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囁き
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舞踏会当日、ケナに準備を手伝ってもらいケロウと共に会場に来ていた。
アビーの衣装は黄色いドレスにケロウの瞳の色で黒のバラのコサージュを腰につけシンプルな装いだ。
自分が見てきた屋敷の広場とは比べものにならないほどの会場の広さに唖然としてしまう。
ふと周りを見てみると、ほかの貴婦人や令嬢が頬を赤らめてアビーの隣にいるケロウを見ていた。
ケロウは気にしてはいない様子だったが、アビーから見てもその風格に魅了されるのはうなずけた。
だがほかの女性に見られるケロウに、図らずも、嫉妬してしまう。
元々組んでいる腕をぎゅっと握った。
気づいたケロウは、アビーの仕草になんとも言えない愛くるしさを感じていた。ケロウ自身は、ほかの女性よりもアビーを見ている事に夢中だった。
「……可愛いハニー…何か気になる事でもあった?」
アビーの耳元で囁く。
「…いえ…なんでもありません。」
自分自身を大切にしてくれてるし、今も何かあれば優しく聞いてくれる事に喜びはあるが、嫉妬心が強く出てしまいそっけない返事になる。
ケロウは何となくアビーが不機嫌だと気づくと、わざと悲しげな顔をして言った。
「君は何を怒っているんだ?……君に嫌われてしまったら私はどうしたらいいか…。」
悲しげなケロウの瞳にアビは内心反省した。恋人とはいえ自分の主人を蔑ろにしてしまうとは、なんて浅はかだったのだろうと。
そして、覚悟決めてケロウの耳元に顔を寄せ観念して言った。
「申し訳ありません。ケロウ様の事をほかの方が、熱烈に見つめるものですからつい…八つ当たりですね…申し訳ありません。」
と謝罪した。嫉妬だと知ったケロウは、笑ってお返しにと耳元にで囁いた。
「…君からそんな言葉が聞けるなんて凄く嬉しいよ…。…でも気にする必要はないよ、私は君しか見てない…。」
耳元でささやかれ自然と頬が熱くなる。
そこへケロウの知人がきた。アビーは照れるのを隠しながら、ケロウと共に知人に挨拶を返していく。
そうして挨拶回りをしている時、大きな演奏が流れ出した。
皆会場の上座に顔を上げると、国王陛下と王妃が姿を現し、口を開いた。
「皆、遠方から遥々よくきてくれた。今回集まってもらったのは、我が息子が王太子として正式に決まった。紹介しよう‼︎」
周りの者たちが拍手喝采の中、とある青年が顔を出した。
見上げていたアビーは、その姿に目を見開き驚いた。
目の前に姿を現した青年は、友人と思っていたハリソンだった。
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「…いえ…なんでもありません。」
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ケロウは何となくアビーが不機嫌だと気づくと、わざと悲しげな顔をして言った。
「君は何を怒っているんだ?……君に嫌われてしまったら私はどうしたらいいか…。」
悲しげなケロウの瞳にアビは内心反省した。恋人とはいえ自分の主人を蔑ろにしてしまうとは、なんて浅はかだったのだろうと。
そして、覚悟決めてケロウの耳元に顔を寄せ観念して言った。
「申し訳ありません。ケロウ様の事をほかの方が、熱烈に見つめるものですからつい…八つ当たりですね…申し訳ありません。」
と謝罪した。嫉妬だと知ったケロウは、笑ってお返しにと耳元にで囁いた。
「…君からそんな言葉が聞けるなんて凄く嬉しいよ…。…でも気にする必要はないよ、私は君しか見てない…。」
耳元でささやかれ自然と頬が熱くなる。
そこへケロウの知人がきた。アビーは照れるのを隠しながら、ケロウと共に知人に挨拶を返していく。
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「皆、遠方から遥々よくきてくれた。今回集まってもらったのは、我が息子が王太子として正式に決まった。紹介しよう‼︎」
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