愛した人は悪い人

はなおくら

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 レイモンドは、ジーヌを抱きしめて言った。

「愛してる…お前だけは手放したくない…‼︎」

 ジーヌは、固まった。彼の腕の中で…耳元で彼からの愛を聞けたことに胸は歓喜している。

「お前が…ヴィンを愛していても…放してやれない…放さない…。」

 ゾッとする様なレイモンドの独占欲にジーヌは涙が流れた。

「なぜ…何故それをもっと早くに言ってくれなかったのですか…?それを知って入れたら…私は…。」

「悪かった…私が悪かった…。」

「それに…ソーレ様はどうなさるのですか?…長い間あなたの側にいた婚約者ですよ?」

「…彼女とは婚約を解消する。そう言ってもこの件で君をたくさん傷つけてきた事だろう…だから言葉ではなく…私の今後を見ていてほしい…そして全てが終わったその時…私の想いを聞いてくれ…。」

 レイモンドは真剣な顔でジーヌを見つめていた。

 その姿にジーヌはそっと頷いた。

「…ありがとう…。」

 それからどちらとも離れられず、お互い抱きしめあった。

 そしてこの時、お互いキスをせずにただお互いの温もりに体を預けていた。

 翌日早朝、食事を取り、ヴィンの部屋に向かった。

 部屋に通されると、そこにはヴィンと苦い顔したシューザ、そしてレイモンドがいた。

「レイモンド兄様…?何故ここに?」

 ジーヌが問いかけると、レイモンドは答えた。

「いや…ジーヌ、お前との事、そしてこれまでの事を謝りに来たんだ。シューザにはかなりやられたがな…。」

 ニコニコ笑いながらレイモンドが言う、シューザはどこか気まずげに顔を逸らした。

「あの頃のレイモンド様は、嫌いでしたからね。」

 シューザはそう呟いた。

 そんな二人に命令した張本人のヴィンは嬉しそうにニコニコしていた。

「レイモンドが昔の様に戻って安心したよ。彼女のおかげだね、事情は話したよ。」

 ヴィンはレイモンドに偽婚約をしていた事を話したのだった。

 ジーヌはそれを聞きヒヤヒヤした。

「あの…ヴィン様から聞いたと思いますが…これは…。」

「わかっている。全て私の為だと言う事を…。ありがとう…。」

 レイモンドは熱い眼差しでジーヌを見つめる。ジーヌも見つめ返して二人の世界へと入っていた。

「まぁまだ終わってはいない。」

 ヴィンにそう言われてジーヌは目を逸らした。

「わたしは気にしているのは、君の婚約者のソーレだ。」

「あぁ…。」

 ヴィンの言葉にわかっていると言うふうにレイモンドが返事をした。

 ジーヌはなんのことかわからずに首を傾げた。

「この事はわたしから話そう。」

 レイモンドがそう言ったので二人でヴィンの部屋を出た。
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