実は正体を隠していました。

はなおくら

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 アロンに凄まじい勢いで抱きしめられた。

「イゼア…僕が君に気付いてないと思った?」

「っ…‼︎」

 見つけてくれた。

「アロン…。」

「イゼア、愛してる…離れて行こうとしないで…君を守れなかった僕だけど…守るから…。」

 震える声で伝えてくれるアロンに嬉しくなった。

 アロンもどうしようもなかったはずなのに、私を思っていて捕まえていてくれた。

「アロン…私…もうダメだと思った…。あれから会うこともできない…それにあなたには…。」

 婚約者の存在が…。

 そう言おうとして中々言葉にできなかった。

「イゼア…不安にさせてすまない。でも僕が好きなのは君だけだよ。話をしよう…これまで何があったのか…。」

「…えぇ…。」

 私達はお互い離れていた分を取り戻すように手と手を握り合い座った。

 彼の温もりを感じながら流れる涙が止まらなかった。

 顔を上げれば、アロンは私を見つめて微笑んでいてくれる。

「イゼア…辛かったよね。僕のせいで家族と離れてしまって…。」

 私は首を振った。

「私があなたのそばにいたいと思ったから…。」

「すまない…イゼア。僕もあれから閉じ込められていたんだ。」

 アロンの顔を見つめた。

 少し痩せた彼にも大変な思いをさせていたのだと思うと居た堪れなくなった。

「君を探しに行きたくてもいけなかったんだ。…それから強引に婚約者をつけられたんだ。半ば強引に遭わされたんだ。」

 さっきアロンの手に捕まっていた令嬢だろう。

「貴方は彼女のことを何とも思ってない?」

 こんな状況の中、アロンが他の女性と仲良くしていることがいやだと思った。

 でもアロンに直接いうことも恥ずかしくて私は顔を背けた。

 後ろでアロンが笑っているのがわかる。

 それで私は余計に素直になる事ができなかった。

「僕が好きなのは君だけだよ。…愛してる。」

 後ろからアロンに抱きしめられて、私はようやく彼の方に顔を向けられた。

「こんな状況だけど…もう離れたくない…他の人のところは行かないで…。」

 アロンの目を見つめると、彼も私の顔を見つめてくれる。

 そしてどちらからともなくキスを交わした。

 寒さで震えてきた唇が、ようやく安心できるところへ戻ってきたように、安心した。

 彼の温もりを感じながら、私は自然と彼の背中に手を回した。

「痩せた?」

 唇を離してアロンは言った。

 自分と同じことを思っていたのだと思うと嬉しくて笑ってしまった。

「貴方がそばにいてくれなかったから…。」

 少し意地悪な気持ちでそう告げると、アロンは嬉しそうに笑った。
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