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フリマとフリーコンサート
作詞作曲練習練習
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「よーっし! やるぞ、バンドーっ! 」
という望月の提案により、俺たちはゴールデンウィーク最終日のフリーライブに出場するらしい。
三好はギターを、立花はだいたいなんでも、早瀬はベースかドラムならできるという話だ。が、俺と望月はそんなご都合主義的な楽器経験があるわけなかった。
「そういえば、マスターも楽器弾けるんだよね」
「ん? いや弾けないけど」
「ご冗談を~。調べはついてるんだからね。マスターって、4歳から小学2年生の頃までピアノ習ってたんでしょ? みんなちゃ~んと知ってるんだから」
どこで調べたんだそんなもん。確かに経験はあるが、今となってはまともにメロディーを奏でられるかどうかも知らない。てか無理だろ。
「これでキーボード担当も決まりだね! 」
いや勝手に決めるなよ。無理だって。
「あ、そうだ。愛果ちゃん、曲はどうするの? どこから借りようか」
そういえばそうだ。どこからパクってくるのか、どんな曲をパクるのか、何一つとして決まっていない。早くも雲行きが怪しくなってきたバンドチームである。
前提で既に崩壊寸前ではあったが。
「そんなの、自分たちで作ったらイイじゃん」
まるで当たり前のことを指摘された弁護人みたいな顔で、望月はそう言った。
「曲も歌詞も自分たちで作って、自分たちのバンドを作るんだよ! 」
ニカッと笑う望月は、輝きのあまり反対勢力を糾弾するくらいの威力を発揮していた。相手にうむを言わせる気すら無いらしい。
「……分かった。曲はそれでいいとして」
全然よくねぇって早瀬。結局何も決まっていないぞ。
「それぞれ、どの楽器を担当するか決めないとね。ボーカルにギター、ベースやドラムにキーボード。みんな、どれにする? 」
早瀬の提案で、レンタル楽器屋に着くまでに決めることとなった。
やりたい楽器の取り合いで大変なことになる……なんて小学生の音楽会みたいな事態は、流石に起きなかった。想像以上にすんなり決まったのだ。
相談した結果、ボーカルは望月、ギターに三好、ベースを立花、ドラムが早瀬、そしてキーボード担当が俺……。
「つーか……望月は楽器やらなくていいのか? 」
あれだけギターにハマっていたのに、そういえば望月はボーカルを選んでいる。
お前が楽器ハマった時の思いつきなのに、なんでお前がやらないんだよ。
「ギターをしても良かったんだけどね、歌を歌った方がさ、きっともっと楽しいと思うんだ! 自分たちで作った歌を、大勢の人たちの前で披露する……ワクワクしてこない? 」
しないね、俺は。第一にそこまで客が来ねぇだろ。
「じゃあ、作詞作曲は愛果ちゃんにやってもらおうかしら」
いつの間にか指揮権を握ってる早瀬の指名に、望月は当然とでも言いたげに胸を張った。
「あと立花さんにもお願いできるかしら。いくらなんでも、1人で全部作るのは大変だからね」
「了解した」
刹那の間もなく立花の了承が得られた。
望月と立花の作る曲か……どんなのができるのか楽しみではある。
楽器を借りた後、三好と早瀬の協力もあり、その日は俺の昔懐かしい勘を取り戻すために費やされた。
ピアノの勘とは実に約9年ぶりの再会である。どうやら久しぶりすぎる再会のため、人見知りでもしているのかあの時のように目を合わせようとしない。1日中勘の心を解きほぐすと、とりあえずこちらには振り向いてくれたようだ。
あの時程ではないが、着実に上達しているのが分かる。しかし……曲がないとこれ以上練習のしようがない。
