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第二章:毒女 x 毒女 x 毒女(7)
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「いいですか? ネイサン。わたくしがあの蛇を引き寄せている間に、あの人たちを地上へと連れていってください」
「ですが、奥様」
「わたくしはここの女主人です。旦那様が不在の今、わたくしの言うことを黙ってききなさい」
クラリスがピシャリと言い放つと、ネイサンも諦めたようだ。
シンと静まり返った地下室内で、クラリスがスカートをたくし上げて、太ももにくくりつけていたレッグホルスターから小瓶を取り出した。
「奥様、それは?」
「蛇が好む匂いです。この匂いで蛇をわたくしに惹きつけますから、その間に……」
すべてを言い終わらぬうちにネイサンは頷いた。
小瓶の蓋を開けると、とぐろを巻いていた蛇がチロチロと舌を出して反応し始める。ずりずりと身体を伸ばして、クラリスのほうへと近づいてくる。
その隙にネイサンが座り込んでいた女性の手を掴んで引っ張り上げ、外に出るようにと促す。手を噛まれたであろう男性も、ネイサンに従って地下室から出ていく。
二人の姿を横目で確認しつつ、クラリスは匂いにつられて近づいてきた蛇の頭を勢いよく掴んだ。
「奥様!」
「大丈夫です。心配ありません。ですが、蛇を入れるための瓶か何かがあるといいのですが」
ぐるりと地下室内を見回すクラリスだが、今日、来たばかりの場所であるためどこに何があるのかなどさっぱりわからない。
ネイサンは蛇に怯んでいた男女が地下室から出たのを見届けると、棚の一番下にあった空の瓶を両手に抱えて持ってきた。
「奥様、この瓶をお使いください」
「ありがとう」
瓶に蛇を押し込めたクラリスは、きゅきゅっと蓋をきつくしめた。
「あ、あの方。蛇に噛まれていましたよね。はやく毒を抜かなければ」
クラリスが蛇の入った瓶を腕に抱きかかえながら、階段を上がろうとすると、ネイサンがその瓶を奪って先に階段を上がっていく。
階段を上がったところでは、先ほどの男女がへなへなと座り込んでいた。
「ネイサン。メイを呼んできてください。蛇に噛まれたと言えば、必要なものを揃えてくれるはずです」
ネイサンに指示を出したクラリスは、蛇に噛まれた男性の手を取った。
「噛まれた場所は、ここですね?」
傷口が二カ所。牙が食い込んだような跡があり、その周辺はすでに赤く腫れていた。
「は、はい……」
クラリスに手を取られた男性は、身体を強張らせる。伝わってくるのは緊張。
「あの蛇は毒をもっておりますので、先に毒を吸い出しますね。痛いかもしれませんが、我慢してください」
クラリスは男の手に唇を寄せ、力強く傷口を吸い上げる。口の中に生臭い血の味が広がるとそれを手巾に吐き出し、もう一度同じように吸い上げた。それを幾度か繰り返す。
クラリスの行為に、蛇日噛まれた男も呆然としている。
そこへメイを呼びに行っていたネイサンが戻ってきた。もちろん彼の後ろにはメイの姿がある。
「クラリス様。毒蛇に噛まれたとお聞きしたのですが」
「そうよ。薬をはやくこちらに」
メイは手にしていた籠をクラリスへと手渡した。そこには茶色やら黒色やら透明やら何やらの小瓶が並んでいて、他にも綿紗や包帯もあった。
「もしかしたら熱が出るかもしれなませんが、ゆっくりと休んでいればすぐに下がりますから」
軟膏を手の甲の傷口に塗りつけ綿紗で覆い、包帯をぐるぐると巻く。
「こちらが塗り薬。寝る前と起きたときに塗ってください。こちらが飲み薬。熱や痛みが出たときに飲んでください」
クラリスの説明を黙って聞いていた男は、薬を渡されてもポカンとしている。
「奥様に礼を」
ネイサンの言葉で男も我に返ったようで、慌てて口を開く。
「あ、あ、あ、ありがとうございます。奥様自ら、このように手当をしてくださって……」
感激のあまりか、彼は涙ぐんでいた。
「あなた、お仕事は何をされているのかしら? 今日はもう、念のためお休みになってください」
「馬丁です。馬丁のエイベルと申します」
「そう、エイベル。あなたはもう休みなさい。いい? これは命令ですよ」
噛まれた場所が腫れていたので、いくら毒を吸い出し薬を塗ったとしても、これから毒による拒絶反応が出るかもしれない。だから、できるだけ安静にしておいたほうがいい。
「あなたは大丈夫ですか?」
へたりと座り込んでいる女性に視線を向けたクラリスが声をかけると、彼女は「は、はい」と返事をする。
