれば、ステップさえ知らなかった。

披露宴はひと月後。
一曲だけでも覚えさせるために、皆が必死になって教えた。

結局、簡単なワルツを一曲覚えるのがやっとだった。

パーティの間は、軽食といえど飲食はさせないと言う事に決まった。



王家のパーティの一週間前、
アルバンスとカタリナの結婚式が、街の小さな教会で執り行われた。

出席者は、両家の両親と互いの友人が数人。
静かで、厳かな結婚式だった。

印象に残ったのは、アフバンスがにこやかにカタリナを見つめる姿だった。

「アルバンス、カタリナ結婚おめでとう!」

親友のマリナが、カタリナの投げたブーケを手に持ち、笑顔で祝福した。

「ありがとう、マリナ、次はあなたの番ね」

マリナは半年後に結婚を控えている。
相手は隣国の公爵家の嫡男。
父親と共に外交官をしている。

そう、マリナは他国に嫁ぐのだ。
嫁いで仕舞えば、なかなか会える時はなくなる。

「ええ、結婚式は向こうでになるけれど、二人で来てね」

「勿論よ、ねぇアル」

「あゝ」

結婚式の後は、教会の庭で簡単な披露宴をした。

公爵家の嫡男と、侯爵家の長女の結婚式にしては地味だったが、二人はそれを望んでいたし、皆が和気藹々と楽しい披露宴だった。

カアリナは一人娘で、嫁に出すと後継がいない。

アルバンスは、産まれた子供を養子に出すと約束して、カタリナを迎えた。

「カタリナ、、、」

「ん?」

「マルクレッド侯爵家の為にも、子供沢山つくろう、、、な」

アルバンスがカタリナの耳元で囁いた。

途端、カタリナの顔は耳まで赤くなった。

今夜の事を想像してしまった。

「「全く。突然何を言い出すのかと思ったら」」

手でパタパタと顔を仰ぎながら、アルバンスを睨んだ。

彼はイタズラが成功したような顔をしている。

夕方最後の客を見送り、義両親と共にクレーヌ公爵邸に戻った。

「食事は?」

義母が尋ねた。

「あ!私はお腹がいっぱいなのですが、、、どうしますか?」

アルバンスを見て尋ねた。

「あ、私も今はいらない、あとで腹が減ったら厨房で何か探します」

「そう、わかったわ」

エントランスで義両親と別れた。

彼らの部屋は、テントランスから右の階段を上がって直ぐの場所にある。

カタリナとアルバンスの部屋は、反対側の階段を上がって、少し歩く。

元々アルバンスの部屋だった所を改装したと聞いた。

大体の貴族の夫婦の部屋は、妻の部屋と夫の部屋の間に寝室がある。
どちらの部屋からも入れるようになっている。

もちろん普通は、各自の部屋にもベッドは置いてあるが、アルバンスは寝室は一緒が良いからと言って、私の部屋にも彼の部屋にもベッドはない。

「蜜月が無いのは少し寂しいな、、、王家の披露宴が終わったら、新婚旅行に行こうか?」

部屋に戻りながらアルバンスが話す。

「え、でもマリナの結婚式が隣国であるので。その時でもいいんじゃない?
少し長めにお休みもらって、私、隣国には行った事ないから観光もしてみたい」

「あゝ、、それも良いかも」

話しながら、、互いの部屋に向かった。

「じゃあ、後で、、、奥さん」

アルバンスはそう言うと、カタリナを引き寄せ、額に軽くキスをした。

慣れない、、、、一週間前に、ここに来てから毎日こんな調子だ。

朝晩に、出かける時に、頬だったり、額だったり、彼はかならずキスをする。

慣れない、いつになったら慣れるのか?
永遠に慣れないような気がする。

アルバンスにキスをされた額を手で撫でながら、自室に入って行ったカタリナを待っていたのは、侍女のアラタだ。

「待っていましたよお嬢様!」

言うが早いか、カタリナのドレスを剥ぎ取るように脱がすと、バスルームへ押し込んだ。

身体中を洗われると、次は香油を垂らした風呂の中へ押し込まれ、ピッカピッカに磨かれた後、見たこともない服を着さされた。

ピランピランの薄い寝巻きは風邪をひきそうだ。

「アラタ、これ着て寝ると、風邪をひきそうだわ」

自分の心に正直に話す。

「はあ?今夜はこれで良いんです、さぁ、いってらっしゃい」

背中を押されて、寝室のドアを開けた途端、
ドアの前で腕を広げて待っていたアルバンスに抱きしめられた。

驚いて声も出なかつた。










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