立花と望月は、部屋に引きこもって必死に作詞作曲をしていた。明日には出来立てホヤホヤの曲で練習ができるのだろう。多分だけど。
そして翌日。
本番は明日と考えると、時間のなさに笑えてきそうだ。たった1日で0から100までやらねばならないのだ。過労死するかもしれない。アクビよりも溜め息の方が多い朝なんて久しぶりである。昨日の練習である程度の勘を取り戻せたとはいえ、簡単な曲しか弾けないのが現状だ。
2人はまだ部屋に閉じこもっているようで、曲作りに苦戦しているのが見て取れる。そりゃ作詞作曲のド素人が昨日今日でどうにかできるもんではないだろう。それでもどうにかしないといけないのだ。
朝メシをとっとと済ませて、俺も家にある電子ピアノに向かった。
しばらくボロンボロンとピアノの音色に酔いしれていると、
「できたーっ! 」
廊下からドッカーンと、花火みたいな声が聞こえてきた。
「なんだ、思ったよりも元気そうじゃないか望月。てっきり徹夜作業でぐったりしてるんじゃないかと思ったよ」
廊下から姿を現した望月は、登山初心者が富士山を制覇した時のような、ズブズブと深みにハマっていきそうな達成感てんこ盛りの笑顔をしていた。
「私の元気は、そんなことじゃへこたれないよー! それよりホラ、できたよ! 曲! 」
望月から渡されたのは、ノートと手書きの楽譜数枚のセットだった。
ノートには雑で丸っこい字がビッシリ埋まっている。途中落書きがチラホラ見えるのは気の所為ってことにしておこう。今回だけな。
楽譜は、まるで印刷されたかのような綺麗さを誇っていた。鉛筆っぽい線じゃなければ、多分本気で印刷されたものだって信じていただろう。字面だけでここまで個性って出るもんなんだな。
「よし、じゃあ早瀬と三好にも連絡してさっさと練習するか。2人には悪いが全然時間がないんだ。徹夜だからなんて言い訳するなよ」
「もちろんだよ! 」
「言い訳……? そんなの、するわけがない」
2人とも全然平気そうで何よりだ。特に発案者望月がこんなとこで倒れたら、俺が張り倒してやるくらいの覚悟でいてもらいたいもんだ。なんてったって発案者なんだからな。早速早瀬と三好に連絡して、10分後には近所の公園に集合していた。
「マスター、何してるの? 」
俺が幅の広い箱を置いていると、早瀬が不思議そうな目を向けてきた。
「ん? これか? まぁ大したことじゃないんだけどさ、こうして箱を置いてたら、俺たちの練習を見て金を恵んでくれる聖人の登場を期待してるんだよ」
「マスターって……どこまでも金の亡者なのね。そんなにお金が欲しいんだったら西田君を恐喝したらいいんじゃない? 」
最後のは流石に冗談だとは思うが、早瀬からそんなこと聞くとは思ってなかったな。
別に西田を恐喝するくらいしてもいいんだが、生活費を支えるほどにはならんだろう。
やるならもっと頑張らないとな。たとえば……西田をパクって身代金要求とか。
その日は1日中楽器をかき鳴らして終わった。
望月と立花が作った曲は、想像以上に難易度が低く設定してある。それなりの腕があれば1日の練習で形だけでも繕えるくらいには。
しかし、それでいて奥深いメロディーにできる曲であるのも確かだ。作曲のセンスも半端ないらしいな、立花は。作詞の方も、歌うヤツが自ら作った詞なのだ。暗記については全く問題ない。いかにも作詞したヤツが歌詞の裏から見えてくる、まさに『それらしい』ってことばを歌にしたような感じだった。
「ふぅ……それじゃあ、もう時間も遅いことだし、これでお開きにしよっか。みんな、お疲れ様」
早瀬がそう言ったのは、夜の8時が過ぎようとしていた頃だった。いつの間にかそんなに時間経ってたのか。
長い間鍵盤を叩きまくったせいで手が痺れるくらい痛い。みんなも疲れたような表情でそれぞれの家に帰った。
