何度生まれ変わっても愛されないので今生は強気でいきます!

サクラギ

文字の大きさ
26 / 49
【2】軍生活

6・炎竜軍執務室のとなり

しおりを挟む
 ギルバートから夜会の誘いがない。本当に行かせてくれないのだとわかっても、もう7日目なのだ。あの恐怖が忍び寄って来ている。

 隣の隊長室にはギルバートがいる。いつもより仕事量が多いとボヤきながら私室に書類を持ち込み、机に向かっていた。今日に限って本当なのかわからないが、ユーリは定時刻で終わり、夜会に行く為の貴族服に着替えている所だった。

 空気が揺れた気がして振り返ろうとすると、背中にぬくもり、そして馴染んだ香りに包まれた。

 どうして? と声に出そうとすると、声を口付けで塞がれ、静かにと耳元で囁かれた。

 手にしていた服を取り上げられ、部屋の隅にある簡易なベッドの上に押しつけられる。

「ん、んんっ」

 隣の部屋にはギルバートがいる。いつ繋がる扉を開けられるかわからない。やめて欲しいと声を出そうとしても、漏れるのは喘いでいる吐息だけ。

 慣れた手つきで服を剥ぎ取られ、裏返されたと思うと、後穴から突き抜けるように痛みが走った。強引に開かれたそこは、もう何ヶ月も使われておらず、久しぶりの挿入に悲鳴をあげている。動きは性急のまま労る気もない酷いものだったが、ユーリには悦びしかない。

 ずっと口付けだけ、ただ命を繋ぐだけの行為を7日ごとに繰り返していた。きっとユーリが欲しいと言えばレティウスは抱いてくれただろう。でもユーリからは言い出せなかった。

 何かの間違いで抱いてくれないかと思い続けていた。だから痛くても、酷い行為でも嬉しい。

 内側でレティウスの精が溢れ、やっと痛みよりも良さが上まる。
 声が出そうになるとレティウスの手が口を塞いで来る。
 苦しくて涙が滲む。

 愛してると言いたかった。でも声は出させてもらえず、口付けさえ望めない。
 ただレティウスの激しい行為を身に受け、じっと受け身でいるだけだった。
 息が苦しくて意識が遠のく。

 何度目かの挿入と排泄を繰り返し、レティウスの気が済んだのか、解放された。レティウスは服も脱いでいない。何度も行為を繰り返したはずなのに表情ひとつ変わっていない。

 ユーリだけが裸体をさらし、ベッドの上に横たわったまま。腰も手足も甘い痺れで動けないユーリを良いことに、ユーリのクローゼットを勝手に開けたレティウスは、ギルバートが用意した服を全部魔力で消してしまった。

 ユーリはただ見ていた。
 ギルバートへの嫉妬だったら良いのにと思うけど、きっと違う。
 ユーリが軍にいるのが気に入らない。夜会に出席するのも気に入らない。そんなところだろう。

 あっけなくレティウスが消えて行く。移動の魔法を使えば行き来など一瞬だ。

 いつものように魔力で体を清めてくれたら良いのに、楽をさせるのも嫌なのか。仕方なく体を起こすと中に出されたものが溢れて来る。溢れるものにも甘い反応を覚えると、ユーリはひとり恥ずかしさに耐えた。

 兵用の湯殿は共同だから、こんな状態で行けばいらぬ誤解を生む。
 思いつくのは隣の部屋かと、シーツを体に巻きつけて隣へ通じる扉へ向かう。ノックして、少し開けて覗くと、呆れ顔のギルバートが無言で湯殿の方を示した。好きに使えと言うことらしい。ユーリは着替え、といってもレティウスに消されたので最初に持って来たレティウスの屋敷から持ち込んだものしかないのだが、それを持って湯殿に向かった。

 最初にレティウスのものを掻き出し、傷はないか確かめたが、そこは治癒魔法が施されているらしい。ホッとして湯殿に浸かると、湯殿の扉が大きく開く。

 音に驚いて見れば、怒りを露わにしたギルバートが立っていた。

「除隊だ、除隊! 俺の隣でしやがって! 絶対にゆるさん!」

「レティウスに言って下さい。私の意思ではありません」

「おまえ、あれ嫉妬だろ? 嫉妬だよな?」

「……そうでしょうか? 嫌がらせでは?」

 ユーリの言葉にギルバートは考える仕草をする。
 その時、隊長室にノックの音が響き、「お届け物です」と兵の声が聞こえた。

 ユーリが隊長用の湯殿に入っているなど知られたらやっかいだと、ギルバートは兵が部屋に入って来る前に出て行った。

 しばらくするとギルバートが戻って来る。

「完全に嫉妬だ」

 ギルバートの言葉にどういうことだと首を傾げた。

「レティウスから真新しい兵服一式と貴族服が届いた。しかもレティウスのお下がり魔術軍兵服もあったぞ」

「ああ、さっきレティウスに隊長から頂いた服全部消されてしまいました」

「ふざけるな、あのやろう!」

 ギルバートは怒りのまま扉を閉めて出て行った。

 ユーリは暖かい湯で体を清めながら、本当に嫉妬なのだろうかと、胸を高鳴らせていた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

