面影橋(おもかげばし)

一ノ瀬 航(いちのせ わたる)

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第6話 咬んでも・・・いいよ

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「咬んでも・・・いいよ。」

セックスの最中に、彼女が喘ぎながら、途切れ途切れに言った。

「え?」

「秋だから・・・」

セックスの最中に、彼女の肩や二の腕を咬んだら、とても感じるのが解ったのは偶然だった。

正常位で彼女を抱いている時、丁度、彼女の肩が僕の口の辺りに来たので、軽く咬んでみたら、大きな声を出して逝ってしまった。

僕も驚いたが、彼女自身はもっと驚いていた。

彼女がセックス後、自分で二の腕を噛んでみて「おかしいなぁ」と言っていた。当たり前だが、僕も自分で自分の腕を咬んでみたが、痛いだけだった。

セックスって不思議だなぁ。ふたりで顔を見合わせ笑っていた。

同じパートナーとのいつもセックスでも、その時の体調や気分で、随分セックスの深さや感じ方も変わる。

それからは、特に感じて少し激しいセックスになった時に、咬んだり、キスマークをつけていた。

春の季節のデートでのセックスは、久しぶりに盛り上がった。

外でも中でも、そして咬んでも、彼女は逝った。

肩と二の腕に咬跡を、乳房にキスマークを付けてしまった。

恍惚とした表情から醒め、余韻に浸っていた彼女だが、余韻から醒め、その事(咬んだ跡とキスマーク)に気付いた彼女に、しこたま怒られた。

「もう! W(僕の事)の馬鹿! 春なのにノースリーブ着られないじゃ無い!」

この数日、少し暑いくらい暖かくなっていた。

「すみません・・・」僕は神妙にしてた。

B型(血液型です)の彼女は、よく言えば、マイペースで、まあ、空気の読めないだった。

たとえば、あるイタリアン食堂で注文した『ハマグリのアヒージョ』が出てきた時、「あれ?このハマグリ小さい! アサリが入ってるんじゃない?」なんて、遠慮無く言って、お店の人に睨まれていた。

僕は笑ってしまった。

実は、正直、出てきた瞬間、僕もそう思った。でも、A型の僕はそれを口に出せない。それを素直に口にだせる彼女を僕はうらやましかった。

そんな彼女との付き合いはハラハラしながらも楽しかった。

食事の時間が取れない時は、デパ地下で弁当を買って、ホテルで食べた。

デパ地下で弁当を買った後に「お茶も買おう」と言った僕に「いつものラブホにあるから、買わなくても良いじゃん」と、普通に言って周りの人の視線を浴びてしまった。

あわてて手を引っ張って脱出しようとする僕に引っ張られながら、気がついたようで「あっ、恥ずかしいのか、ごめん」と謝った。

「いや、全然問題は無い、謝る必要は無い。そのままでいい」僕は応えた。彼女が気にして、思った事を言わなくなる方が、イヤだった。

性格が違うせいか、結構、仲が良かった。

そして、夏が過ぎた後のデート。

「咬んでも・・・いいよ。秋だから・・・」

つまり、もう、跡を付けても肩や腕のでる服を着ないから大丈夫、と言っている。

その誘いに甘えて、肩を少し咬んだ。

彼女の声が少し大きくなった。

よし、感じる体質は変わってない。

正常位でピストン運動に集中し少し動きを速くした。彼女の喘ぎが大きくなってきた。

満を持して、彼女の中に入れたまま、二の腕を少し強く咬みながら、乳房を弄り乳首を摘まんだ。

「ああっ」彼女は背中を反らして、逝ってしまった。

これから(咬んでもいい)楽しい季節が始まる。

第6話 完   
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