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真実
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「君が僕の命を狙っている事、この国のことを調べていることは初めからわかってた。」
「そう…。では何故…私を始末しなかったの?」
「惚れた弱みかな…。」
照れくさそうな彼の表情を見つめる。
「監視のために一緒に過ごすうちに、君にどんどん惹かれていった。」
彼の告白に嘘はないと確信した。
彼にここまで愛されていることを嬉しく思った。
「君がまさか僕の婚約者…いや元婚約者の事で誤解を招いてすまないと思ってる。」
「いいえ…もういいのよ…あなたには婚約者がいたのに…私のせいね…。」
「いや違うよ、彼女との婚約は初めから断り続けてきたんだ。」
「えっ?」
顔を上げて彼の顔を見つめた、どういうことなのかわからなかった。
「彼女と僕の母は仲が良くてね、婚約者にと小さい時から言われ続けてたんだ、しかし僕はどうしても彼女を愛さなかった。ある日君が…姿を消した日…彼女から最後に話をと呼び出されていたんだ…。」
「そんな…。」
自分は誤解してしまったのだと気がついた。
リュークに申し訳ないことをしたと、悔やんでしまう。
「君が思い詰めなくていいんだ、もとより誤解をさせてしまったのは僕なんだから、あの時はすまない事をした…。」
「いえ…私こそ急に消えてあなたを不安にさせてしまった…あの彼女とは…どうなったの?あなたはここにいてもいいの?」
彼にそう問いかけると、私を抱き寄せた。
「僕は王太子の身分を譲渡したんだ。」
「…っ!」
驚くことばかりで言葉を返せなかった。
「君とここで過ごすために…ね…。それに君を取られることは他のどんなことも嫌だったから…。」
「そんな…。」
自分のせいで彼が身分を諦めた事が申し訳なかった。
「これから話すことはややこしいと思うが…僕の身分をね、遠い親戚の血筋に譲ったんだ、それで元婚約者はその者の婚約者にとなったんだ。」
「ご両親はよしとしたの?」
その問いかけには大変だったのだろうと伺えた。
「…初めは反対されて、大変だったんだけどね…母上が君にしたことや父上には公には出せない秘密があったからね…そのことを少しだしたら、承諾してくれたよ。」
簡単に言っているが相当大変だったのだろうと伺えた。
「君の過去も…わかってたよ…。」
冷や汗をかく、自分がどんな人間なのか、彼はわかっていたのだ。
「軽蔑したでしょう…?」
「………。」
彼は黙っていたが、しばらくすると口を開いた。
「マボの事…君はああ入ったけど…違うね?」
「そんなことまで…。」
「何でもお見通しだよ。」
彼は静かに笑っていた。
「マボはどうなったの…?」
私がそう聞くと彼から笑みが消えた。
「君からあの男の名前は聞きたくないな…、嘘でも愛してると言った奴のことを気にするなんて…。」
落ち着いて離しているが、目元で彼がかなり怒っている事が感じ取れた。
「事情があるの…私は…。」
「それも知ってるよ…。」
「えっ…?」
彼は静かに答えた。
「君が彼の妹を手にかけた事。」
「っ…!」
彼がこのことを知っていることにひどく驚いた。
見限られても仕方ないのに、彼はそうはしない。何故なのだろうか。
「確かに君のした事は許されない事だ。だが君は優しい…国家の命令で手をかけたのにもかかわらず、いまだに覚えているんだからね…。」
「……。」
彼からの許しを聞いても罪悪感は拭えない。
「でももう君はなにも気にしなくていいんだよ。君の国の者は誰も君に介入できないし、マボにも君の身柄を渡す代わりに納得のいく交渉をしたからね…。」
マボが本当に、納得したのだろうか?到底信じられる者ではなかった。
そして彼は次の瞬間驚くべき事を伝えてきた。
「君はもうこの世に生きてはいないんだ。」
彼の言葉に、一瞬頭が真っ白になり驚愕した。
「どういう事?」
「君は、私の手で死んだことになっている。」
「そんな…ではあなたは人を殺したから王子の座を剥奪されたというの?」
「そうではないよ、君のことを知っているのは、僕とマボだけだ。彼もそれで納得したのさ。」
「そんな…。」
いきなりのことで立っていられず、ベッドに座り込んだ。
その隣に彼は座ると、横から私を抱き寄せた。
「これから君は僕と2人だけで、この屋敷で暮らすんだよ。もう君を知る者は誰1人いない、ずっと2人きりだ。」
顔を上げて、彼の微笑んだ顔を見つめる、無意識に涙を流していた自分の目を彼は手で撫でてくれる。
