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27 本心を晒すのは怖い
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自分の内側ばかりを見て、傷つかないように守っていた事実がここに来て弊害になっている。受け入れられなくても良いと思っていたのは、受け入れられたい気持ちの裏返しで、こんなにも求めていたのだと気付かされた。
「ハルのその気遣いって、ホストの延長?」
好きだって、本気で付き合いたいって告げようとしたのに、まだ自分を守るのかと嫌気がさす。
「どうかな? 実際にホストの世界に飛び込んで、学ぶ事も多かったし、何より自分の持っていた自信みたいなものが、独りよがりの傲慢でしかないって気付けたのは大きかったと思っているよ」
枕から顔を上げてハルを見れば、愛しいって感じで目を細めて、笑んでいる。
「何処へいっても格好良いとかイケメンとか言われて、何しても許されて、甘やかされて育ったからね。でもホストの世界は見た目だけじゃ成り立たないし、全てが完璧だから良いっていう訳でもない。みんな自分を分かっていて、魅せ方も分かっていて、その上で気配りとか配慮とか、話題選びや口調から仕草まで操作している。こういう人がプロで稼ぐんだって痛感させられる場所だったよ」
「俺もハルの接待に騙されてる?」
ハルに悲しそうな笑みが浮かぶ。
「たった1年じゃ大して身についていないよ。それに俺は稼ぐ為じゃなく、人付き合いを学びに行っていただけだから。兄の友人の店だしね、ヘルプとボーイしかやってなかったよ。だから他人に対する愛想は良くなったかな程度で、基本は変わっていない」
「そう? だったらハルは最初から良い人なんだよ」
基本が違う。お金に困った事のない裕福さが所作にあるし、ゆったりした構え方に余裕が見えるのも、生活水準の高さが窺える。これは俺のやっかみなのかも。ハルはきっと狭いコタツの中で家族の足が邪魔で喧嘩した経験なんてないだろうし、最後の一個の取り合いもした事がなさそうだ。
「俺ってユウキにはそんなに良い人に見えてる?」
そう言って嬉しそうに笑まれると、途端に恥ずかしくなる。ちらっと視線を向けたら、返す言葉を期待されていて———言葉が思いつかないから、ハルを引き寄せてキスした。
「——ん、んッ……」
自分から舌を絡めて、ハルの舌を吸う。湿った音が耳に響いて、ゾクゾクした。
「ユウキ?」
至近距離で見つめられて、視線をあげられない。
「——ハル、すきだ」
ボソッと呟いて、視線を上げる。ぽかんとしたハルがいた。声は届いていると思う。でも信じられないのか。
「誰かとキスできるとは思ってなかった。一緒のベッドで寝るのも無理だと思ってた。——でも、ハル、好きだよ。ハルの隣にいたい。ハルと一緒にいるの安心できる。胸が苦しくなる。……俺じゃハルには相応しくないけど、でも、ハルが欲しい。恋人として、……抱いて欲しい。ハル、ハルにだったら、おれ———」
奪われるようにキスされて、ぎゅうぎゅうに抱きしめられた。痛いくらい舌を絡められ、口内を舐められた。頬から下りて行き、喉を吸われて、耳元で好きだと言われる。ゾクゾクした。ビクビク震えた。声を出さないようにしているのに、意思に反して声が漏れる。恥ずかしいのに、嬉しくて——。
「ハル、ハル、——好き、好きなんだ、ハル——」
肌に触れられて、吸われて、舐められてる。手がいろんな部分に触れて、翻弄される。好きだと吐息と共に吐き出せば、俺もと言ってキスをくれた。
「ハルのその気遣いって、ホストの延長?」
好きだって、本気で付き合いたいって告げようとしたのに、まだ自分を守るのかと嫌気がさす。
「どうかな? 実際にホストの世界に飛び込んで、学ぶ事も多かったし、何より自分の持っていた自信みたいなものが、独りよがりの傲慢でしかないって気付けたのは大きかったと思っているよ」
枕から顔を上げてハルを見れば、愛しいって感じで目を細めて、笑んでいる。
「何処へいっても格好良いとかイケメンとか言われて、何しても許されて、甘やかされて育ったからね。でもホストの世界は見た目だけじゃ成り立たないし、全てが完璧だから良いっていう訳でもない。みんな自分を分かっていて、魅せ方も分かっていて、その上で気配りとか配慮とか、話題選びや口調から仕草まで操作している。こういう人がプロで稼ぐんだって痛感させられる場所だったよ」
「俺もハルの接待に騙されてる?」
ハルに悲しそうな笑みが浮かぶ。
「たった1年じゃ大して身についていないよ。それに俺は稼ぐ為じゃなく、人付き合いを学びに行っていただけだから。兄の友人の店だしね、ヘルプとボーイしかやってなかったよ。だから他人に対する愛想は良くなったかな程度で、基本は変わっていない」
「そう? だったらハルは最初から良い人なんだよ」
基本が違う。お金に困った事のない裕福さが所作にあるし、ゆったりした構え方に余裕が見えるのも、生活水準の高さが窺える。これは俺のやっかみなのかも。ハルはきっと狭いコタツの中で家族の足が邪魔で喧嘩した経験なんてないだろうし、最後の一個の取り合いもした事がなさそうだ。
「俺ってユウキにはそんなに良い人に見えてる?」
そう言って嬉しそうに笑まれると、途端に恥ずかしくなる。ちらっと視線を向けたら、返す言葉を期待されていて———言葉が思いつかないから、ハルを引き寄せてキスした。
「——ん、んッ……」
自分から舌を絡めて、ハルの舌を吸う。湿った音が耳に響いて、ゾクゾクした。
「ユウキ?」
至近距離で見つめられて、視線をあげられない。
「——ハル、すきだ」
ボソッと呟いて、視線を上げる。ぽかんとしたハルがいた。声は届いていると思う。でも信じられないのか。
「誰かとキスできるとは思ってなかった。一緒のベッドで寝るのも無理だと思ってた。——でも、ハル、好きだよ。ハルの隣にいたい。ハルと一緒にいるの安心できる。胸が苦しくなる。……俺じゃハルには相応しくないけど、でも、ハルが欲しい。恋人として、……抱いて欲しい。ハル、ハルにだったら、おれ———」
奪われるようにキスされて、ぎゅうぎゅうに抱きしめられた。痛いくらい舌を絡められ、口内を舐められた。頬から下りて行き、喉を吸われて、耳元で好きだと言われる。ゾクゾクした。ビクビク震えた。声を出さないようにしているのに、意思に反して声が漏れる。恥ずかしいのに、嬉しくて——。
「ハル、ハル、——好き、好きなんだ、ハル——」
肌に触れられて、吸われて、舐められてる。手がいろんな部分に触れて、翻弄される。好きだと吐息と共に吐き出せば、俺もと言ってキスをくれた。
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