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【1】追放
6・行為
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「激しすぎだよ」
目覚めの為の行為から半日以上の時間を共にした。
闇に紛れて襲いに来たユーリであったが、現在はすでに日が傾き始めている。
ユーリにとっては初めての相手でもある。
「最初に襲ったのはユーリだ。私には好きにする権利がある」
レティウスは無表情のまま、ユーリの濡れた髪をタオルで拭い、魔術の風で乾かしていた。
その行為はすでに何年も一緒に暮らしていた者へ対する態度といってもいいほど手馴れている。
「襲う? 違うよ、命を繋ぐ行為だろ? レティが知らないはずないよな?」
「……繋げても良かったのですか?」
「いいよ、っていうか、レティは? 良かった?」
身勝手はユーリの方だ。ユーリ自身は記憶を受け、生まれ変わった気分でいる。まるで過去の自分が自分でなかったような感覚だ。しかし、レティウスは違う。わがまま放題、他人を軽く考えていたユーリは、誰にも受け入れられない馬鹿な王子でしかない。
「離れられないのですよ? 私と、生きる限り、一生」
「うれしいよ」
ユーリは背中側にいるレティウスを振り返り、背に手を回し、抱きしめた。
レティウスは戸惑い、手を浮かせている。かわいいと思う気持ちは仕方がない。だいたい王族はみな美形なのだ。16歳という大人と子供の狭間にあるユーリは危うさという魅力がある。通常、王族は純粋な金髪と光を宿したような青い瞳が特徴であり、神に愛された証とされている。が、ユーリは違う。正当な王位継承権第一位にありながら、その瞳は陰りの青。髪は青を含んだ金髪だ。貴重種であると言っても良い。レティウスは特別が好きだった。
ユーリは動きを止め、戸惑っているレティウスを見上げ、小さく笑った。
「いままでごめんなさい。ありがとう。これからはまじめになる。もう自分を傷つけたりしない。レティが傍にいても恥ずかしくないって思ってもらえるようにする……」
深く青い瞳がレティウスを見上げている。
レティウスはその瞳が劣情で滲む様子を思い浮かべ、内心で喜びを感じたが、表情には出さなかった。
でもユーリには伝わる。存在が同じであるのだ。レティウスの魔力がユーリを生かし、ユーリが与えた体液をレティウスが受け入れ、レティウスの生をユーリが受けた。その行為により、今は同じ存在といえる。
「ずっと愛して」
無表情だったレティウスがうつむいて額を抑える。肩が小刻みに揺れている。
狂おしい感情を逃す為、小さくため息を吐いた。
レティウスにとって甘い拷問である。ただでさえ見た目が可愛いと思い続けて来た相手である。フランしか見ていないユーリを馬鹿だと思う事もあった。しかしその命を失うことは、レティウスの楽しみが無くなることを意味する。
そんなユーリを自分の魔力色に染める機会が訪れた。それは垂涎の品だ。レティウス自身の魔力などいずれ回復するとわかっていた。復活を果たした先に、自身の魔力に染まったユーリがいる。それほどの楽しみはなかった。それだけで満足だったのに……。
ユーリはレティウスの胸に頬を預け、早鐘を打つ音を聞いていた。気持ちは言葉がなくても通じる。でも言葉が欲しいと思う。いずれはきっと。
目覚めの為の行為から半日以上の時間を共にした。
闇に紛れて襲いに来たユーリであったが、現在はすでに日が傾き始めている。
ユーリにとっては初めての相手でもある。
「最初に襲ったのはユーリだ。私には好きにする権利がある」
レティウスは無表情のまま、ユーリの濡れた髪をタオルで拭い、魔術の風で乾かしていた。
その行為はすでに何年も一緒に暮らしていた者へ対する態度といってもいいほど手馴れている。
「襲う? 違うよ、命を繋ぐ行為だろ? レティが知らないはずないよな?」
「……繋げても良かったのですか?」
「いいよ、っていうか、レティは? 良かった?」
身勝手はユーリの方だ。ユーリ自身は記憶を受け、生まれ変わった気分でいる。まるで過去の自分が自分でなかったような感覚だ。しかし、レティウスは違う。わがまま放題、他人を軽く考えていたユーリは、誰にも受け入れられない馬鹿な王子でしかない。
「離れられないのですよ? 私と、生きる限り、一生」
「うれしいよ」
ユーリは背中側にいるレティウスを振り返り、背に手を回し、抱きしめた。
レティウスは戸惑い、手を浮かせている。かわいいと思う気持ちは仕方がない。だいたい王族はみな美形なのだ。16歳という大人と子供の狭間にあるユーリは危うさという魅力がある。通常、王族は純粋な金髪と光を宿したような青い瞳が特徴であり、神に愛された証とされている。が、ユーリは違う。正当な王位継承権第一位にありながら、その瞳は陰りの青。髪は青を含んだ金髪だ。貴重種であると言っても良い。レティウスは特別が好きだった。
ユーリは動きを止め、戸惑っているレティウスを見上げ、小さく笑った。
「いままでごめんなさい。ありがとう。これからはまじめになる。もう自分を傷つけたりしない。レティが傍にいても恥ずかしくないって思ってもらえるようにする……」
深く青い瞳がレティウスを見上げている。
レティウスはその瞳が劣情で滲む様子を思い浮かべ、内心で喜びを感じたが、表情には出さなかった。
でもユーリには伝わる。存在が同じであるのだ。レティウスの魔力がユーリを生かし、ユーリが与えた体液をレティウスが受け入れ、レティウスの生をユーリが受けた。その行為により、今は同じ存在といえる。
「ずっと愛して」
無表情だったレティウスがうつむいて額を抑える。肩が小刻みに揺れている。
狂おしい感情を逃す為、小さくため息を吐いた。
レティウスにとって甘い拷問である。ただでさえ見た目が可愛いと思い続けて来た相手である。フランしか見ていないユーリを馬鹿だと思う事もあった。しかしその命を失うことは、レティウスの楽しみが無くなることを意味する。
そんなユーリを自分の魔力色に染める機会が訪れた。それは垂涎の品だ。レティウス自身の魔力などいずれ回復するとわかっていた。復活を果たした先に、自身の魔力に染まったユーリがいる。それほどの楽しみはなかった。それだけで満足だったのに……。
ユーリはレティウスの胸に頬を預け、早鐘を打つ音を聞いていた。気持ちは言葉がなくても通じる。でも言葉が欲しいと思う。いずれはきっと。
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