異世界めぐりの白と黒

小望月 白

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第二の世界

起床

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「あれ………?」


目を開けるとそこは見慣れた天井だった


「私の部屋だ」


むくりと起き上がれば少し頭痛がする


「なんか変な夢見て気がする」


しかし思い出せない。1人でうんうん唸っているとカチャリとドアが開き寝室にアリネスが入ってきた


「!」


「あ、アリネスおはようー。私……」


そこまで言うと走ってきたアリネスに激しく抱きしめられた


「レイチェル様、どこか痛いところはございませんか?違和感は?体調はいかがですか?!」


ーー何言ってるんだろう


しかし私を抱きしめる腕が震えている。とりあえず落ち着かせようとぽんぽんとアリネスの背中を叩く

「大丈夫よ。ちょっと頭が痛い気がするけど、きっと寝すぎね。ていうか私昨日いつの間に寝たのかしら。全然覚えてないわ」


するとアリネスはそっと離れると「申し訳ありません。取り乱しました」と言った後「何かお飲み物をお持ちしますので少々お待ちを」と言って再び部屋を出て行ってしまった。



ーーん?


















「失礼します、レイチェル様」


「大丈夫よ。入って」


アリネスから受け取ったお茶をベッドで飲んでいるとルルの声がする。ベットから降りると言ったのだが何故かアリネスが許してくれなかった。


「おはようございます、レイチェル様。専属護衛騎士代表として参りました」


「代表?」


「レイチェル様、1番最近の記憶で覚えておられるのはどの様な事がお聞きしてもよろしいですか?」


代表の意味がわからず私が首を傾げているとアリネスが聞いてくる


「最近……」


うーんと唸りながら考えるが特に思い出せない。



ーーなんかランカの花は見てた気がするけどいつも見てるから1番最近かって言われるとちょっと怪しい



「ミザン、という名前にお心あたりは?」


「!」


ルルの言葉で突然思い出す



「まって、私貴族の方に……」


サーっと血の気が引いていく気がする。



ーー不敬罪とか、なるのかな



すると私の言葉を聞いたアリネスは「思い出されたのですね」と言う



「ええ、多分」



ーーなんか結構な喧嘩の売り方をしたので間違いなければ



「あ!そうだアリネス。ミザン様はどうなったかしら!ちょっと記憶が曖昧だけどお倒れになった気がするんだけど」


「ルル、報告を」


「はっ!4日前のあの日、気を失われたミザン様はナファリが近場の守衛に引き渡し、その後は王城側の手配でご自宅へ帰られたそうです」


ピシッと背筋を伸ばしたルルはハキハキと答える。しかし1つ気になる部分があった。


「4日前……?」



ーーえ、待って待ってどういうこと?



混乱しているとアリネスが静かに私へと向かい合う


「レイチェル様、落ち着いて聞いてくださいね」


「うん」


「ミザン様と花壇の前でお会いしてから今日で4日目なのです」


「私、そんなに寝てた?」


「はい。ミザン様がお倒れになった後すぐにレイチェル様もお倒れになられたのです」


ーーあ、思い出してきたかも


「それは……心配かけてごめんなさい。それと他のみんなは?私の言動でみんなに迷惑をかけてはいないかしら」


「ご安心を。私や騎士の者皆何も問題ございません」


アリネスが優しく背に手を置きながら答える


「そう。それならまだよかった……私の倒れた時の事教えてくれる?大分思い出したけどまだ少し曖昧な感じなの」


「かしこまりました。その前にもし大丈夫そうなら少し何かお召し上がりになられませんか?」


「そうね。ありがとう、頂くわ」



それから結局胃に優しい食べ物を準備して貰っている間にお風呂に入る事になった。
お風呂からあがってさっぱりした後に運ばれてきたのは野菜を細かく細かく刻み、じっくり煮込んだスープだった。


ーーこれ、絶対今作り始めたんじゃないよね……いつ目が覚めてもいい様に準備してくれてたのかな


もう色んな人に申し訳なさやら、感謝やらが溢れてくる。


ーーせっかくだから頑張って食べないと


正直そんなに食欲はないがせっかくのスープだ。食べないと申し訳ない。
それにこの後体力が保たない気がする。


「食べられる分だけで良いですからね」


私の考えを見透かした様にアリネスがスープ皿を置きながら言う


「……はい」








しかし結局スープは全て食べきれてしまった。胃がびっくりするからやめておかないかと言うアリネスの言葉はもっともだったがスープをきっかけに急激にお腹が空き、結局念の為と持ってきておいてくれたロールパンも平らげてしまった。



「ご馳走さまでした」


ふぅと一息ついてお茶を飲む。



「さて、じゃあ長々と待たせてごめんなさいねアリネス、ルル。話を聞かせて貰える?」


「はい、レイチェル様」


ずっと待っていてくれたルルは嫌な顔1つせずに微笑む


「では、あの日の事ですが……」


「あっ!あっ!ごめんちょっと待って。アリネス、アリネスとルルの分のお茶も淹れて貰ってもいい?」


するとアリネスは当然かの様に追加のお茶の準備を始める。しかし焦ったのはルルだ。


「お、お待ち下さいレイチェル様!話は致しますが本日お茶はご一緒できません」


そう言って座ろうとしない。


ーーでも長くなるし……


「ルル、前にも言いましたが諦めましょう」


ーーアリネス、ナイスアシスト!



ルルが観念した所でお茶が入った。

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