いよいよ明日が本番である。
不安しかないのが本音だが、何よりの望みは明日風邪引くか台風来てコンサートが中止になることだ。
頼むよ神様、今回ばかりは慈悲をくれ。
という望月の提案により、俺たちはゴールデンウィーク最終日のフリーライブに出場するらしい。
三好はギターを、立花はだいたいなんでも、早瀬はベースかドラムならできるという話だ。が、俺と望月はそんなご都合主義的な楽器経験があるわけなかった。
「そういえば、マスターも楽器弾けるんだよね」
「ん? いや弾けないけど」
「ご冗談を~。調べはついてるんだからね。マスターって、4歳から小学2年生の頃までピアノ習ってたんでしょ? みんなちゃ~んと知ってるんだから」
どこで調べたんだそんなもん。確かに経験はあるが、今となってはまともにメロディーを奏でられるかどうかも知らない。てか無理だろ。
「これでキーボード担当も決まりだね! 」
いや勝手に決めるなよ。無理だって。
「あ、そうだ。愛果ちゃん、曲はどうするの? どこから借りようか」
そういえばそうだ。どこからパクってくるのか、どんな曲をパクるのか、何一つとして決まっていない。早くも雲行きが怪しくなってきたバンドチームである。
前提で既に崩壊寸前ではあったが。
「そんなの、自分たちで作ったらイイじゃん」
まるで当たり前のことを指摘された弁護人みたいな顔で、望月はそう言った。
「曲も歌詞も自分たちで作って、自分たちのバンドを作るんだよ! 」
ニカッと笑う望月は、輝きのあまり反対勢力を糾弾するくらいの威力を発揮していた。相手にうむを言わせる気すら無いらしい。
「……分かった。曲はそれでいいとして」
全然よくねぇって早瀬。結局何も決まっていないぞ。
「それぞれ、どの楽器を担当するか決めないとね。ボーカルにギター、ベースやドラムにキーボード。みんな、どれにする? 」
早瀬の提案で、レンタル楽器屋に着くまでに決めることとなった。
やりたい楽器の取り合いで大変なことになる……なんて小学生の音楽会みたいな事態は、流石に起きなかった。想像以上にすんなり決まったのだ。
相談した結果、ボーカルは望月、ギターに三好、ベースを立花、ドラムが早瀬、そしてキーボード担当が俺……。
「つーか……望月は楽器やらなくていいのか? 」
あれだけギターにハマっていたのに、そういえば望月はボーカルを選んでいる。
お前が楽器ハマった時の思いつきなのに、なんでお前がやらないんだよ。
「ギターをしても良かったんだけどね、歌を歌った方がさ、きっともっと楽しいと思うんだ! 自分たちで作った歌を、大勢の人たちの前で披露する……ワクワクしてこない? 」
しないね、俺は。第一にそこまで客が来ねぇだろ。
「じゃあ、作詞作曲は愛果ちゃんにやってもらおうかしら」
いつの間にか指揮権を握ってる早瀬の指名に、望月は当然とでも言いたげに胸を張った。
「あと立花さんにもお願いできるかしら。いくらなんでも、1人で全部作るのは大変だからね」
「了解した」
刹那の間もなく立花の了承が得られた。
望月と立花の作る曲か……どんなのができるのか楽しみではある。
楽器を借りた後、三好と早瀬の協力もあり、その日は俺の昔懐かしい勘を取り戻すために費やされた。
ピアノの勘とは実に約9年ぶりの再会である。どうやら久しぶりすぎる再会のため、人見知りでもしているのかあの時のように目を合わせようとしない。1日中勘の心を解きほぐすと、とりあえずこちらには振り向いてくれたようだ。
あの時程ではないが、着実に上達しているのが分かる。しかし……曲がないとこれ以上練習のしようがない。
立花と望月は、部屋に引きこもって必死に作詞作曲をしていた。明日には出来立てホヤホヤの曲で練習ができるのだろう。多分だけど。
