俺のモテ期がなんか思ってたのと違う

佐土原いづる

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5話

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このお寺、肝試しの場としてはかなり本格的だ。長い階段に、両脇にはうっそうと森が茂っている。

別に幽霊が出ると有名というわけではないし、規模も小さめでさくっと行ってさくっと帰るにはちょうどいい感じなのだが、雰囲気あるなぁ。

俺は幽霊とかあまり気にした事がないし、それっぽいものも見たことない。でもやっぱり意識してしまう。

「じゃあ、僕と新くん。昇くんは妹さんとペアでいいよね?♪」

「待て待て!こっちは2人とも怖がりなんだ! 俺らだけで寺の中に入るなんて無理だって!」

昇が必死な顔で異議を申したてる

「じゃあ、俺とユイが2人のどちらかとそれぞれペアを組むか?」

「え~、これは僕と新くんのデートなんだよ~。それじゃあ意味ないじゃあん」

こっちはこっちで頬を膨らませてやがる…

「あーわかったよ! もう全員で行こう、それしかないだろう!?」

「うん! みんなで行こっ!」

昇の妹、みちるちゃんだっけ?が元気な声で賛同する

「お、おう。それが、いいんじゃないか?」

「お前ちょっとはプライド見せたらどうなんだよ…」

「人間誰にも向き不向きっていうのがあるんだよ! 虫なら大丈夫なんだが、幽霊とかそういう触れない物は無理なんだ!」

「まぁ、別にいいよそれで。でも、新くんの隣は僕だからね!」

「わかったよ…」

わがままなじゃじゃ馬たちを連れて、ゆっくりと階段を上り始めた。

「お、おい。まじで何も音がしねぇじゃねーか。新、なんかしゃべってくれよ…」

「そんな事言われても、特にいうことないって…」

「……」

沈黙の中、とあるアイデアが思いつく。なんか、びびっているみんなを見ているとやりたくなる。俺もびびってるけどせっかくだ、やってやる!



「わっ!!!」


「うげぇ!」※昇

「きゃっ!!」※みちる

「やっ!!!」※ユイ


「てめ、この野郎!」

いきなり大声を出してみんなを驚かせると、昇に首をホールドされた

「いてて! ベタなドッキリだろ! ビビりすぎだって!」

「もう…。帰りたい…」

みちるちゃんが目をウルウルさせてしまった。ちょっとやり過ぎたかな、あれ?右腕が重い

「……」

ユイが俺の右腕にがっちり抱き着いていた

「ユイ、こういうの大丈夫だったんじゃないの?」

「いやぁ、僕もそう思ってたんだけど。いざ来てみると怖くて…」

「じゃあ、やめるか?」

「いや、行く…」

「俺も行くぜ。この恐怖を乗り越えてこそ男だ…」

「お兄ちゃん…」

「みちるはやめとくか?」

「1人はいやだよ~」

あ~、もうめちゃくちゃだ。怖いならやめりゃいいのに…。

「じゃあみちるちゃん、俺と一緒に行こうか。ビビりの兄ちゃんよりはましだろ」

「う、うん。」

みちるちゃんと手を繋ぎ、お寺の中に入る。

「あらた、お前だけ両手に女の子くっつけてずるいぞ!」

「仕方ないだろ!」

昇がさりげなくとんでもないことを口走った気がするが、今は突っ込んでる余裕がない。

「別に幽霊が出るとか、そういう寺じゃないんだろ?ユイ」

「たぶん。そういうのは聞いたことないけど…」

もう一度ユイに確認を取り、ゆっくりと中を散策していく。だけど、歩いているうちにだいぶ慣れてきた。暗い中に和の神聖な佇まい、風情があっていいじゃないか。

そして左にいるみちるちゃんも、慣れてきたのか手を握る力が弱まりリラックスしているように感じる。むしろその目は好奇心で光っているようだ。

本堂は閉まっているため、ぐるっと敷地内を1周し階段を下りて終了、時間にして30分もかからなかった。これはもはや肝試しというより散歩に近い何かだったな。

「ふぅー。なんとか乗り切ったぜぇ」昇は緊張が解かれ近くの石に座り込む。

「暗いってだけで怖くなるもんだねー。新くん頼もしかった♪」ユイも少しずつ元気が戻ってきたようだ。だが、この短時間で1番成長したのは…

「あー楽しかった! 今度は別の所にも行きたいね!」

みちるちゃんは笑顔いっぱいだ

「おいおい、みちるに何が起きたんだよ…」

「もともと素質があったんだろう、こういうのに」

「あらた兄ちゃん、今度は2人で行こうねー! お兄ちゃんは怖がって邪魔だから♪」

「ガーン!!」

昇がショックで固まってしまった。


そんなこんなで肝試しは終了。まだ1時間も経っていないというのに、みんな精神的に疲れてしまっていてこの場でお開きとなった。でも、楽しかった。転校してきて不安だったけれど、1か月くらいでここまで遊べる友達ができるとは、なかなか運が良いと思う。

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