梅雨の様なこんな雨の日に

はなおくら

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「そうだったの…。」

 あの時のことを思い出すとゾクリとした心地になるが、わたしはスノア令嬢の事は何とも思わないけれど、彼女の母親のことが気に掛かった。

「ツーリー…彼女を一度だけ許してあげられないかしら?」

 ツーリーは驚いた顔をした後、顔を顰めて言った。

「何を言ってるんだ。君の命を奪おうとした人間なんだぞ?」

「わかってる。でもわたしはスノア令嬢ではなく、彼女の母親が不憫でしょうがないの。」

「納得できない。」

 毅然とした態度のツーリーに私は口を開いた。

「スノア夫人は沈黙を貫くことだってできたのに、あなたに私の居場所を教えてくれた人よ。」

「君は僕の気持ちをわかってない!」

「っ…‼︎」

 突然のツーリーの剣幕に私は驚き口を閉じた。

 目の前の彼は傷ついている。

 私は彼の心配を省みていなかった事に反省した。

「ごめんなさい…あなたの気持ちも考えないで…あなたがこれほど私を愛してくれているのに…。」

 彼の頬に手を伸ばして、ひきむすばれた唇に触れた。

 下唇が真っ青になっている。

「いいんだ…君のそう言うところも好きになったんだから…。」

「ツーリー…。」

「君やスノア夫人にはすまないが、令嬢達は離すことはできない。」

 ツーリーは私の頬に手を当てて口を開いた。

「彼等は今負の感情に囚われている…今ここで自由にしてしまえばたくさんの犠牲者が出てしまう。」

 その言葉を聞いてわたしはどうすることもできないのだと実感した。

 それからもスノア夫人は、この屋敷に何度も訪れては娘の解放を願っている。

 ツーリーは何度もスノア令嬢の現状を話すが夫人は諦めることがなかった。

 そんな姿に私は彼女と令嬢を合わせることを提案した。

「ツーリー、令嬢と一度だけでも合わせるのはどうかしら?」

「何?」

「自分の娘の姿を見ればなぜ解放できないのか納得するはずよ。」

「……。」

 ツーリーはしばらく考えていたが、首を縦に振ってくれた。

 それからスノア令嬢達のいる地下へと夫人を連れて向かった。

 スノア夫人は私を見るなり、何も言わずに頭を下げて俯いた。

 それは、誤っているようにも、申し訳なさから避けているようにも見えた。

 長い地下の階段を降りて1番奥に進むに連れて何か呟き声が聞こえてきた。

「……のよ……。……のに…。」

 近づくに連れてスノア令嬢の姿が見えた。

 そこには見る影もなく暗い何かを纏っている様だった。

 頬は痩せこけて、きていたドレスははぎとられたのか白い下着服を身に纏っていた。

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