イケメンってズルいと思う。

サクラギ

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 年末年始、どうするのか一ノ瀬に聞かれて、ずっと家にひとりだと言ったら、強引に一ノ瀬の家に連れて行かれた。

「だって弟さん、いるだろ?」

「いるよ」

 一ノ瀬の家の近くの駅から徒歩10分。その間、緊張してるから、ずっと言い合い続けてる。

「泊まりって、本気?」

「本気。年越し蕎麦食べて、初詣行こう。っで真夜ん家行けば良いだろ?」

「そんな簡単に……だって普通、年越しに友達呼ばないでしょ? 迷惑っていうか、弟くんたち、落ち着かないだろうし、邪魔したくない」

「俺の彼氏って紹介するし、っていうか、見ればわかるだろ。俺、幼馴染以外、家に入れたことねえし」

 幼馴染と聞いて、咲を思い出した。
 いや、男の幼馴染だっているだろうし。一ノ瀬の過去をどうこう思っても仕方がない。

「あそこ、俺ん家」

 一ノ瀬が示したのは、住宅街に並ぶ一軒家だった。小さな庭付きの2階建ての家で、勝手なイメージだけど、マンションの一室を想像してたから、驚いた。

 小さな柵を開けて中に入ると、レンガの小道があって左右が芝生になっている。小さな自転車と大人用の自転車が停まっていて、外遊び用の道具が置いてある。

「ただいま」

 一ノ瀬が玄関の鍵を開けてドアを開けたら、奥からバタバタと走る音がした。

「おかえりなさい」

「こう兄ちゃん、遅かったね! おかえり」

 一ノ瀬が玄関に入ると、小学生の弟がまとわりついてる。

「チビが日向(ひなた)で、あっちが大夢(ひろむ)な」

「こんばんは、初めまして」

 俺がそう言うと、日向はテレて一ノ瀬のお腹に抱きついてちら見してる。

「こんばんは」

 大夢は挨拶してくれた。中学生って聞いてるけど、にっこり笑ってくれて嬉しい。

「おかえり、待ってた」

 二階から降りて来る音がして、女性の声が聞こえて来た。もしかしてお母さんが帰って来てるのかなってドキッとして見たら。

「咲? なんで?」

 一ノ瀬が驚いてる。

「なんでって、いつも遊びに来てるでしょ? ダメだった?」

「おまえ、今、どの部屋から出てきた」

 一ノ瀬がすごく怒ってる。理由はわからないけど、咲はわかるみたいで、言葉に詰まってるみたいだ。

「大夢、真夜、俺の部屋に連れて行って。日向も」

「やった! 入って良いの? 真夜お兄ちゃん、こっちだよ」

 日向に手を引かれて、一段高い玄関に上がって、奥に連れて行かれた。階段を上がる。

「なんで? あの人は良いの?」

「良いに決まってる、真夜は俺の彼氏だからな」

 玄関の声が聞こえて来た。言い合いになってる。

 日向が開けた部屋に入ると、ほんの少し、咲の香水の匂いが残ってた。

 大夢が窓を開けて換気をしてる。

「こう兄ちゃんの部屋、俺たちだってたまにしか入れないんだ」

 大夢が言うと、日向がうんうんってしてる。

「勝手に入ると怒られるよ」

「咲ねえは、こう兄ちゃんに良いよって言われたって言ってて、怒られるよって言っても聞かなかったんだ」

「聞かなかったよ」

 日向と一緒にソファに座った。

 部屋の奥にベッドがあるのだけど、ロールカーテンで仕切られてる。

 パソコンラックと本棚、ソファがあって、小さい冷蔵庫があった。

 一ノ瀬の部屋かと思うと不思議な気分になる。

「兄ちゃんの恋人?」

 って日向に聞かれて、びっくりしてはぐらかすように笑った。

「大丈夫だよ、俺ら、兄ちゃんがそういう人だって知ってる。それに、兄弟以外で部屋に誰か入れたこと、今まで一回もないから、お兄さんは特別だよ」

「そうなんだ」

 いろいろ驚くことがあって、思考がついて来ない。一ノ瀬は咲のこと、どうするのかなって、気になってる。

 コンコンってノックがあって、日向がドアを開けると、高校生の弟が覗いた。

「こう兄、外出て来るからって、ここで待ってて下さい。日向、大夢、下に行くよ」

「ありがとう」

 日向と大夢は大人しく上の兄について行って、ドアが閉められた。

 とたんに静かな部屋。
 辺りをキョロキョロして、見ても良いのかなって思う。

 窓を開けていたから、香水の匂いは消えていて、かわりに一ノ瀬の香りがするような。

 一ノ瀬のプライベートな場所にいるのだと思うだけでドキドキする。
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