27 / 39
27 本心を晒すのは怖い
しおりを挟む
自分の内側ばかりを見て、傷つかないように守っていた事実がここに来て弊害になっている。受け入れられなくても良いと思っていたのは、受け入れられたい気持ちの裏返しで、こんなにも求めていたのだと気付かされた。
「ハルのその気遣いって、ホストの延長?」
好きだって、本気で付き合いたいって告げようとしたのに、まだ自分を守るのかと嫌気がさす。
「どうかな? 実際にホストの世界に飛び込んで、学ぶ事も多かったし、何より自分の持っていた自信みたいなものが、独りよがりの傲慢でしかないって気付けたのは大きかったと思っているよ」
枕から顔を上げてハルを見れば、愛しいって感じで目を細めて、笑んでいる。
「何処へいっても格好良いとかイケメンとか言われて、何しても許されて、甘やかされて育ったからね。でもホストの世界は見た目だけじゃ成り立たないし、全てが完璧だから良いっていう訳でもない。みんな自分を分かっていて、魅せ方も分かっていて、その上で気配りとか配慮とか、話題選びや口調から仕草まで操作している。こういう人がプロで稼ぐんだって痛感させられる場所だったよ」
「俺もハルの接待に騙されてる?」
ハルに悲しそうな笑みが浮かぶ。
「たった1年じゃ大して身についていないよ。それに俺は稼ぐ為じゃなく、人付き合いを学びに行っていただけだから。兄の友人の店だしね、ヘルプとボーイしかやってなかったよ。だから他人に対する愛想は良くなったかな程度で、基本は変わっていない」
「そう? だったらハルは最初から良い人なんだよ」
基本が違う。お金に困った事のない裕福さが所作にあるし、ゆったりした構え方に余裕が見えるのも、生活水準の高さが窺える。これは俺のやっかみなのかも。ハルはきっと狭いコタツの中で家族の足が邪魔で喧嘩した経験なんてないだろうし、最後の一個の取り合いもした事がなさそうだ。
「俺ってユウキにはそんなに良い人に見えてる?」
そう言って嬉しそうに笑まれると、途端に恥ずかしくなる。ちらっと視線を向けたら、返す言葉を期待されていて———言葉が思いつかないから、ハルを引き寄せてキスした。
「——ん、んッ……」
自分から舌を絡めて、ハルの舌を吸う。湿った音が耳に響いて、ゾクゾクした。
「ユウキ?」
至近距離で見つめられて、視線をあげられない。
「——ハル、すきだ」
ボソッと呟いて、視線を上げる。ぽかんとしたハルがいた。声は届いていると思う。でも信じられないのか。
「誰かとキスできるとは思ってなかった。一緒のベッドで寝るのも無理だと思ってた。——でも、ハル、好きだよ。ハルの隣にいたい。ハルと一緒にいるの安心できる。胸が苦しくなる。……俺じゃハルには相応しくないけど、でも、ハルが欲しい。恋人として、……抱いて欲しい。ハル、ハルにだったら、おれ———」
奪われるようにキスされて、ぎゅうぎゅうに抱きしめられた。痛いくらい舌を絡められ、口内を舐められた。頬から下りて行き、喉を吸われて、耳元で好きだと言われる。ゾクゾクした。ビクビク震えた。声を出さないようにしているのに、意思に反して声が漏れる。恥ずかしいのに、嬉しくて——。
「ハル、ハル、——好き、好きなんだ、ハル——」
肌に触れられて、吸われて、舐められてる。手がいろんな部分に触れて、翻弄される。好きだと吐息と共に吐き出せば、俺もと言ってキスをくれた。
「ハルのその気遣いって、ホストの延長?」
好きだって、本気で付き合いたいって告げようとしたのに、まだ自分を守るのかと嫌気がさす。
「どうかな? 実際にホストの世界に飛び込んで、学ぶ事も多かったし、何より自分の持っていた自信みたいなものが、独りよがりの傲慢でしかないって気付けたのは大きかったと思っているよ」
枕から顔を上げてハルを見れば、愛しいって感じで目を細めて、笑んでいる。
「何処へいっても格好良いとかイケメンとか言われて、何しても許されて、甘やかされて育ったからね。でもホストの世界は見た目だけじゃ成り立たないし、全てが完璧だから良いっていう訳でもない。みんな自分を分かっていて、魅せ方も分かっていて、その上で気配りとか配慮とか、話題選びや口調から仕草まで操作している。こういう人がプロで稼ぐんだって痛感させられる場所だったよ」
「俺もハルの接待に騙されてる?」
ハルに悲しそうな笑みが浮かぶ。
「たった1年じゃ大して身についていないよ。それに俺は稼ぐ為じゃなく、人付き合いを学びに行っていただけだから。兄の友人の店だしね、ヘルプとボーイしかやってなかったよ。だから他人に対する愛想は良くなったかな程度で、基本は変わっていない」
「そう? だったらハルは最初から良い人なんだよ」
基本が違う。お金に困った事のない裕福さが所作にあるし、ゆったりした構え方に余裕が見えるのも、生活水準の高さが窺える。これは俺のやっかみなのかも。ハルはきっと狭いコタツの中で家族の足が邪魔で喧嘩した経験なんてないだろうし、最後の一個の取り合いもした事がなさそうだ。
「俺ってユウキにはそんなに良い人に見えてる?」
そう言って嬉しそうに笑まれると、途端に恥ずかしくなる。ちらっと視線を向けたら、返す言葉を期待されていて———言葉が思いつかないから、ハルを引き寄せてキスした。
