元ヤンは公爵令嬢の姐さんに一生ついていきます

桜杜あさひ

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魔力の器が大きいようです2

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「この感じ。強くなった気がします!」
 ミサキは魔素を集めることに成功して喜んでいた。
 拳を前方や上方に突き出していたり、脚を振り回しているが何も起こらない。

「魔力として体にたまったようね」

「その、姐さん。ひとつ気になったんですけど、魔素と魔力って何が違うんですか?」
 ふと湧き上がる疑問をぶつけてみたミサキ。

「そうね。簡単に言えば、魔素はただ漂っている粒子。そして、それを体に取り入れることで流動性を持ったものが魔力といったところね。わかったかしら?」

「んー、なるほど。つまり流動性を持った魔力だから魔石に流し込めるってことですね?」

 マイアは少し驚いた顔で、
「ええ、そうよ。……ミサキって本当は賢いわよね。行動はあれだけど」

「なんですかーそれ。あたしだってちゃんとしてますよ?」
 どうかしらね、と微笑むマイア。

「む、じゃあ次! この魔力を使ってみたいです」

 やる気ある一言にマイアはこほんと一息つき、
「じゃあ、魔力の使い方について説明するわよ。実は魔力には2つの使い方があるの。一つはもう教えたけど魔石に流してその性質を利用するというもの。そしてもう一つは体を強化する使い方よ」

「体を強化?」

「そう。さっき魔力は流動性があることは話したわよね。体の強化はそれを利用するの」
 ミサキはほうほうと頷く。どうやら興味津々だ。

「魔素を体の中で感じた時は点として感じられたと思うけど今は魔力として塊のように感じられるわよね。その塊を体の隅々までまんべんなく循環させる。それだけで基本的な身体強化はできるわ」

「さっそくやってみます!……おおっ!確かに強そうかも。なあ、アメリア。ちょっと殴ってみてもいいか?」
「ふん、いやですよ!ミサキさんは自分を殴っていたらいいじゃないですか」

 どうやら魔素の収集を得意気に披露したことをスルーされたのが気に食わなかったらしい。
 アメリアはご立腹だ。

「……あはは、そんなこと言うなら、こうだぞ!姐さんっ」
「ええ、わかったわ!」

 そんな息ぴったりの合図を交わし、ミサキが身体強化された体でアメリアの体を抑え、マイアは容赦ない手つきでアメリアの胸を揉みしだく。絶妙なコンビネーションだ。

「ひゃっ! ちょ、2人とも、や、やめてくださいぃ!」

 叫ぶと同時にアメリアは信じられない力でミサキの腕をはじき、これまた信じられない速さで2人の魔の手からすり抜けた。

「ふぇ? いま何が起こったんだ?」
 あまりの出来事に戸惑うミサキ。マイアは慌てることなく説明を加える。

「今のが魔力の応用的な使い方ね。魔力を高速で循環させて体の動きを速くする『超高速化』。そしてある部位に魔力をためて、爆発させるように使う『部分強化』よ。どちらも高等技術だけどね」

「そうなんですか……。すっげ……あれ?でも、あんなん使えるならアメリアはなんで今までは胸を揉んでも逃げられなかったんだ?」

 頬を赤くしてアメリアは答える。
「はわわわわ、いつもは魔力をためていなかったからですよ。ほんとにですよ⁉」

「アメリアはね、魔力操作に関しては天才なの。ミサキも彼女に教えてもらうといいわよ」

「はわわわわ、ミサキさんを教えるなんていやですぅ」
「そんなこというなよ、アメリア。今度こそがっちり捕まえてやるぜ?」

 もう一度、はわわわわという言葉がくることを予想していたミサキだったが、アメリアがとった行動は違った。

「お、おい。アメリア、やめろ、その魔力をためた右手をどうするつもりだ! や、やめてええええええええ!!」

 あはははははという笑い声とともにアメリアはミサキを追いかけまわした。

「魔力ためるとあの子も怖いのよね」
 そんなことをつぶやくマイアだった。


 

 
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