81 / 123
81
「時間だな、そろそろ行こう。」
そう言ってローイはわたしの額にキスをして腕を差し出して来た。
わたしは笑顔で彼の腕に手を回して会場へと向かった。
道中には、チア達も清掃をして待っていてくれた。
わたしが頷くとチアもラリアも、トアも汲み取るように頷いてくれた。
会場のドアの前に到着すると、先に来ていたケイン様が私たちを待っていた。
わたしがお辞儀をすると、ケイン様はじーっと見ていたかと何も言わずに前を向いた。
「デロイド侯爵様と皆様が入られます!」
扉で控えてる使用人の声掛けで扉が開いた。
私達は一歩一歩前へ進んだ。
上から今日の来賓者達を見た。
かなりの数にめまいがしてしまいそうなほど緊張してくる。
ローイはわたしの様子を察して、腕越しに大丈夫だと励ましてくれる。
わたしもうなずき片方の手を添えてそれに答えた。
「皆、今日は集まり頂き感謝する!心ゆくまで楽しんでくれ。」
ローイの第一声に拍手が湧き起こる。
私もローイの婚約者候補という形で皆に挨拶をして廻る。
友好的に接してくれる者もいれば、否定的な態度を隠さずこちらを値踏みする者もいる。
そんな人たちを笑顔で対応していた時だった。
少し向こうの方で悲鳴が聞こえて来た。
ローイと顔を見合わせて、近づくと2人の令嬢が何やら揉めているようだった。
片方の令嬢は座り込んでおり、その上ドレスには、飲み物のシミがついていた。
その光景を見ていた時ふと視線を感じその先に顔をやるとケイン様がこちらを試すように見ていた。
ローイもその視線に気づいていた。
私達は暗黙の了解のようにお互いのすべき事のため行動した。
「大丈夫ですか?替えのドレスをご用意しております。ご令嬢をお連れして…。」
近くのメイドにお願いをして、わたしは目の前のご令嬢に向き合った。
「なぜこのようなことになられたのでしょう…?」
大抵の予想はついている。
やられた令嬢に嫌悪してこのような嫌がらせをしているのだろう。
会場に出ればよくある話だ。
でもこの主催は、ローイを代表しての私だ。
ここで騒ぎを起こすということはデロイド侯爵家を貶めているのと同じになる。
それを許すわけには行かない。
「リチア様、お騒がせして申し訳ございません…。突然令嬢が近寄って来た為避けることもできず…。」
しおらしく答える令嬢にわたしは鋭い視線を送った。
「本当に…?あなたから仕掛けたのではなくて?」
わたしの返答に令嬢を目を見開くと泣きながら声を荒げた。
「ひどいです!なぜそのような事を言うのです!何か証拠があるのですか!?」
そう言ってローイはわたしの額にキスをして腕を差し出して来た。
わたしは笑顔で彼の腕に手を回して会場へと向かった。
道中には、チア達も清掃をして待っていてくれた。
わたしが頷くとチアもラリアも、トアも汲み取るように頷いてくれた。
会場のドアの前に到着すると、先に来ていたケイン様が私たちを待っていた。
わたしがお辞儀をすると、ケイン様はじーっと見ていたかと何も言わずに前を向いた。
「デロイド侯爵様と皆様が入られます!」
扉で控えてる使用人の声掛けで扉が開いた。
私達は一歩一歩前へ進んだ。
上から今日の来賓者達を見た。
かなりの数にめまいがしてしまいそうなほど緊張してくる。
ローイはわたしの様子を察して、腕越しに大丈夫だと励ましてくれる。
わたしもうなずき片方の手を添えてそれに答えた。
「皆、今日は集まり頂き感謝する!心ゆくまで楽しんでくれ。」
ローイの第一声に拍手が湧き起こる。
私もローイの婚約者候補という形で皆に挨拶をして廻る。
友好的に接してくれる者もいれば、否定的な態度を隠さずこちらを値踏みする者もいる。
そんな人たちを笑顔で対応していた時だった。
少し向こうの方で悲鳴が聞こえて来た。
ローイと顔を見合わせて、近づくと2人の令嬢が何やら揉めているようだった。
片方の令嬢は座り込んでおり、その上ドレスには、飲み物のシミがついていた。
その光景を見ていた時ふと視線を感じその先に顔をやるとケイン様がこちらを試すように見ていた。
ローイもその視線に気づいていた。
私達は暗黙の了解のようにお互いのすべき事のため行動した。
「大丈夫ですか?替えのドレスをご用意しております。ご令嬢をお連れして…。」
近くのメイドにお願いをして、わたしは目の前のご令嬢に向き合った。
「なぜこのようなことになられたのでしょう…?」
大抵の予想はついている。
やられた令嬢に嫌悪してこのような嫌がらせをしているのだろう。
会場に出ればよくある話だ。
でもこの主催は、ローイを代表しての私だ。
ここで騒ぎを起こすということはデロイド侯爵家を貶めているのと同じになる。
それを許すわけには行かない。
「リチア様、お騒がせして申し訳ございません…。突然令嬢が近寄って来た為避けることもできず…。」
しおらしく答える令嬢にわたしは鋭い視線を送った。
「本当に…?あなたから仕掛けたのではなくて?」
わたしの返答に令嬢を目を見開くと泣きながら声を荒げた。
「ひどいです!なぜそのような事を言うのです!何か証拠があるのですか!?」
あなたにおすすめの小説
狂おしいほど愛しています、なのでよそへと嫁ぐことに致します
ちより
恋愛
