青春デモクラシー!

Mr.owl

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第六話 有言実行せよ!

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ー斉藤妃空sideー

 とうとう、青春デモクラシー決行日がやって来た。
 今は職員会議の真っ最中。全教師が職員室に集まっている。
 私たちは職員室を囲む。
「みんな、いくよ」
小声でおかんが合図する。ゾンビ、ヨロ、勇者、私は無言で首を振る。
ちなみにこの囲む作戦は、ヒカ姉いわく、「戦国時代に籠城する敵と我慢比べをするのによくやっていた良い攻め方」だそうだ。(言っていることの半分はゾンビ以外理解できない)そのやり方を採用して、ヒカ姉の言うままに二人一組で囲む。両隣のクラスに3人ずつ、ドアの前に6人ずつ、窓の外にも6人、事務室の前に3人。でもこの大人数は、逃げた時に取り押さえる用。メインの飛び込み隊は2人だけ。この2人は、頭の回転が速いゾンビと、言い出しっぺのヨロ。先生が反撃してきたら、全員が飛び込む。そして、これはゾンビが言ってたんだど、録音しとけってさ。だから録音機を仕掛けてある。なに?ああ、録音機持ってきていいの?って?いやもう今から職員室飛び込もうとしてるし、そーゆーのはもうなんか気にしなくてよくない?
まあ、ひとつ致命傷は、うちの学校の職員室が二階にあること。でもヒカ姉が、「讃岐《さぬき》城なんざ何十メートルあると思ってやがる!」とかなんとか誰も知らないうどんのお城の名前言って、この作戦になった。(さぬきうどんって美味しいよね☆)
それから、魔王ちゃん(魔王)が言ってたんだけど、人間が混乱してくれるのはわずか20秒らしい。どこで手に入れたのそんな情報。…って言いたいところだけど、そろそろ本番だよ~!ドラマ撮影じゃないけど~!
「いい?やるなら勝つ!有言実行だよ!」
「おう!」
小声のやり取りののち、飛び込み隊が職員室に飛び込んだ。
「おい、神谷に万屋!今会議中だから、後にしろよ」
「先生、僕たちずっと考えていたんです。“学校”というものの情勢を!」
「は?」
「俺たちは、勉強するためにここにきています。それは学習面だけに限ったことではない。身体面、精神面共に多く学んでいる」
「しかぁし!」
「真夏の炎天下の中、警戒アラートが国から出ているというのにマラソンをさせたり、頭を動かさず朝会に参加しろなど、人間には不可能なことまで要求することは、決してこの令和の時代にしていいことではない!」
「それな!」
いやホントにそれな?つか、やる気満々じゃんゾンビ。めっちゃ喋っとるし。待ってクソ面白いわ。結構いい感じくない?と、今度はヨロが大声で意見する。
「道徳でみんな平等という学びを教える側が、偉そうにしてはいけないと思います!」
「それな」
ヤバイ共感できすぎて面白いわ。
「待って!先生たちは今まで君たちにもっと向上心を持ってほしいと思ってきました。君たちは私たちとは考えることが違うかもしれない。でもね、あなたたちはまだ子どもでしょう?子どもは大人に学ぶものよ」
「ええ、学んでいます。ただ、それが謎の方向に動いているのだ!戦後と変わらぬこの日本の教育界。この、我が中学校から変われば良いのではないでしょうか!」
「確かに、俺らはまだ子どもだ。でも、意見することは認められてるだろ!」
「お、おい?神谷?万屋?どうした?」
ふふっ実はこの間に、ヒカ姉と魔王ちゃん率いる生徒勧誘組が、放課後のピロティで叫びまくっている。ピロティはトンネルのせいで職員室の死角!そしてよく声が響く!ここでデモクラシーのことを話すと危険だと思ってたけど、それを逆手に取ったってわけよ!
「さあ若人!明るい未来はすぐそこだっ!」
「日本中の中学生よ!常識を疑え!」
「革命だーっ!!」
大事な情報が生徒に漏れて噂にならないめ、職員室に防音効果があることも敵の致命傷。大声なのに全く聞こえていない様子である。
 そして職員室組は。
「大切な会議中に変なことを言うな!」
「くそっ仕方がない!」
無言で背中に手を回していたゾンビから、指の合図。一気に制圧だ。
「「これがっ!革命っ!!だーーー!!」」
全員で職員室に突っ込んで叫ぶ。ヨロがカーテンをシャーっと素早く開け、窓も開けた。
窓の外には、“青春デモクラシー!”とかいた大きな赤い旗が、謎の全身赤い格好をした、(魔王ちゃんとヒカ姉含め)たくさんの生徒に掲げられ、風になびいていた。
驚いてモノを言えない教師たちに変わって、校長先生が椅子から立ち上がって、こちらに歩いてきて、私たちを見た。
校長先生が聞いた。
「君たちの要望は何かな?」
私と勇者が代表して答えた。
「みんなで作り上げる授業にしてほしい」
「そして、教師陣ともっと仲良くしたい!」
「…わかった」
校長先生は静かに笑った。
「それでは、これからこの職員会議は、“生徒の成績を上げるために”ではなく、“生徒と共に授業を作り上げるために”何ができるかを考えるとしようかな」
私たちは、全員で頭を下げた。
「「ありがとうございますっ!!!」」
ヨロが、窓の外の魔王ちゃんとヒカ姉と、それから他のメンバーに向かって、goodサインを送った。その瞬間、わーっと歓声が響き渡り、みんなの白い息と一緒に(忘れてたと思うけどもうすぐバレンタインの季節だよ☆)旗が冬の空に高く舞い上がった。
……時間にしたらほんの数分。でも、少なくとも私には、とても長い時間に感じられた。

そのあとはすぐに撤収し、いつも通りみんなで家に帰った。そして後日。私たちはまた7人で永野邸に集まった。打ち上げパーティーをするためだ。ヒカ姉が大量の手作りデザートを持ってきて、みんなで食べた。
「美味しい!」
「サンキュー」
「や~にしても今回は凄かったね」
「伝説でしょ俺ら」
「だろうね!」
「なんやかんやハッピーエンドだったね」
「だな」
みんな楽しそうで何より。いやまあ、結構キツかったけどね何分もあのしゃがんだ体制。
…なーんちゃって!

次回、
最終話「進歩はあったのか」
魔王ちゃんsideでーす☆

     To be continued!

追伸 誰か紙とペン持ってない?絵、描きたいんだけど。
 
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