花嫁の勘案

はなおくら

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「憧れてたんだ、君と本当の2人だけの生活をしたいと…。でも現実そうはいかない…だからこの家を作ったんだ。」

「ヴォン…。」

 彼の顔を見つめると、彼はにこりと微笑んで続けた。

「君と貴族ではない、普通の生活を味わいたい、自分たちで食事を作って、身支度をして、眠りたいときに眠る。…リア、君は嫌がるかもしれないと思ったが君とじゃないと意味がないんだ。」

「ヴォン…。」

 わたしは嬉しかった。

 彼の夢を聞けて、一緒に過ごすことを考えてくれる。

 彼は私を大切に思ってくれている。

「ありがとうございます。ヴォン…私もあなたと一緒ならどこでも幸せです。」

「リア…。」

 私たちはお互いの手を握り合った。

「たまにこうして2人で過ごそう…。」

「はい…。」

 そう私が答えたとき、ヴォンは首を横に振った。

「ここではお互い対等だ。だから敬語をやめて気軽に接して欲しい。」

「そう言われましても…。」

 突然の事で困ってしまう。

 今まで、敬語で接してきたのに気軽に話すなんて悪いことをしてる様な気持ちになる。

 そんな私にヴォンは苦笑いを浮かべながら言った。

「なら少しずつ慣れていこう…今日から何日かここで過ごすからどうだろう?一緒に料理に挑戦してみないか?」

「はい!」

 彼の心遣いにわたしは嬉しくなって笑顔で返事した。

 そして私達は2人で並ぶと手狭になるキッチンでよりそうながら卵を睨みつけていた。

 目玉焼きならできるだろうと、思いつつも2人とも料理なんてしたこともない。

「困りましたね…。」

「そうだな…。」

 そんなやりとりにわたしは思わず吹き出してしまった。

 それに釣られる様にヴォンも笑っている。

 とりあえずフライパンに火をつけて、そのまま卵を割って焼いてみた。

 結果は真っ黒な目玉焼きが出来上がる。

 2人で苦笑いを浮かべつつ、分け合ってその食べた。

 味はいまいちだけど、彼と食べているせいか悪くなく思える。

 2人で笑い合いながら過ごすのは屋敷でもあったがここまで騒いだのは初めてだった。

 たくさん話をして片付けを初々しくもしてからようやく椅子に2人で座り込んだのだった。

「何かをするのにも大変と言うことがわかりました…。」

「そうだな…私も勉強になったよ…。」

「ふふふ…でも幸せです…。」

 そう言って彼の顔を見つめれば、彼は立ち上がって私の方に来ると、私の頬を撫でて言った。

「私もだ…リア。」

 彼の顔を見つめながら、整った顔立ちをしていることを思い出した様に再認識した。

「ヴォン…。」

「リア。」
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