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しばらく待っていると、一ノ瀬が戻って来た。
「待たせてごめん」
部屋に入って鍵を閉めて、抱きしめられた。
「うん」
今回のことは、一ノ瀬がいない間に起こったことだし、弟たちの話を聞いているから、仕方がないと思ってる。
でも一ノ瀬はすごく申し訳ないって感じでいる。
「小学生の頃、友達部屋に入れて、勝手にいろいろ探されたり、触られたりして嫌で、そん時から、部屋に誰も入れてねえんだ。咲と一緒にいる幼馴染の男友達だってリビングまでで、部屋には入れてねえよ」
「うん」
「今日ので完全に切ったから、もう二度と家に入れねえし、話もしねえって、言って来た。……泣いてたけど、家に送り返して来たから」
「うん、弟くんたちが説明してくれたから。気にしてない」
やっと腕の力を緩めてくれて、俺の顔を見て、本当に怒ってないか確かめるように、じっと見て来た。
思わず笑う。
なんだろう。特別が欲しかった?
優先されることの優越を、確かに感じている。
「一ノ瀬の部屋、俺は入って良いんだ? 大丈夫? 嫌になってない? いろいろ見たり、触ったりしても良い?」
一ノ瀬が嫌だって言ったから、嫌がること言ってみる。きっと意地悪な顔してる。
「いいよ、っていうか、一番嫌なのはベッドに乗られることなんだけどさ」
そう言って一ノ瀬も悪い笑みを見せた。
奥のロールカーテンを上げて、ベッドの上に押し倒される。
「特に外から帰ってそのままの服でとか、サイテーだよな」
そう言いながら、覆い被さって来て、唇触れる距離で止められてる。
「コートも脱いでないよ? 嫌われた?」
香水の匂いが嫌で窓を開けてたから、部屋は冷えたまま。頬に触れて来た一ノ瀬の手のひらが温かい。
「すげえ好き」
キスされる。
ゆっくり、触れる感触を確かめるように。触れて、離して、見つめる。
たまらない気持ちになる。
「欲しい、一ノ瀬」
懇願した。
一ノ瀬の背中に手を回して。
痛そうな表情をした一ノ瀬が深く唇を合わせて来る。舌を絡める。唾液を交える深いキスに、頭の中が痺れる。
「すげえやりたいけど、お預け、な?」
一ノ瀬がすっと身を引いて、あと少しで熱くなりそうだった体を鎮めた。
さすがに小学生のいる家では無理だ。それくらいの分別はある。
「兄ちゃーん、年越し蕎麦、食べる?」
階段の下から呼び声がする。
一ノ瀬の手を借りて、ベッドから起き上がり、「すぐ行く」って返事してる一ノ瀬を抱きしめる。
離れたくないって感じで。
一ノ瀬は笑って抱きしめ返してくれる。
「蕎麦伸びるよ?」
って言いながらも離してくれない。
「よかった、真夜が笑ってくれると、すげえ嬉しい」
「うん、ごめん。あとで話、しよう」
今はお蕎麦を食べて、弟と一緒に初詣に行かないと。
上の二人は友達と約束があるそうだし。遅くなると困らせてしまう。
名残惜しいって感じでキスをして、手を繋いで部屋を出た。
「待たせてごめん」
部屋に入って鍵を閉めて、抱きしめられた。
「うん」
今回のことは、一ノ瀬がいない間に起こったことだし、弟たちの話を聞いているから、仕方がないと思ってる。
でも一ノ瀬はすごく申し訳ないって感じでいる。
「小学生の頃、友達部屋に入れて、勝手にいろいろ探されたり、触られたりして嫌で、そん時から、部屋に誰も入れてねえんだ。咲と一緒にいる幼馴染の男友達だってリビングまでで、部屋には入れてねえよ」
「うん」
「今日ので完全に切ったから、もう二度と家に入れねえし、話もしねえって、言って来た。……泣いてたけど、家に送り返して来たから」
「うん、弟くんたちが説明してくれたから。気にしてない」
やっと腕の力を緩めてくれて、俺の顔を見て、本当に怒ってないか確かめるように、じっと見て来た。
思わず笑う。
なんだろう。特別が欲しかった?
優先されることの優越を、確かに感じている。
「一ノ瀬の部屋、俺は入って良いんだ? 大丈夫? 嫌になってない? いろいろ見たり、触ったりしても良い?」
一ノ瀬が嫌だって言ったから、嫌がること言ってみる。きっと意地悪な顔してる。
「いいよ、っていうか、一番嫌なのはベッドに乗られることなんだけどさ」
そう言って一ノ瀬も悪い笑みを見せた。
奥のロールカーテンを上げて、ベッドの上に押し倒される。
「特に外から帰ってそのままの服でとか、サイテーだよな」
そう言いながら、覆い被さって来て、唇触れる距離で止められてる。
「コートも脱いでないよ? 嫌われた?」
香水の匂いが嫌で窓を開けてたから、部屋は冷えたまま。頬に触れて来た一ノ瀬の手のひらが温かい。
「すげえ好き」
キスされる。
ゆっくり、触れる感触を確かめるように。触れて、離して、見つめる。
たまらない気持ちになる。
「欲しい、一ノ瀬」
懇願した。
一ノ瀬の背中に手を回して。
痛そうな表情をした一ノ瀬が深く唇を合わせて来る。舌を絡める。唾液を交える深いキスに、頭の中が痺れる。
「すげえやりたいけど、お預け、な?」
一ノ瀬がすっと身を引いて、あと少しで熱くなりそうだった体を鎮めた。
さすがに小学生のいる家では無理だ。それくらいの分別はある。
「兄ちゃーん、年越し蕎麦、食べる?」
階段の下から呼び声がする。
一ノ瀬の手を借りて、ベッドから起き上がり、「すぐ行く」って返事してる一ノ瀬を抱きしめる。
離れたくないって感じで。
一ノ瀬は笑って抱きしめ返してくれる。
「蕎麦伸びるよ?」
って言いながらも離してくれない。
「よかった、真夜が笑ってくれると、すげえ嬉しい」
「うん、ごめん。あとで話、しよう」
今はお蕎麦を食べて、弟と一緒に初詣に行かないと。
上の二人は友達と約束があるそうだし。遅くなると困らせてしまう。
名残惜しいって感じでキスをして、手を繋いで部屋を出た。
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