愛した人は悪い人

はなおくら

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 レイモンドがジーヌの耳を下唇で遊ばせると、ジーヌは頬を赤らめて瞳を強く閉じていた。

「レイモンド様…んっ…!」

 名前を呼ぶと彼はさらに強く優しくジーヌを弄ぶ。

 こんな感覚ははじめてで、どれが正解なのか分からず、目を閉じたままされるがままになっていた。

「ジーヌ…。」

 レイモンドに名前を呼ばれて恐る恐る瞳を開けると、強くきらりとした瞳が、自分を覗き込んでいた。

 2人見つめ合ったまま時が止まったようだった。聞こえるの馬車が道を走る音のみ。

 再びレイモンドの顔が近づく、その瞬間ジーヌは瞳を閉じた…が…、レイモンドが近づく気配がない、恐る恐る目を開けると、レイモンドは困ったような顔をしていた。

「ジーヌ、そんなに怖がらなくていい。」

「ごめんなさい、こういうことは初めてでどうしたらいいのか…。」

 素直に白状すると、レイモンドは嬉しそうに微笑んだ。

「いいんだ、それなら私を信じてくれ。」

 そういうと、レイモンドはジーヌの顔を優しく掬い上げて、優しいキスをした。

 ジーヌは怖くなかった。優しい彼の温もりが肌越しに伝わり、唇が熱く感じる。

 心地よさに頬が上気しており、レイモンドは目を見開いた。

 彼の瞳からは、儚げな美しい妖精が頬を上気させて赤くなっている。手放して仕舞えば消えてしまいそうなほど、儚く遠い存在のように感じる。

「ジーヌ、もう私は君を離したくない。何があっても一緒だ…。だから君もわたしから離れないと、私を信じると約束してくれるか?」

 彼の言葉に、ジーヌは頷いた。

「はい…わたしには出会ったあの日からあなただけです…。もうあなたから離れません。…愛しております。」

「わたしもだ…君を愛してる。」

 そう言って2人は熱い口づけを交わした。

 そして帰りの間、2人はお互いの方に頭を預けて、帰りを急いだ。

 ………。

 馬車に揺られて眠ってしまったのだろう、ジーヌが目を覚ますと、レイモンドが自分を横抱きにしてくれていた。

「レイモンド…?」

 ジーヌが名前を呼ぶとレイモンドは微笑み言った。

「もう遅い…君はこのまま寝なさい。」

 そう言われてジーヌは自然と目を閉じた。昔こうやってレイモンドの妹として同じ事があったが今は違う。

 ようやく思いが通じ合い幸せを噛み締める事ができた。

 明日からは忙しくなる事だろう。今は2人の優しい時間を大切にしたいと切に願うのだった。

 次の日、目が覚めるとふかふかのベッドに眠っていた。

 昨日レイモンドに抱えられて寝室に入った事を思い出した。
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