あなたと過ごせた日々は幸せでした

蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない

了承
BL
卒業パーティー。 皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。 青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。 皇子が目を向けた、その瞬間——。 「この瞬間だと思った。」 すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。   IFストーリーあり 誤字あれば報告お願いします!

番に見つからない街で、子供を育てている

はちも
BL
目を覚ますと、腕の中には赤ん坊がいた。 異世界の青年ロアンとして目覚めた「俺」は、希少な男性オメガであり、子を産んだ母親だった。 現世の記憶は失われているが、 この子を守らなければならない、という想いだけははっきりと残っている。 街の人々に助けられ、魔石への魔力注入で生計を立てながら、 ロアンと息子カイルは、番のいない街で慎ましく暮らしていく。 だが、行方不明の番を探す噂が、静かに近づいていた。 再会は望まない。 今はただ、この子との生活を守りたい。 これは、番から逃げたオメガが、 選び直すまでの物語。 *本編完結しました

【完結】愛されたかった僕の人生

Kanade
BL
✯オメガバース 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。 今日も《夫》は帰らない。 《夫》には僕以外の『番』がいる。 ねぇ、どうしてなの? 一目惚れだって言ったじゃない。 愛してるって言ってくれたじゃないか。 ねぇ、僕はもう要らないの…? 独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ✻改稿版を他サイトにて投稿公開中です。

【8話完結】勇者の「便利な恋人」を辞めます。~世界を救うより、自分の幸せを守ることにしました~

キノア9g
BL
「君は便利だ」と笑った勇者を捨てたら、彼は全てを失い、私は伝説の魔導師へ。 あらすじ 勇者パーティーの万能魔術師・エリアスには、秘密があった。 それは、勇者ガウルの恋人でありながら、家事・雑用・魔力供給係として「便利な道具」のように扱われていること。 「お前は後ろで魔法撃ってるだけで楽だよな」 「俺のコンディション管理がお前の役目だろ?」 無神経な言葉と、徹夜で装備を直し自らの生命力を削って結界を維持する日々に疲れ果てたエリアスは、ある日ついに愛想を尽かして書き置きを残す。 『辞めます』 エリアスが去った翌日から、勇者パーティーは地獄に落ちた。 不味い飯、腐るアイテム、機能しない防御。 一方、エリアスは隣国の公爵に見初められ、国宝級の魔導師として華麗に転身し、正当な評価と敬意を与えられていた。 これは、自分の価値に気づいた受けが幸せになり、全てを失った攻めがプライドも聖剣も捨てて「狂犬」のような執着を見せるまでの、再構築の物語。 【勇者×魔導師/クズ勇者の転落劇】 ※攻めへのざまぁ要素(曇らせ)がメインの作品です。 ※糖度低め/精神的充足度高め ※最後の最後に、攻めは受けの忠実な「番犬」になります。 全8話。

余命僅かの悪役令息に転生したけど、攻略対象者達が何やら離してくれない

上総啓
BL
ある日トラックに轢かれて死んだ成瀬は、前世のめり込んでいたBLゲームの悪役令息フェリアルに転生した。 フェリアルはゲーム内の悪役として15歳で断罪される運命。 前世で周囲からの愛情に恵まれなかった成瀬は、今世でも誰にも愛されない事実に絶望し、転生直後にゲーム通りの人生を受け入れようと諦観する。 声すら発さず、家族に対しても無反応を貫き人形のように接するフェリアル。そんなフェリアルに周囲の過保護と溺愛は予想外に増していき、いつの間にかゲームのシナリオとズレた展開が巻き起こっていく。 気付けば兄達は勿論、妖艶な魔塔主や最恐の暗殺者、次期大公に皇太子…ゲームの攻略対象者達がフェリアルに執着するようになり…――? 周囲の愛に疎い悪役令息の無自覚総愛されライフ。 ※最終的に固定カプ

処理中です...