実は正体を隠していました。

はなおくら

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 何だかいやな予感がしていた。

 そんな私の予想が的中したのは、お母様が真っ青になって入ってきたのだ。

「イゼア…落ち着いて聞いてね。」

 私はその内容に膝から崩れ落ちた。

 お母様に奥様から伝言で、アロン様が結婚したのだという。

 何もどうすることもできなかったのだった。

「アロン…。」

「イゼア…これを…バスクワ伯爵様が…。」

 お母様に渡されたのは、旦那様からの手紙だった。

 恐る恐る中を開いた。

 手紙には、約束を破った事でひどく怒りを露わにしていた。

 そして本来なら残った家族も処刑となるのをアロンに免じて手を出さない事が綴られていた。

「そんな…。」

 悲しみの中、せめて一目でもアロン様にお会いしたいと思った。

 ふらつく私をお母様は支えてくれ、ベッドに休むこととなった。

 あまりの悲しみに、私は気を失ったのだった。

 あれから目が覚めても何もやる気が起きない。

 アロンに会いたいが何を言えばいいのかわからない。

 日中光も差さない部屋で過ごしていると何をしていいのかわからず、混沌とした時間が流れた。

 両親も心配してくれる。

 申し訳ないと思いつつ体がいうことを聞かない。

 アロン様は快諾したのか、私とのことはお遊びだったのか…いや彼の目を見てそんなはずないとぐるぐるとしている。

 ふと、窓から見下ろすと子爵家が主催している炊き出しの列に小さな男の子と女の子が遊んでいる。

 あまりに大きな声で話すものだから会話が耳についた。

「僕たちはずっと一緒だよ。」

 男の子が自信満々にいうのを聞いた女の子は少しおませなのだろう。

「うん…でももし一緒にいられなくなったら…どうするの?」

「…そうだな…。」

 2人はしばらく黙りこくっていたが、女の子はにこりと笑って言った。

「その時は、私が会いに行く!どんな事があっても会いに行くよ!」

 その言葉を聞いた瞬間、私はハタッとさせられた。

 いつもアロンはわたしに会いにきてくれた。

 私が離れようとしても、手を離さずにいてくれた。

 もう一度信じてみよう。

 アロンが結婚して2人の道が分たれる事があったとしても後悔はしたくない。

 私は急ぎ身支度を整えて両親の前に立ち決心を告げた。

 両親は信じて頷いてくれ、私は見一つでバスクワ伯爵邸へと急いだのだった。

 馬車を降りて懐かしい屋敷を見上げながら門番に旦那様の謁見を依頼した。

 どれくらい待たされただろうか、アロンに会いたい一心で待ち続けた。

 しばらくすると、旦那様の書斎に通された。

 旦那様は私を見る事なく書類に目を通している。
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