「——ん、んッ……」
自分から舌を絡めて、ハルの舌を吸う。湿った音が耳に響いて、ゾクゾクした。
「ユウキ?」
至近距離で見つめられて、視線をあげられない。
「——ハル、すきだ」
ボソッと呟いて、視線を上げる。ぽかんとしたハルがいた。声は届いていると思う。でも信じられないのか。
「誰かとキスできるとは思ってなかった。一緒のベッドで寝るのも無理だと思ってた。——でも、ハル、好きだよ。ハルの隣にいたい。ハルと一緒にいるの安心できる。胸が苦しくなる。……俺じゃハルには相応しくないけど、でも、ハルが欲しい。恋人として、……抱いて欲しい。ハル、ハルにだったら、おれ———」
奪われるようにキスされて、ぎゅうぎゅうに抱きしめられた。痛いくらい舌を絡められ、口内を舐められた。頬から下りて行き、喉を吸われて、耳元で好きだと言われる。ゾクゾクした。ビクビク震えた。声を出さないようにしているのに、意思に反して声が漏れる。恥ずかしいのに、嬉しくて——。
「ハル、ハル、——好き、好きなんだ、ハル——」
肌に触れられて、吸われて、舐められてる。手がいろんな部分に触れて、翻弄される。好きだと吐息と共に吐き出せば、俺もと言ってキスをくれた。
0
あなたにおすすめの小説
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
男子高校に入学したらハーレムでした!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
ゆっくり書いていきます。
毎日19時更新です。
よろしくお願い致します。
2022.04.28
お気に入り、栞ありがとうございます。
とても励みになります。
引き続き宜しくお願いします。
2022.05.01
近々番外編SSをあげます。
よければ覗いてみてください。
2022.05.10
お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。
精一杯書いていきます。
2022.05.15
閲覧、お気に入り、ありがとうございます。
読んでいただけてとても嬉しいです。
近々番外編をあげます。
良ければ覗いてみてください。
2022.05.28
今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。
次作も頑張って書きます。
よろしくおねがいします。
平凡ワンコ系が憧れの幼なじみにめちゃくちゃにされちゃう話(小説版)
優狗レエス
BL
Ultra∞maniacの続きです。短編連作になっています。
本編とちがってキャラクターそれぞれ一人称の小説です。
強制悪役劣等生、レベル99の超人達の激重愛に逃げられない
砂糖犬
BL
悪名高い乙女ゲームの悪役令息に生まれ変わった主人公。
自分の未来は自分で変えると強制力に抗う事に。
ただ平穏に暮らしたい、それだけだった。
とあるきっかけフラグのせいで、友情ルートは崩れ去っていく。
恋愛ルートを認めない弱々キャラにわからせ愛を仕掛ける攻略キャラクター達。
ヒロインは?悪役令嬢は?それどころではない。
落第が掛かっている大事な時に、主人公は及第点を取れるのか!?
最強の力を内に憑依する時、その力は目覚める。
12人の攻略キャラクター×強制力に苦しむ悪役劣等生
陰キャ系腐男子はキラキラ王子様とイケメン幼馴染に溺愛されています!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
まったり書いていきます。
2024.05.14
閲覧ありがとうございます。
午後4時に更新します。
よろしくお願いします。
栞、お気に入り嬉しいです。
いつもありがとうございます。
2024.05.29
閲覧ありがとうございます。
m(_ _)m
明日のおまけで完結します。
反応ありがとうございます。
とても嬉しいです。
明後日より新作が始まります。
良かったら覗いてみてください。
(^O^)
俺にだけ厳しい幼馴染とストーカー事件を調査した結果、結果、とんでもない事実が判明した
あと
BL
「また物が置かれてる!」
最近ポストやバイト先に物が贈られるなどストーカー行為に悩まされている主人公。物理的被害はないため、警察は動かないだろうから、自分にだけ厳しいチャラ男幼馴染を味方につけ、自分たちだけで調査することに。なんとかストーカーを捕まえるが、違和感は残り、物語は意外な方向に…?
⚠️ヤンデレ、ストーカー要素が含まれています。
攻めが重度のヤンデレです。自衛してください。
ちょっと怖い場面が含まれています。
ミステリー要素があります。
一応ハピエンです。
主人公:七瀬明
幼馴染:月城颯
ストーカー:不明
ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
内容も時々サイレント修正するかもです。
定期的にタグ整理します。
批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる