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武器・防具は何にしますか

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 ミサキとマイアの二人は王都の武具店に来ていた。
 ミサキは武具が並ぶ棚を見つめながら唸っていた。

「姐さんっ、これとかどうですか!」

 キラキラとした目でミサキが手に握っているのはトゲが何本も生えている肩当て。

「……ミサキ、やめときなさい。うん」
 ミサキは少ししゅんとした後、肩当てを棚に戻し別の物を手に取り目を輝かせていた。

「ミサキ、この前の魔石の話をしましょうか」
「魔石? 確か【火】【水】【風】【土】の4種類があって、それぞれ赤、青、緑、黄の色をしているでしたっけ?」
 
「そうよ。それでね、魔石を使うときには魔力を流す必要があるの」
「魔力?」

「そう、魔力。まず月の光には魔素が含まれていて、この世界アルカディアに住む生物は体に魔素をため込むことができる。それでね、このため込んだ魔素の量を魔力と言うの」
 うんうんと頷くミサキの目は棚の武具に釘付けだ。

「……ちょっとミサキ、聞いてるの?」
「は、はい、聞いてますよ。確か……魔素が魔力で、それを……流す?」

「うっ、大体はあっているわね。話を聞いているのか聞いていないのか……もう」
 説明していたマイアも武具を手に取りながら片手間に話を続ける。

「その魔力を魔石に流すと、各性質が発揮されるの。例えば【土】の魔石を使った防具に魔力を流せば強度が高くなる。使い道は広いわね。剣に【火】の魔石を付与して燃える剣にする人もいるし――」

「火の剣⁉ じゃ、じゃあ、風の魔石を靴に使えば、飛べるんですか!!」
 どうやら何かがミサキの琴線に触れたようで、興味の目をマイアに向ける。

「た、単純に考えればね。まあ、空を飛ぶとなると相当な魔力量が必要だけどね」
 ほうほう、と聞いていたミサキは虚空を見つめ空想にふけっている。

「あはは、いいこと思いついた! 店員さん、こういうのってできますかぁ」

 ミサキはどうやら思いついた武具について店員と相談をしていた。

「じゃあ、そういうことで。また取りに来ますね」
 そう言って店員に手を振るミサキ。そんな彼女を覗き込むマイア。

「何を話していたの?」
「内緒でーす」
「……なによぉ、教えてくれてもいいじゃない」

 にししと笑うミサキは嬉しそうにスキップしていた。
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