わがままな娘

はなおくら

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 街へ出かけるにはまだ早いと、ロットはあの黄色い花が咲いた庭園を2人歩いていた。

 事件のことを思い出すのではないかと心配もしたが、セレナは嬉しそうに花に手を添えて愛でている。

「連れてきてくれてありがとう…。ここは彼との思い出の場所なの。」

 セレナはそう言って、あたりを見回し休憩用に作られた馬車へと向かう。
 その後ろをロットは歩いてついていく。

 日傘をさして、歩く彼女の後ろ姿を見ると抱きしめたくて、触れたくて恋しくてたまらなくなる。

 拳を強く握り衝動を耐える。
 彼女が自分との思い出を大切にしてくれる事が嬉しくてたまらない。

 後ろについていくと、ピタッと馬車の前で止まった。

「…セレナ?」

 様子がおかしいと、セレナの顔を見ると涙がツーっ流れている。

「私おかしいの…ここにはロットとの幸せな思い出しかないはずなのに…悲しい気持ちにもなるの…。」

 セレナは戸惑っていた。なぜこんなに辛く悲しいのか。

 そしてふと頭が痛み出した。何か思い出さなければいけない気持ちになる。でもそれが苦しい。

「セレナ!無理しなくていいんだ。大丈夫だからっ…!」

 必死な彼の言葉に頭痛は治ってきた。だが意識が保てないまま胸の中で眠りについた。

「…ロットに…会いたい…。」

 そう一言残すと事切れた。
 ロットは彼女を抱えて屋敷に向かう、先程の彼女の言葉に身を切る思いだった。

 あんな苦しいなら、君は笑っているだけでいい。純粋にそう想った。

 それからセレナはまた数日間目が覚めなかった。医者の話では大した事はないという。

 アンジュは精一杯感情している。老いた体を、自分で奮い立たせている。

「アンジュ…ありがとう。だが無理はしないでくれ。君まで倒れたら私はどう自分を保てばいいか…。」

 立っていたロットが、そういうと近くの椅子に座り込み項垂れた。

 アンジュはロットの前に立ち、励ます。

「ありがとうございます。ですが大丈夫です。……ご主人様…お気をしっかりお持ちください。セレナ様は強いお方です。いずれ帰ってきますよ…。」

「あぁ…。」

 そうしてセレナの看病を二人で、していた。幸い彼女は目を覚まして、それからは元気に過ごしている。

 どれくらい経っただろうか、ある夜。

 セレナの叫び声に目を覚ました。部屋へと向かうと扉の前に戸惑ったアンジュが立っていた。

「…ご主人様…!」

 心配しているアンジュを横目に一つ頷くと、ロットは部屋に入った。

 目の前にはロットの肖像画を見て叫び、攻めているセレナの姿があった。


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