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がっこー生活!
アミの授業ッ!
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「ちょっと……アミってまさか、友紀と同棲してるの?」
服の裾を引っ張って聞かれたことに、笑いでごまかしながらも、私たちはリビングに足を踏み入れた。
「おかえりなさい友紀! それに待ってたわみんな! こっち来てッ!」
後光が眩しいくらいのとびきりな笑顔を見せたアミは、お母さんが昔調子のって買ったホワイトボードをリビングまで運んできた。
「へぇ……思ったよりもちゃんとしてるんだ~」
なっちゃんがほえ~っと感心の声をあげる。
「ふ~ん……」
サクラちゃんは、興味無さそうに私のおもちゃで遊んでいる。壊さなかったらまぁいいか。私もたまに遊ぶし。リビングのソファまで私たちを案内したアミは、私が意味もなく買った指揮棒を取り出した。いつの間に物置をいじられてたんだろう。別にいいけどさ。
『クリアーベント』
「うぉっ? びっくりしたー……」
いやアンタなにしとるんだー! ベルデのデッキなんてよくそんなの選んだな……。
「ハイハイハーイッ! みんな、これから授業を始めたいと思いまーす!」
ペンでなにかを書き始めたアミだが、
「あッ! あれ忘れてた!」
そう言って私がコスプレ用に買ってみたはいいけどコスプレしねぇなぁって物置に眠っていたメガネを引っ張り出してきた。
「これで少しはせんせーっぽくなったよね、友紀ッ!」
「……どこで学んだのよそんなの」
「ホントね、ったく……」
『ソードベント』
いつまで遊んでるんだサクラちゃんは。原因を問われるとですね……私のせいです本当にすみませんでした。
「みんな、今日は~」
なにを溜めてるんだろ。クイズ番組とかの見過ぎなのかな?
「メーヌリスについておベンキョーしてもらいますですでござりまするですわよ!」
なんだその日本語は! 緊張してるのかそれとも最初っからアミの日本語がおかしいのか……。
「アミ~、しっかり~」
何の応援をしてるんだろうかなっちゃんは。そして私はすっかり(心の中で)ツッコミ役に徹してしまった。
「ところで、ディスリーランドの時も言ってたけどメーヌリスってなんなの?」
そう言えばサクラちゃんって知らなかったんだっけ?
「メーヌリスっていうのは、ここで言う異世界よ!」
「はぁ?」
サクラちゃんにものすごい形相で睨まれる。
「友紀、これもアンタの影響を受けた結果……じゃないわよね」
メガネのことはバレてたか……。
「こ……ここには、異世界転生モノの本とか……そ……それ系のアニメのDVDは……ぁの……ないです」
「サクラちゃん、アミの言ってる事は本当よ。信じられないかもしれないけど、アミはメーヌリスっていう所から来た、メーヌリスの意志そのものなのよ」
真剣味のある表情で言うなっちゃんだが、
「はぁ?」
信じてもらえそうになかった。
「そうなの! メーヌリスに住んでる人はね、ココ最近ずぅーっと争ってばっかりなの。だから、争いを止めるためにエレツに存在する『友達』ってなにかを知るために、ここに来たってわけよ!」
「つまりアミは、自分の世界の争いを止めたいっていう、世界の意志そのものが擬人化してここに来たっていうの? この世界の友達とは何かを学ぶために」
さすがは作家さん。恐ろしくはやい理解……私でなきゃ見逃しちゃうね。
「信じられないわね、そんなおとぎ話」
サクラちゃんは私のおもちゃを元の位置に戻したあと、さっきのセリフを補足するように続けた。
「私は小説家として、色んなところに行ってた行ってるの。テキトーに思い浮かべたアイデアだけじゃなく、実際にあった面白い話を参考にしたりするためにね。でも、世界中どこを探してもそんな話聞いたことないわ。異世界? ド素人が、わけも分からず首を突っ込んだ小説の話を、信じろなんて言われても信じられないでしょ」
一瞬シンとした、重たい空気が流れる。ところが、アミだけは終始笑顔を貫き通した。状況を理解してない……っていうのは、さすがにないよね。
「心配しないで、サクラちゃん! 今は信じなくてもいいの。これから信じてもらえればイイもん!」
おぉ~。ポジティブ神アミの考えにはつくづく頭が下がる。この状況だと大体「どうして信じてくれないの?」とか「本当だって! 信じてよ!」みたいなセリフが飛び交う場面だろう。いや、アミならそんなこと言わないか。
「話が逸れちゃったわねッ。それでは、授業を始めたいと思いま~す」
私となっちゃんから謎の拍手が起こる。サクラちゃんは、別のおもちゃを引っ張り出してきて遊んでいた。アミは鼻歌を歌いながら、ホワイトボードになにかを書き書きした。結構絵が上手いらしく、幼稚園児の絵を見せられる覚悟は捨ててもよさそうだ。
「これが、メーヌリス人よ!」
私たちの方に向き直ってホワイトボードをバンッ! と叩くアミ。叩いた所に書いてあった絵が霞んでしまう。
