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第4話 ディズニーランド
しおりを挟む「走るよ」
ゲートをくぐったら彼女が僕の手を引っ張った。
「え?」
「ディズニーランドの中は走るものでしょう?!」
「そ、そう?」(走るのもだとは知らなかった・・・)
どうもお目当てのアトラクションがあるようだ。遠くの壁にそのアトラクションの名前が書いてあり、その方向に走っていると言うか引っ張られている。
正直、僕の歳で走るのは辛い。
でも、その場所に来てもアトラクションが見あたらない。
「あれ、おかしいな。どこにあるんだろう。行き過ぎたのかな・・・」
「いや、違うと思う・・・」と僕。
それには耳を貸さず、彼女が引き返して、また僕は引っ張られた。
「あれ、こっちにもない」と彼女。
「いや、だから、無いと思う・・・」
「どうして!」
「だって、その壁にComming Soon」って書いてある。
「・・・」
あきらめきれない彼女はスタッフを捕まえて訊いている。
「今、メンテナンス中だって・・・。しかたない、次、行くよ。」
「ちょっと、待って」また、引っ張られた。
その前の週、彼女と一緒のベッドの中で、なんとなくもう少し体力付けなけりゃ、と思ったけど、その時、はっきり、体力つけようと決めた。
彼女は、もう、何度も来てるはずなのに、この日の為にガイドブックを買っていた。つまり、気合いが入っていた。
夕方、彼女がガイドブックで見つけたカフェにいた。
お昼もその本で選んだレストランで食事し、色々なアトラクションにも乗って、ディズニーランドでしか使えない(外では恥ずかしい)帽子を彼女にかぶせ、お気に入りのポップコーンを彼女の首から提げ、そのカフェで僕はコーヒーを彼女は紅茶とワッフルを食べていた。
彼女は小柄なせいか幼く見え、決してセクシーではない。誤解を恐れず言うと、可愛いけれど、男が抱いてみたい、と思うような女性ではない。
が、一生懸命にディズニーランドの事を話す(好きなんだなぁ、ディズニーが)彼女の首筋から汗が一粒、す~っと胸元に入って行った。それを見て、小さいけれど感じやすい彼女の胸を思い出してしまい、つい、ニコ(正確にはニヤ)っとした。
「どうしたの?」
「なんでもない」
「言ってよ。どうしたの?」
「ん・・・・、抱きたい」
軽いパンチが飛んできた。
第4話 完
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