何度生まれ変わっても愛されないので今生は強気でいきます!

サクラギ

文字の大きさ
35 / 49
【3】復帰

1・王室

しおりを挟む
レティウスの執務室の続き部屋に居場所を貰ったユーリは、レティウスの使用人扱いになっている。

 いつもレティウスの後ろを着いて歩いているから、銀竜軍内ではユーリの噂話で持ちきりだった。

「見た目が良いから二人の隊長をモノにしているのか」

「浮気だとしてもどちらが本命なのか」

 噂話はされるのだが、誰も真実を知らないので答えなど出てこない。

 諦めて見て見ぬふりをする者がほとんどだった。

 結局のところ、ユーリが側にいればレティウスは仕事をするし、さぼらない。しかも機嫌が良いと来れば、銀竜軍にとっては有り難い存在だった。

 ただ噂は流れ、王の耳に届くことになる。
 王の耳に届けば、髪色と瞳の色で追放したユーリだと気づかれた。

 ギルバートには、早く王が保護してくれという気持ちがあったので、この伝わりは遅いくらいだった。

 王の私室に呼ばれたユーリは、レティウスとギルバートを伴っている。
 ギルバートはなぜ自分までと思うのだが、最初にユーリを城壁内に入れたと咎められれば、仕方のないことだった。

 王はソファの中央に座り、後ろに宰相であるルイスを立たせている。
 その前、机を挟んであるソファにユーリが座り、その後ろにレティウスとギルバートが並んで立っていた。

「おまえは今後どうしたいのだ?」

 王が静かにそう言うと、ユーリはソファから立ち上がり、王の横の空いた場所に移動すると、最上礼の姿を取る。そうすれば、レティウスとギルバートも同じように最上礼の姿を取った。

「勝手をお許しください。王位継承権はいりません。ただ、軍に在籍することをお許し頂きたいのです」

 ユーリに立つように指示を出した王は、苦悩のため息を吐く。

「おまえの容姿は目立つ。しかも竜王の意を得たのであるな? それで王位には就かんと申すのか」

「竜王の意は断りました。それに竜が我が国の在り方に大きくかかわっているとはいえ、私には兄も弟もおります。私は竜王の意に沿えないのですから、王位は兄弟に与えてください」

「それでおまえは良いのか?」

「はい、レティウスがこの国にいる限り、私はこの国に尽くす覚悟です。王子として、軍人として」

 王の視線がレティウスに向く。
 レティウスは胸に手を当て、視線を下げた。

「その者との縁は切れたはず。そう竜王から聞いているが」

「昔の私を立ち直らせたのはレティウスです。レティウスがいなければどうなっていたか。その功績は大きいと思うのですが……」

「おまえが言うな! 元々おまえの歪んだ性格がわるいのだ。……確かにまともにはなったと報告を受けているが。まあ仕方がない。その容姿では紛れるのも無理であろう。外で悪さをして王室に傷をつけてもらっても困る。しばらくは軍学校へ通い、静かにしていろ」

 ですが、と背後から声がかかる。宰相のルイスは不満らしい。
 それもそうかとユーリは思う。彼の息子がユーリの追いかけていたフランなのだ。また同じ状況にでもなれば困るのはルイスだ。

「わかっているな、ユーリ、今度あのような馬鹿な真似をしたら助けはないものと思え」

「申し訳ありませんでした。二度とあのようなふるまいは致しません」

 ユーリはソファから立って胸に手を当て礼をした。
 背後のふたりも習って礼をする。

 ユーリは意見が思い通り通ったことにホッとした。レティウスは無表情のまま、何を考えているのかわからない。ギルバートはすでに別のことを考えていた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

身代わり召喚された俺は四人の支配者に溺愛される〜囲い込まれて逃げられません〜

たら昆布
BL
間違って異世界召喚された青年が4人の男に愛される話

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない

了承
BL
卒業パーティー。 皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。 青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。 皇子が目を向けた、その瞬間——。 「この瞬間だと思った。」 すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。   IFストーリーあり 誤字あれば報告お願いします!

冤罪で堕とされた最強騎士、狂信的な男たちに包囲される

マンスーン
BL
​王国最強の聖騎士団長から一転、冤罪で生存率0%の懲罰部隊へと叩き落とされたレオン。 泥にまみれてもなお気高く、圧倒的な強さを振るう彼に、狂った執着を抱く男たちが集結する。

番に見つからない街で、子供を育てている

はちも
BL
目を覚ますと、腕の中には赤ん坊がいた。 異世界の青年ロアンとして目覚めた「俺」は、希少な男性オメガであり、子を産んだ母親だった。 現世の記憶は失われているが、 この子を守らなければならない、という想いだけははっきりと残っている。 街の人々に助けられ、魔石への魔力注入で生計を立てながら、 ロアンと息子カイルは、番のいない街で慎ましく暮らしていく。 だが、行方不明の番を探す噂が、静かに近づいていた。 再会は望まない。 今はただ、この子との生活を守りたい。 これは、番から逃げたオメガが、 選び直すまでの物語。 *本編完結しました

逃げた弟のかわりに溺愛アルファに差し出されました。初夜で抱かれたら身代わりがばれてしまいます💦

雪代鞠絵/15分で萌えるBL小説
BL
逃げた弟の身代わりとなり、 隣国の国王である溺愛アルファに嫁いだオメガ。 しかし実は、我儘で結婚から逃げ出した双子の弟の身代わりなのです… オメガだからと王宮で冷遇されていたので、身代わり結婚にも拒否権が なかたのでした。 本当の花嫁じゃない。 だから何としても初夜は回避しなければと思うのですが、 だんだん王様に惹かれてしまい、苦しくなる…という お話です。よろしくお願いします<(_ _)>

無能と呼ばれた婚約者は王を完成させる〜替え玉婚約者のはずが、強すぎる王太子に手放してもらえません〜

統子
BL
兄の身代わりとして王太子の婚約者になった伯爵家次男リュシー。 嘘の名を名乗ったはずが、冷静で誠実な王太子リオンは彼を「力の装置」としてではなく、対等な伴侶として扱おうとする。 本物になりたいと願う替え玉と、完成された王太子の静謐な王宮ロマンス。

処理中です...