あの~、ちょっといいですか?

佐土原いづる

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それぞれの戦い編

それぞれの戦い

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私は今、エンシ殿に昼食を渡し終えた。

「国王陛下、ただいま災いをもたらす者に昼食を配り終えました」

「うーん、おとなしすぎんかね。普通処刑を目の前にして心を乱さない奴がおるとは思えんが。何か考えでもあるのか?」

さすがの国王でも気づくか。最初は災いをもたらす者が捕らえられたことで、身の安全が保障されて緊張がほぐれたように見えたのだが、、

「実は、奴は一度暴れようとしたことがあります」

「そうなのか?」

「は。その時は私が気絶させ、リンネ様に力が込められた札を張りました。これで力を封じ込めることができました。あとは処刑を待つだけです。」

「おう、そうであったか。」

「はい、わざわざご報告することでも無いかと思っておりましたので。私にお任せください」

「あぁ、しっかり頼んだぞ」

「ところで、陛下。処刑が終わった後の、国の行く末はどうするおつもりで? これまで通りリンネ様に、」

「リンネは用済みだ。そもそも、占いなんぞに国の全てを預けるなど昔から気にくわなかなったのだ」

「リンネ様の力は占いだけにはとどまりません。様々な所で力になってくれると思いますが」

「決定事項だ」

「御意。それでは失礼します。」

やはり、国の事は何も考えていないようだ。どっちみち救世主がいなくても、本当の災いによってこの国は滅ぶ運命にあるのかもしれない。国王の天下はもうすぐ終わるだろう。国王にあいさつをした後そのままリンネ様の下へと向かう

「リンネ様、進行状況はいかがでしょう?」

「ハイウェル、ご苦労様です。彼らには処刑の日、城の近くで暴動を起こしてもらいます。城が混乱している間にエンシさんを裏口から脱出させます。そのためには警備兵に協力をしてもらわなければなりません。そちらは大丈夫ですか?」

「はい。今や内部は分裂状態です、おそらく大丈夫でしょう」

「そうですか、少し希望が大きくなってきましたね」

「リンネ様、あなたはエンシ殿と一緒に脱出をお願いします」

「えぇ。そのつもりです。もうすぐですね」

やる事は大体決まった。あとは全力を尽くすだけだな

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

今私たちはカスタの飲み屋さんで休憩している。エンシの処刑まであと3日、あまり時間は無いけど、疲れたままエンシを助けに行くのは危険だというジャスミンの提案で、あまり急ぎ過ぎないようにしている。

「アーヤちゃん声が出るようになったんだね!」

「そうなんです、あの時はありがとうございました。楽しかったです!」

店主さんも快く迎え入れてくれた。

「今日は急いでいるので働けないんです、ごめんなさい」

「別に構わないよ、いつの間にかお仲間も増えたねぇ。なにかやらなければならないことがあるんだろう?」

「そうなんです。失敗は許されない、大事なことが、、」

そんな話をしているとドアを叩く音と、「フォー、フォー」と鳴き声が聞こえる。占い師の遣いが来たんだわ。

入り口を開けるとフクモウがカミを咥えていた。それを手に取ると私の肩に乗ってきた

「アーヤが飼い主みたいね」ジャスミンが少し笑顔になる

「へぇ。占い師はフクモウに手紙を持たせるのか! おもしれぇな!」オーノさんも声を張り上げる

「人間慣れしているみたい、図々しいやつね!」フクモウは知らん顔だ。届いた手紙を開く

『お疲れ様です、問題なく帝都に向かっているようですね。エンシさんも特に変化はありません。作戦決行は処刑の当日、狩人のみなさんで暴動を起こしてください。その混乱に乗じて裏からエンシさんを城から脱出させます。人力車の方と女性陣は王城裏に小さな小屋があるので、そこで待機をお願いします。もしかすると戦闘に巻き込まれるかもしれません、こちらでも細心の注意を払いますが、準備は怠らないように』

「ふーん、まぁこれしかないわなぁ。とりあえず、お前らはあんちゃんを助けたら帝都を離れてくれ。こっちはこっちでなんとかするからよぉ」

「わかりました。ちょっと遠いけど、生きていたらクルトで落ち合いましょう。」

「余裕に決まってんだろう! 命の取り合いをした経験が圧倒的に違うからよぉ!」

「それだけ元気があれば十分ね」ジャスミンとオーノさんが簡単に打ち合わせをする

「俺! ちょっと走り込みしてきます!」緊張しているのだろう、タビさんが飛び出していった

「いよいよね」レーナも意気込んでいる

『わかりました、お互いがんばりましょう。エンシのこと、よろしくお願いします。』

ぶっちゃけ作戦と言えるほど計画性のあるものではないわ、本番はたくさんの人でごった返す帝都の中を動き回ることになるだろうし。でもなんとかなる、私はそう信じる

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

「あの~、ハイウェル将軍呼んでもらえますか?」

外の警備兵に尋ねる。今は夜だということはわかってるけど、時間の感覚がほとんどない。

「あぁ、ちょっと待ってろ」

しばらく待っていると、ハイウェルさんが来てくれた

「どうしたんだ?」

「ハイウェルさんは、俺が救世主だと思ってるんですよね?」

「あぁ、そうだが」

「もし、ここから脱出できたとして、俺がその後の災厄に負けたら・・・どうします?」

ハイウェルさんが考え込んでしまった

「俺、自信が無いんです。いきなり救世主だって言われて、みんなががんばって助けようとしてくれて。それは、俺が救世主だから。俺がこの国を救うことを期待しているからでしょう? 俺が救世主じゃなかったら、ハイウェルさんが俺を助けてくれることはなかっただろうし。俺は、みんなの期待に応えることができるんですか?」

「うーん・・・」






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