「あ、あの。ありがとうございました」
「あなたのお名前を聞いてもいいかしら?」
「ですが、奥様」
「わたくしはここの女主人です。旦那様が不在の今、わたくしの言うことを黙ってききなさい」
クラリスがピシャリと言い放つと、ネイサンも諦めたようだ。
シンと静まり返った地下室内で、クラリスがスカートをたくし上げて、太ももにくくりつけていたレッグホルスターから小瓶を取り出した。
「奥様、それは?」
「蛇が好む匂いです。この匂いで蛇をわたくしに惹きつけますから、その間に……」
すべてを言い終わらぬうちにネイサンは頷いた。
小瓶の蓋を開けると、とぐろを巻いていた蛇がチロチロと舌を出して反応し始める。ずりずりと身体を伸ばして、クラリスのほうへと近づいてくる。
その隙にネイサンが座り込んでいた女性の手を掴んで引っ張り上げ、外に出るようにと促す。手を噛まれたであろう男性も、ネイサンに従って地下室から出ていく。
二人の姿を横目で確認しつつ、クラリスは匂いにつられて近づいてきた蛇の頭を勢いよく掴んだ。
「奥様!」
「大丈夫です。心配ありません。ですが、蛇を入れるための瓶か何かがあるといいのですが」
ぐるりと地下室内を見回すクラリスだが、今日、来たばかりの場所であるためどこに何があるのかなどさっぱりわからない。
ネイサンは蛇に怯んでいた男女が地下室から出たのを見届けると、棚の一番下にあった空の瓶を両手に抱えて持ってきた。
「奥様、この瓶をお使いください」
「ありがとう」
瓶に蛇を押し込めたクラリスは、きゅきゅっと蓋をきつくしめた。
「あ、あの方。蛇に噛まれていましたよね。はやく毒を抜かなければ」
クラリスが蛇の入った瓶を腕に抱きかかえながら、階段を上がろうとすると、ネイサンがその瓶を奪って先に階段を上がっていく。
階段を上がったところでは、先ほどの男女がへなへなと座り込んでいた。
「ネイサン。メイを呼んできてください。蛇に噛まれたと言えば、必要なものを揃えてくれるはずです」
ネイサンに指示を出したクラリスは、蛇に噛まれた男性の手を取った。
「噛まれた場所は、ここですね?」
傷口が二カ所。牙が食い込んだような跡があり、その周辺はすでに赤く腫れていた。
「は、はい……」
クラリスに手を取られた男性は、身体を強張らせる。伝わってくるのは緊張。
「あの蛇は毒をもっておりますので、先に毒を吸い出しますね。痛いかもしれませんが、我慢してください」
クラリスは男の手に唇を寄せ、力強く傷口を吸い上げる。口の中に生臭い血の味が広がるとそれを手巾に吐き出し、もう一度同じように吸い上げた。それを幾度か繰り返す。
クラリスの行為に、蛇日噛まれた男も呆然としている。
そこへメイを呼びに行っていたネイサンが戻ってきた。もちろん彼の後ろにはメイの姿がある。
「クラリス様。毒蛇に噛まれたとお聞きしたのですが」
「そうよ。薬をはやくこちらに」
メイは手にしていた籠をクラリスへと手渡した。そこには茶色やら黒色やら透明やら何やらの小瓶が並んでいて、他にも綿紗や包帯もあった。
「もしかしたら熱が出るかもしれなませんが、ゆっくりと休んでいればすぐに下がりますから」
軟膏を手の甲の傷口に塗りつけ綿紗で覆い、包帯をぐるぐると巻く。
「こちらが塗り薬。寝る前と起きたときに塗ってください。こちらが飲み薬。熱や痛みが出たときに飲んでください」
クラリスの説明を黙って聞いていた男は、薬を渡されてもポカンとしている。
「奥様に礼を」
ネイサンの言葉で男も我に返ったようで、慌てて口を開く。
「あ、あ、あ、ありがとうございます。奥様自ら、このように手当をしてくださって……」
感激のあまりか、彼は涙ぐんでいた。
「あなた、お仕事は何をされているのかしら? 今日はもう、念のためお休みになってください」
「馬丁です。馬丁のエイベルと申します」
「そう、エイベル。あなたはもう休みなさい。いい? これは命令ですよ」
噛まれた場所が腫れていたので、いくら毒を吸い出し薬を塗ったとしても、これから毒による拒絶反応が出るかもしれない。だから、できるだけ安静にしておいたほうがいい。
「あなたは大丈夫ですか?」
へたりと座り込んでいる女性に視線を向けたクラリスが声をかけると、彼女は「は、はい」と返事をする。
「あ、あの。ありがとうございました」
「あなたのお名前を聞いてもいいかしら?」
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