いつも隣にいる

はなおくら

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 トアもわたしとの生活に慣れて来た頃だった。

 昼食を終えて、トアと後片付けをしていた時だった。

 普段は誰も訪れることもないこの家のドアが鳴った。

 不審に思った私達は抱き合いながら居留守を使ってその場をやり過ごそうとした。

 外からは誰かの話し声が聞こえるがなんと言ってるかまではわからない。

 不意にドアノブが何度か回る音が聞こえて来た。

 なんだか壊されてしまいそうな気がしてわたしはドアを開けることにした。

 万が一に備えてトアには隣の部屋に隠れるように言った。

「トア、もし何かあればここでチアが来るのを待ちなさい。」

「でも…リチア様っ!」

 何か言いたげにしているトアの横でドアノブがなんども動く。

 トアの背中を押して少し強引に隣の部屋に隠して、わたしは深呼吸をしてドアノブを開けた。

 その先にはローイが立っていた。

 3年経って少し気難しさが入った大人の青年になっていた。

 わたしの顔を見るなり、笑って声をかけてくる。

「リチア、久しぶり…迎えに来たんだ。」

「…っ…ローイ…。」

 わたしの返事がおかしかったのかローイはだんだん真顔になってくる。

 そんな彼に少し恐怖を抱いて身構えてしまう。

 ローイはロサリオ様ともうすぐ結婚するのだとこの遠い領地にまで伝わるほど有名な話だ。

 その話を聞いた時にはショックではあったが、仕方のないことだと受け入れた。

 なのに何故今彼は目の前にいるのだろうか。

 後ろを見ると、少し歳をとった執事とお付きが数人いた。

「とりあえず入って…。」

 部屋の前に待たせてしまうのも悪く思い私はローイを含む他の人達を家に招き入れた。

 すると、執事と付き人は外で待っていると言ってそのまま行ってしまい、私とローイだけになってしまった。

「入って…。」

 わたしはもう一度ローイに声をかけると、彼も静かに部屋に入って来た。

 ローイはわたしの部屋を見回している。

 久しぶりでなにを話していいのかわからずお茶を用意した。

「お茶の用意をするから座っててっ…!」

 キッチンでお茶を入れている時、後ろから抱きしめられた。

「会いたかった…。」

 それはとても切実で安堵したような言葉だった。

 彼の温もりに触れてわたしもどれほどこの温もりを欲していたのか思い起こされた。

 でも今は状況がわからない以上、安易な行動は取れない。

 隣の部屋にはわたし以上に驚いているトアがいるのだから。

 わたしを抱きしめるローイの手を引き剥がした。

「…リチア…。」

 少し寂しそうなローイの視線を逸らして再びお茶を入れて目の前に差し出した。

「とりあえず座って…。」

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