異世界転生する話が大好きなお前らのためにコミュ症の私が現実世界の楽しさを教えてやるよwww

円田時雨

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遊園地生活

初テーマパークっ!

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「もしもし……なっちゃん? 今から1泊2日出来る?」
 唐突なこの質問には誰だって戸惑うだろう。今から1泊2日するってきいてハイわかりましたって言ってくれる人が、日本人の中で何人いるか気になるくらいだ。
『え? 今から1泊2日? どーゆーこと?』
 まぁ普通はそうなるよね。
「ぅぇっ……と……アミさんがディスリーランドのチケットを買ってくれたんです。ディスリーホテルに泊まれる特典付きで。3人分買ったって言ってたんで……どうしま……」
『行く! ディスリーランドでしょ? 行く行く! ホテルに泊まれるなんてサイコーじゃない!』
 私の言葉を遮って、なっちゃんはやたらテンションを上げて快諾してくれた。
『ボク、昔からディスリーランドに行ってみたかったんだ~。アミには感謝しないと』
 こんなにテンションアゲアゲのなっちゃんは初めてだ。
 スグにくるという返事をやたら連呼されて電話を終えた私は、アミになっちゃんが来れることを言った。
「流石友希ッ! これで3人で行けるわ!」
 私、なんにもしてないんだけどなぁ。
「こうしちゃいられないわ! 友希、はやく準備しましょ!」
 その言葉を合図に、私とアミは騒がしく用意を始めた。そしてその用意が終わる頃にはなっちゃんとも合流した。
「さっ! 行きましょ、2人とも!」
 私たちはすぐに電車に乗って、新幹線に乗り換えてディスリーランドへ行った。
 ここからディスリーランドに行くのはちょうど4時間かかる。私たちがディスリーランドに着いたのはお昼前くらいだった。
「乗り物を乗りまくるのは明日にしましょ! なっちゃんと友希ががっこーに行くちょっと前の時間に帰ってくれば問題ないもの。今日はゆっくりしながら楽しむのよ!」
 というのがアミの計画らしい。ハードスケジュールではあるが、なっちゃんも私も快諾した。
「おお~…………それにしても凄いのね、ディスリーランドって。まだゴールデンウィークにもなってないのに人で溢れかえってるわ」
 なっちゃんがそう言うのも無理はない。なにせ見渡す限り人、人、人なのだから。こんなに人が多いと寒気がしてくる。
「あれ? どうしたの? 友希、震えてるわよ?」
 アミが私の元へ駆け寄ってきた。
「うぅぅ……その……あまりにも人が多すぎて……震えが止まらなくて……」
「アハハ……流石はコミュ症ってとこよね。アミ、友希は人が多すぎて緊張してるだけなの。心配しなくても大丈夫よ」
 なっちゃんが苦笑いして私を見た。
「友希もそんなに緊張しなくたって大丈夫よ。ボクが全然緊張してないんだから友希も大丈夫だって」
「は……はひ……」
 私の震える肩に手を貸してくれたなっちゃんは、スマホをいじって待ち時間が少ない乗り物を調べてくれた。
「キムチの海賊はそんなに待たなくてすみそうね。ほら、待ち時間が30分だよ」
 なっちゃんについていった私たちは、すぐにキムチの海賊がある場所にたどり着いた。思ったよりも行列は短いようだが、それでもやはり待つようだ。
 なっちゃんはリュックサックから小説を取り出して、それを読み始めた。
「あ、それって……」
「え? 友希、知ってるの? このお話。ボク好きなんだぁ」
 知ってるもなにも、なっちゃんが読もうとしている小説はかなり有名なやつだった。
 深みのあるストーリーに惹き付けられる文章の書き方で読書家に人気を博している。作者の上杉サクラさんはその姿を一切公に見せない謎の人物で、それがまた話題を呼ぶ一因となっているのだ。
 なんでこんなに上手いこと文章が書けるのかな。ぜひともお話がしてみたい。私からは一言も喋れないと思うけど。
「なっちゃんは……好きなんですか? その人の作品……」
「もちろんよ、全部読んだわけじゃないけどね」
 そう言ってなっちゃんは読書を始めた。
 私もなにか暇つぶしになるものくらい持ってきたら良かったかな? 一応スマホは持ってきたけど外でソシャゲとかあんまりしないし、っていうか出来ないと思うんだよなぁ……。
「友希~、暇暇暇~!」
 アミがこーなるって分かってたから……。
「あ、友希~ッ、スマホ貸して~」
 え? マジかー……。
 どうやらアミは、ソシャゲやる気満々らしい。
 私がやってるソシャゲなんて音ゲーと格ゲーしかないんだけど大丈夫かな。格ゲーくらいは出来るかな。
 とか考えていると、いきなりアミが柵に身を乗り出した。勢いのあまり柵が倒れそうになるが、それをなんとか阻止した後に、
「見て見て見て友希~ッ! あの人たちはなに? すッご~い!」
 大声で向かい側の乗り物の列を指さしながら言った。
 アミが指さした方向を見ると、そこには黒スーツの人たちでごった返していた。中には女の人も混じっていてカッコイイ。その姿は目立ちまくっているおかげで、乗り物に人が寄り付かなくなってしまっている。
 しかしよくよく見てみると、黒スーツの人たちは乗り物に乗ろうとしているのではなく、誰かを囲んでいるだけだとわかった。その誰かを守っているようだ。
 VIPとかの警護かな? 白眼でも使えたらすぐそれが分かるんだけど……。
 よーく目を凝らしながら見ると、黒スーツ集団の中心に小さな影が見えた。
「ちょっと! そんなに大袈裟にするなって何回言えばいいの? あなたたち邪魔よ! 人数を減らしなさい!」
 小さな影が大きな声でわめいた。黒スーツの1人は速やかにそれを全体に伝え、黒スーツ軍団は数十人から数人まで激減していった。
「見て友希、あんなに小さな子が大人に命令してるわ」
 え? マジなの? 
 注意深く小さな子を見てみる。
「こういう場所くらい1人でゆっくりしたいのに……」
 そこにいたのは、小学生くらいの小さな女の子だった。
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