突然のことすぎて言葉が出てこず、彼を見つめたまま涙が流れていた。
「2人でここで生涯暮らそう、2人で罪を償い生きて行こう。」
彼の言葉を聞きながらなにも答えられずただ目を閉じた。
「そう…。では何故…私を始末しなかったの?」
「惚れた弱みかな…。」
照れくさそうな彼の表情を見つめる。
「監視のために一緒に過ごすうちに、君にどんどん惹かれていった。」
彼の告白に嘘はないと確信した。
彼にここまで愛されていることを嬉しく思った。
「君がまさか僕の婚約者…いや元婚約者の事で誤解を招いてすまないと思ってる。」
「いいえ…もういいのよ…あなたには婚約者がいたのに…私のせいね…。」
「いや違うよ、彼女との婚約は初めから断り続けてきたんだ。」
「えっ?」
顔を上げて彼の顔を見つめた、どういうことなのかわからなかった。
「彼女と僕の母は仲が良くてね、婚約者にと小さい時から言われ続けてたんだ、しかし僕はどうしても彼女を愛さなかった。ある日君が…姿を消した日…彼女から最後に話をと呼び出されていたんだ…。」
「そんな…。」
自分は誤解してしまったのだと気がついた。
リュークに申し訳ないことをしたと、悔やんでしまう。
「君が思い詰めなくていいんだ、もとより誤解をさせてしまったのは僕なんだから、あの時はすまない事をした…。」
「いえ…私こそ急に消えてあなたを不安にさせてしまった…あの彼女とは…どうなったの?あなたはここにいてもいいの?」
彼にそう問いかけると、私を抱き寄せた。
「僕は王太子の身分を譲渡したんだ。」
「…っ!」
驚くことばかりで言葉を返せなかった。
「君とここで過ごすために…ね…。それに君を取られることは他のどんなことも嫌だったから…。」
「そんな…。」
自分のせいで彼が身分を諦めた事が申し訳なかった。
「これから話すことはややこしいと思うが…僕の身分をね、遠い親戚の血筋に譲ったんだ、それで元婚約者はその者の婚約者にとなったんだ。」
「ご両親はよしとしたの?」
その問いかけには大変だったのだろうと伺えた。
「…初めは反対されて、大変だったんだけどね…母上が君にしたことや父上には公には出せない秘密があったからね…そのことを少しだしたら、承諾してくれたよ。」
簡単に言っているが相当大変だったのだろうと伺えた。
「君の過去も…わかってたよ…。」
冷や汗をかく、自分がどんな人間なのか、彼はわかっていたのだ。
「軽蔑したでしょう…?」
「………。」
彼は黙っていたが、しばらくすると口を開いた。
「マボの事…君はああ入ったけど…違うね?」
「そんなことまで…。」
「何でもお見通しだよ。」
彼は静かに笑っていた。
「マボはどうなったの…?」
私がそう聞くと彼から笑みが消えた。
「君からあの男の名前は聞きたくないな…、嘘でも愛してると言った奴のことを気にするなんて…。」
落ち着いて離しているが、目元で彼がかなり怒っている事が感じ取れた。
「事情があるの…私は…。」
「それも知ってるよ…。」
「えっ…?」
彼は静かに答えた。
「君が彼の妹を手にかけた事。」
「っ…!」
彼がこのことを知っていることにひどく驚いた。
見限られても仕方ないのに、彼はそうはしない。何故なのだろうか。
「確かに君のした事は許されない事だ。だが君は優しい…国家の命令で手をかけたのにもかかわらず、いまだに覚えているんだからね…。」
「……。」
彼からの許しを聞いても罪悪感は拭えない。
「でももう君はなにも気にしなくていいんだよ。君の国の者は誰も君に介入できないし、マボにも君の身柄を渡す代わりに納得のいく交渉をしたからね…。」
マボが本当に、納得したのだろうか?到底信じられる者ではなかった。
そして彼は次の瞬間驚くべき事を伝えてきた。
「君はもうこの世に生きてはいないんだ。」
彼の言葉に、一瞬頭が真っ白になり驚愕した。
「どういう事?」
「君は、私の手で死んだことになっている。」
「そんな…ではあなたは人を殺したから王子の座を剥奪されたというの?」
「そうではないよ、君のことを知っているのは、僕とマボだけだ。彼もそれで納得したのさ。」
「そんな…。」
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突然のことすぎて言葉が出てこず、彼を見つめたまま涙が流れていた。
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彼の言葉を聞きながらなにも答えられずただ目を閉じた。
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