婚約破棄されても貴方が好き

はなおくら

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 一通りの質問が終わり、小さく一呼吸付いたその時。

「それで…顔に巻いてある布を取って顔を見せて欲しいのだけどいいかしら?」 

「……っ…。」

 顔の事を聞かれるとは夢にも思ってなかった。どう…かしせばいいのだろう。

 顔を上げると、眉を寄せて不思議そうにこちらを見ているアレクサンダー様がいる。

 ここを切り抜けなければ、彼ともしばらく会えなくなってしまう…。

「…実は…その……顔にやけどを負っていまして…。」

 言葉を詰まらせながら答えた。メイド長はひとつため息を吐いた。

 もうダメだ…。

 泣きそうになり俯いて、涙が出るのを必死に瞼で抑えた。その時…優しい声が降ってきた。

「動物は好き?」

 顔を上げると、アレクサンダー様が微笑んで見つめていた。

 …この顔だ。いつも動物たちに向けるこの顔に何度も魅入っていた。

「…はい…大好きです…。」

 そう返すと、アレクサンダー様は立ち上がりこちらに近づくと手を差し出してきた。

「顔は見せなくていい。一緒に行こう…。」

 彼の顔を見ながら手を取る。彼の微笑みは懐かしい…。胸が暖かい気持ちになった。

「はい…。感謝いたします。」

 こうして彼との旅行が始まった。目的地は、砂漠の国クルーラーという国だ。

 ここに生息している動物たちに暑さに強くバテている生き物は少ない。

 長旅では、大勢の商人がいたが、拠点を増やしていつでも駆けつけられるように滞在している。

 そして今、アレクサンダー様とわたし二人だけでテントを張っている。何かあれば遠くから駆けつけてくれ、こちらからも光で助けを出せるように教えられた。

「…………。」

 今からは望遠鏡を覗き込み、遠くから動物たちの生態を静かに観察している。

 それを横目に、私は彼の食事の用意をしていた。正直料理はもちろん人の世話はやってきてもらっていたので、不安ではある。

 今でも鍋の中をみると、少し焦がしてしまっている。何も知らないふりをして彼の隣に食事を置く。

「…お待たせいたしました。」

「ありがとう。君はテントの中で待っていてくれ。」

「かしこまりました。」

 そう言ってテントの中に入り、自分も食事をしながら、望遠鏡を覗き込む彼の姿を眺めていた。

 するとある訪問者があった。テントの入り口で花をヒクヒクさせている、リスのようなネズミのような動物がいた。

「…こんにちは…。」

 思わずそう声をかけると、リスのような動物は、耳をヒクヒクさせて、他の所にも興味を引きながらこちらにきた。

 そして手を差し伸べていないのに手のひらに乗ってきた。
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