そして翌日。
本番は明日と考えると、時間のなさに笑えてきそうだ。たった1日で0から100までやらねばならないのだ。過労死するかもしれない。アクビよりも溜め息の方が多い朝なんて久しぶりである。昨日の練習である程度の勘を取り戻せたとはいえ、簡単な曲しか弾けないのが現状だ。
2人はまだ部屋に閉じこもっているようで、曲作りに苦戦しているのが見て取れる。そりゃ作詞作曲のド素人が昨日今日でどうにかできるもんではないだろう。それでもどうにかしないといけないのだ。
朝メシをとっとと済ませて、俺も家にある電子ピアノに向かった。
しばらくボロンボロンとピアノの音色に酔いしれていると、
「できたーっ! 」
廊下からドッカーンと、花火みたいな声が聞こえてきた。
「なんだ、思ったよりも元気そうじゃないか望月。てっきり徹夜作業でぐったりしてるんじゃないかと思ったよ」
廊下から姿を現した望月は、登山初心者が富士山を制覇した時のような、ズブズブと深みにハマっていきそうな達成感てんこ盛りの笑顔をしていた。
「私の元気は、そんなことじゃへこたれないよー! それよりホラ、できたよ! 曲! 」
望月から渡されたのは、ノートと手書きの楽譜数枚のセットだった。
ノートには雑で丸っこい字がビッシリ埋まっている。途中落書きがチラホラ見えるのは気の所為ってことにしておこう。今回だけな。
楽譜は、まるで印刷されたかのような綺麗さを誇っていた。鉛筆っぽい線じゃなければ、多分本気で印刷されたものだって信じていただろう。字面だけでここまで個性って出るもんなんだな。
「よし、じゃあ早瀬と三好にも連絡してさっさと練習するか。2人には悪いが全然時間がないんだ。徹夜だからなんて言い訳するなよ」
「もちろんだよ! 」
「言い訳……? そんなの、するわけがない」
2人とも全然平気そうで何よりだ。特に発案者望月がこんなとこで倒れたら、俺が張り倒してやるくらいの覚悟でいてもらいたいもんだ。なんてったって発案者なんだからな。早速早瀬と三好に連絡して、10分後には近所の公園に集合していた。
「マスター、何してるの? 」
俺が幅の広い箱を置いていると、早瀬が不思議そうな目を向けてきた。
「ん? これか? まぁ大したことじゃないんだけどさ、こうして箱を置いてたら、俺たちの練習を見て金を恵んでくれる聖人の登場を期待してるんだよ」
「マスターって……どこまでも金の亡者なのね。そんなにお金が欲しいんだったら西田君を恐喝したらいいんじゃない? 」
最後のは流石に冗談だとは思うが、早瀬からそんなこと聞くとは思ってなかったな。
別に西田を恐喝するくらいしてもいいんだが、生活費を支えるほどにはならんだろう。
やるならもっと頑張らないとな。たとえば……西田をパクって身代金要求とか。
その日は1日中楽器をかき鳴らして終わった。
望月と立花が作った曲は、想像以上に難易度が低く設定してある。それなりの腕があれば1日の練習で形だけでも繕えるくらいには。
しかし、それでいて奥深いメロディーにできる曲であるのも確かだ。作曲のセンスも半端ないらしいな、立花は。作詞の方も、歌うヤツが自ら作った詞なのだ。暗記については全く問題ない。いかにも作詞したヤツが歌詞の裏から見えてくる、まさに『それらしい』ってことばを歌にしたような感じだった。
「ふぅ……それじゃあ、もう時間も遅いことだし、これでお開きにしよっか。みんな、お疲れ様」
早瀬がそう言ったのは、夜の8時が過ぎようとしていた頃だった。いつの間にかそんなに時間経ってたのか。
長い間鍵盤を叩きまくったせいで手が痺れるくらい痛い。みんなも疲れたような表情でそれぞれの家に帰った。
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