「え……それって人なの?」
なっちゃんがそう言うのも仕方がない。そこに描いてあった絵は、四本足で立つバケモノだった。
服の裾を引っ張って聞かれたことに、笑いでごまかしながらも、私たちはリビングに足を踏み入れた。
「おかえりなさい友紀! それに待ってたわみんな! こっち来てッ!」
後光が眩しいくらいのとびきりな笑顔を見せたアミは、お母さんが昔調子のって買ったホワイトボードをリビングまで運んできた。
「へぇ……思ったよりもちゃんとしてるんだ~」
なっちゃんがほえ~っと感心の声をあげる。
「ふ~ん……」
サクラちゃんは、興味無さそうに私のおもちゃで遊んでいる。壊さなかったらまぁいいか。私もたまに遊ぶし。リビングのソファまで私たちを案内したアミは、私が意味もなく買った指揮棒を取り出した。いつの間に物置をいじられてたんだろう。別にいいけどさ。
『クリアーベント』
「うぉっ? びっくりしたー……」
いやアンタなにしとるんだー! ベルデのデッキなんてよくそんなの選んだな……。
「ハイハイハーイッ! みんな、これから授業を始めたいと思いまーす!」
ペンでなにかを書き始めたアミだが、
「あッ! あれ忘れてた!」
そう言って私がコスプレ用に買ってみたはいいけどコスプレしねぇなぁって物置に眠っていたメガネを引っ張り出してきた。
「これで少しはせんせーっぽくなったよね、友紀ッ!」
「……どこで学んだのよそんなの」
「ホントね、ったく……」
『ソードベント』
いつまで遊んでるんだサクラちゃんは。原因を問われるとですね……私のせいです本当にすみませんでした。
「みんな、今日は~」
なにを溜めてるんだろ。クイズ番組とかの見過ぎなのかな?
「メーヌリスについておベンキョーしてもらいますですでござりまするですわよ!」
なんだその日本語は! 緊張してるのかそれとも最初っからアミの日本語がおかしいのか……。
「アミ~、しっかり~」
何の応援をしてるんだろうかなっちゃんは。そして私はすっかり(心の中で)ツッコミ役に徹してしまった。
「ところで、ディスリーランドの時も言ってたけどメーヌリスってなんなの?」
そう言えばサクラちゃんって知らなかったんだっけ?
「メーヌリスっていうのは、ここで言う異世界よ!」
「はぁ?」
サクラちゃんにものすごい形相で睨まれる。
「友紀、これもアンタの影響を受けた結果……じゃないわよね」
メガネのことはバレてたか……。
「こ……ここには、異世界転生モノの本とか……そ……それ系のアニメのDVDは……ぁの……ないです」
「サクラちゃん、アミの言ってる事は本当よ。信じられないかもしれないけど、アミはメーヌリスっていう所から来た、メーヌリスの意志そのものなのよ」
真剣味のある表情で言うなっちゃんだが、
「はぁ?」
信じてもらえそうになかった。
「そうなの! メーヌリスに住んでる人はね、ココ最近ずぅーっと争ってばっかりなの。だから、争いを止めるためにエレツに存在する『友達』ってなにかを知るために、ここに来たってわけよ!」
「つまりアミは、自分の世界の争いを止めたいっていう、世界の意志そのものが擬人化してここに来たっていうの? この世界の友達とは何かを学ぶために」
さすがは作家さん。恐ろしくはやい理解……私でなきゃ見逃しちゃうね。
「信じられないわね、そんなおとぎ話」
サクラちゃんは私のおもちゃを元の位置に戻したあと、さっきのセリフを補足するように続けた。
「私は小説家として、色んなところに行ってた行ってるの。テキトーに思い浮かべたアイデアだけじゃなく、実際にあった面白い話を参考にしたりするためにね。でも、世界中どこを探してもそんな話聞いたことないわ。異世界? ド素人が、わけも分からず首を突っ込んだ小説の話を、信じろなんて言われても信じられないでしょ」
一瞬シンとした、重たい空気が流れる。ところが、アミだけは終始笑顔を貫き通した。状況を理解してない……っていうのは、さすがにないよね。
「心配しないで、サクラちゃん! 今は信じなくてもいいの。これから信じてもらえればイイもん!」
おぉ~。ポジティブ神アミの考えにはつくづく頭が下がる。この状況だと大体「どうして信じてくれないの?」とか「本当だって! 信じてよ!」みたいなセリフが飛び交う場面だろう。いや、アミならそんなこと言わないか。
「話が逸れちゃったわねッ。それでは、授業を始めたいと思いま~す」
私となっちゃんから謎の拍手が起こる。サクラちゃんは、別のおもちゃを引っ張り出してきて遊んでいた。アミは鼻歌を歌いながら、ホワイトボードになにかを書き書きした。結構絵が上手いらしく、幼稚園児の絵を見せられる覚悟は捨ててもよさそうだ。
「これが、メーヌリス人よ!」
私たちの方に向き直ってホワイトボードをバンッ! と叩くアミ。叩いた所に書いてあった絵が霞んでしまう。
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