侯爵令嬢のカレンは分別のあるレディだ。頭の中では初恋のエル様のことでいっぱいになりながらも、一切そんな素振りは見せない徹底ぶりだ。
愛するエル様、神々しくも真面目で思いやりあふれるエル様、その残り香だけで胸いっぱいですわ。
頭の中は常にエル様一筋のカレンだが、家同士が決めた結婚で、公爵家に嫁ぐことになる。愛のない形だけの結婚と思っているのは自分だけで、実は誰よりも公爵様から愛されていることに気づかない。
公爵様からの溺愛に、不器用な恋心が反応したら大変で……両思いに慣れません。
世継ぎは他の妃が産めばいい——子を産めない私ですが、帝の寵愛を独占して皇后になりました
由香
恋愛
後宮に入る女の価値は、ただ一つ。
——皇子を産めるかどうか。
けれど私は、産めない。
ならば——
「世継ぎは他の妃に任せます。私は、陛下に愛される女になります」
そう言い放ったその日から、すべてが狂い始めた。
毒を盛られても、捨てられず。
皇子が生まれても、選ばれたのは私だった。
「お前は、ここにいろ」
これは、子を産めない女が
ただ一つの武器“寵愛”だけで頂点に立つ物語。
そして——
その寵愛は、やがて狂気に変わる。
片想い婚〜今日、姉の婚約者と結婚します〜
橘しづき
恋愛
姉には幼い頃から婚約者がいた。両家が決めた相手だった。お互いの家の繁栄のための結婚だという。
私はその彼に、幼い頃からずっと恋心を抱いていた。叶わぬ恋に辟易し、秘めた想いは誰に言わず、二人の結婚式にのぞんだ。
だが当日、姉は結婚式に来なかった。 パニックに陥る両親たち、悲しげな愛しい人。そこで自分の口から声が出た。
「私が……蒼一さんと結婚します」
姉の身代わりに結婚した咲良。好きな人と夫婦になれるも、心も体も通じ合えない片想い。
彼は亡国の令嬢を愛せない
黒猫子猫
恋愛
セシリアの祖国が滅んだ。もはや妻としておく価値もないと、夫から離縁を言い渡されたセシリアは、五年ぶりに祖国の地を踏もうとしている。その先に待つのは、敵国による処刑だ。夫に愛されることも、子を産むことも、祖国で生きることもできなかったセシリアの願いはたった一つ。長年傍に仕えてくれていた人々を守る事だ。その願いは、一人の男の手によって叶えられた。
ただ、男が見返りに求めてきたものは、セシリアの想像をはるかに超えるものだった。
※同一世界観の関連作がありますが、これのみで読めます。本シリーズ初の長編作品です。
※ヒーローはスパダリ時々ポンコツです。口も悪いです。
離婚寸前で人生をやり直したら、冷徹だったはずの夫が私を溺愛し始めています
腐ったバナナ
恋愛
侯爵夫人セシルは、冷徹な夫アークライトとの愛のない契約結婚に疲れ果て、離婚を決意した矢先に孤独な死を迎えた。
「もしやり直せるなら、二度と愛のない人生は選ばない」
そう願って目覚めると、そこは結婚直前の18歳の自分だった!
今世こそ平穏な人生を歩もうとするセシルだったが、なぜか夫の「感情の色」が見えるようになった。
冷徹だと思っていた夫の無表情の下に、深い孤独と不器用で一途な愛が隠されていたことを知る。
彼の愛をすべて誤解していたと気づいたセシルは、今度こそ彼の愛を掴むと決意。積極的に寄り添い、感情をぶつけると――
氷の宰相補佐と押しつけられた厄災の花嫁
瑞原唯子
恋愛
王命により、アイザックはまだ十歳の少女を妻として娶ることになった。
彼女は生後まもなく始末されたはずの『厄災の姫』である。最近になって生存が判明したが、いまさら王家に迎え入れることも始末することもできない——悩んだ末、国王は序列一位のシェフィールド公爵家に押しつけたのだ。
あなたの隣に私は必要ですか?
らんか
恋愛
政略結婚にて、3年前より婚約し、学園卒業と共に嫁ぐ予定であったアリーシア。
しかし、諸事情により結婚式は延期され、次の結婚式の日取りさえなかなか決められない状況であった。
そんなアリーシアの婚約者ルートヴィッヒは、護衛対象である第三王女ミーアの傍を片時も離れようとしない。
月1回の婚約者同士のお茶会もすぐに切り上げてしまい、夜会へのエスコートすらしてもらった事がない。
そんな状況で、アリーシアは思う。
私はあなたの隣に必要でしょうか? あなたが求めているのは別の人ではないのでしょうかと。
* 短編です。4/4に完結します。
ご感想欄は都合により、閉じさせて頂きます。
【完結】私を忘れた貴方と、貴方を忘れた私の顛末
コツメカワウソ
恋愛
ローウェン王国西方騎士団で治癒師として働くソフィアには、魔導騎士の恋人アルフォンスがいる。
平民のソフィアと子爵家三男のアルフォンスは身分差があり、周囲には交際を気に入らない人間もいるが、それでも二人は幸せな生活をしていた。
そんな中、先見の家門魔法により今年が23年ぶりの厄災の年であると告げられる。
厄災に備えて準備を進めるが、そんな中アルフォンスは魔獣の呪いを受けてソフィアの事を忘れ、魔力を奪われてしまう。
アルフォンスの魔力を取り戻すために禁術である魔力回路の治癒を行うが、その代償としてソフィア自身も恋人であるアルフォンスの記憶を奪われてしまった。
お互いを忘れながらも対外的には恋人同士として過ごす事になるが…。
番外編始めました。
世界観は緩めです。
ご都合主義な所があります。
誤字脱字は随時修正していきます。