愛した人は悪い人

はなおくら

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 ジーヌの部屋に入ると、レイモンドはジーヌをソファーに座らせて、自分もその隣に腰をかけた。

「ヴィン様と和解したのですか?」

 ジーヌがそう聞くと、レイモンドは笑って頷いた。

「あぁ、元々あの二人とは中がよかったからね。それよりも…。」

 そういうとレイモンドはジーヌの肩に頭を預けた。

「君がヴィンと婚約したと聞いていてもたってもいられなかったよ…。すぐ様反対しても君からの手紙にもう限界だったよ…。」

 レイモンドの心情にジーヌは俯いた。

「わたしだって…レイモンド兄様に婚約者がいる事を知った時、どれほど苦しかったか…胸が張り裂けるほどだったのですよ?」

 俯いて答えるジーヌにレイモンドは申し訳なさそうに、頭を上げてジーヌの顔を掌で包んだ。

 レイモンドの大きくて温かな温もりにジーヌは今までの痛みが取れていく様な感覚がした。

 そしてふとヴィンが言っていたことがなんだったのか気になった。

「レイモンド兄様、ヴィン様が仰っていたソーレ様の件とは?」

 ジーヌの問いかけにもレイモンドは厳しい顔をした。

「あぁ…じつはソーレ嬢には、人身売買の疑いが持たれているんだ。」

 ジーヌは驚いた。まさか自分の周りでそんな非道な人間がいることに…。

「……どういうことですか?」

「………。」

 レイモンドの面持ちが重くなる。

「彼女は単独でそんな組織を作り巧妙に動いている。ヴィンもその噂を知っていたんだ…。」

「そんな…。」

「これは…わたしのせいだ…。曲がってはいけない道を私がやっていた様なものだ。」

 レイモンドが自分を責める姿にジーヌは胸が痛んだ。

「やめてください…あまり自分を責めないで…。」

 頭を抱えるレイモンドを優しく抱き寄せた。

「あなたは変わったんです。これから彼女のやる事を止めましょう?」

 二人でお互いの瞳を見つめ合い、頷き合った。

「ありがとう……ありがとう…。」

 レイモンドとジーヌは二人寄り添いあった。

 数日後、舞踏会も終わりジーヌはヴィンに別れの挨拶をしていた。

 本当はソーレが危険人物のため、レイモンドも含めて3人がヴィンの元へ残る様に説得されたが、ジーヌは首を横に振った。

 苦しくともレイモンドを支えたかったからだ。

「ジーヌ、君と過ごせて本当に楽しかった。またわたしの領地にきた時には寄ってくれ。」

「ありがとうございます。ヴィン様、あなたのお陰でわたしは見聞を広めることができました。シューザ…あなたにも感謝してるわ。」

 ジーヌがシューザの方へ顔を向けると目を赤く潤ませていた。
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