異世界めぐりの白と黒

小望月 白

文字の大きさ
93 / 149
第二の世界

精霊の庭

しおりを挟む

お茶会当日になった。私の体調も無事回復した。一応大事を取って扇舞の練習はお茶会が終わってからという事になったのでお預けだが、お茶会が終わるまでは毎日頭の中でイメージトレーニングや部屋でできる軽い体操などで体力を付けている。


数分で全身の筋肉をしっかり伸ばせるリズミカルな運動なのだが、どこで覚えたかは全く覚えていないのに内容は覚えている。
そして音楽と共に身体を動かす気がするので自分で「チャーンチャーララチャチャチャ」と歌いながら踊っているのだが物凄くアリネスからの評判が悪い。


「もっと私がぐっとくる様な踊りでお願いします」と言っていたがこれが1番身体を伸ばせる気がするので無視しておいた。




「いよいよですね」


「うん。当日だから色々やる事沢山あると思うけど宜しくね」


「お任せください」


アリネスに髪を結って貰いながら鏡越しの会話をする。



「そういえば今日はお庭でお茶会よね?あのお花の香りがする所」


「ええ。レイチェル様のご指示通りに」


「ありがとう」


髪を結い、ドレスに着替えて色々と着飾ったら最終確認開始だ。
項目が多いので漏れがない様にしないといけない。


「では、お庭は先程確認しました通り季節の花がバランス良く咲いている精霊メイルーンの庭。お茶菓子は例のレイチェル様が考案なさった物と、従来の花が入っていないものを半分ずつ。
紅茶は多種類を準備しておきそれぞれ来られた方々に自由に選んでいただくと言う事で手配しております。
それから……机には香りのしない花を飾る、でお間違いございませんね?」


「ありがとう。完璧ね」



庭は花の香りがするのに机には香りなしの物を置く理由としては単純にくどいから。



ーーだって香り酔いしそうだし。


庭からふわっと香る香りと、手元で少し香るくらいできっと丁度いいかなと思ってそうお願いすればアリネスはきちんと手配してくれた。
クロスなどの色は全て落ち着いた色合いの物で緑の風景をあまり壊さない様にした。
華やかにするのも良いが今日来られるのは全員女性だし、皆キラキラしいドレスだろうからテーブル周りの物くらい静かでいいだろう。目が疲れる。

なので、シンプルながらも女性が好きそうな動植物がさりげなく入ったりしている物を選んだ。
庭に生えている植物が描かれている物もあるので気がつけば話題のひとつにでもなるかもしれない。



「さて。じゃあ直前の最終確認巡りに出発しましょうか」



薄く施されたメイクを擦って落としてしまわない様必至に手と顔に集中しながら部屋を出る。今日も護衛達は全員集合だ。本当ちゃんと休めているのだろうか。


















「では、お願いしますね」


各々の責任者に簡単な確認と挨拶だけしてすぐに離れる。彼等も忙しいのだ。私が居たら邪魔でしかない。




ーーあれ?




最後に精霊メイルーンの庭へ向かっていると前方に数人集まり何か言い争っている様に見える



「何かあったのかしら」


当日は忙しいから多少そういったトラブルもあるかもしれないが、近づくにつれて言い争いよりも中央にいる女性が何か声を張り上げながら周りに指示を出し、それに対して周りが困った様にしている風に見える



「ちっ」


ふいに舌打ちが聞こえたのでそちらを向くとアリネスが不機嫌な顔を隠そうともせず前方を睨みつけていた


ーー?


もう一度視線を前に戻すとだんだん中央にいる女性の姿が見えてきた


ーーあ、あれって……




「サラン、どうして貴方こんな所にいるのです」



低く、怒りを必死に堪えた声がアリネスから聞こえる。すると中央で沢山指示をしていた様子のサランはパッとこちらを向く。最後に会った時から何も変わらず元気そうだ。



「あっ!レイチェル様!おはようございます!」



ーーアリネスの言葉無視したわね……



ちらりと隣を見ればまさしく『憤怒再到来!』といった様子のアリネスがサランを睨みつけている



「おはようサラン……それで、どうして貴方はここにいるの?確か謹慎は解けていないはずよね?何だかんだでかなり長い謹慎になったって聞いたけど」


するとサランはふふっと愉快そうに笑いながら胸に片手を当て話し出す



「謹慎ならば本日で解けましたよ?それに本日はレイチェル様主催のお茶会だそうじゃないですか!少し前にお聞きしてからもうわたくしお力になりたくてなりたくて!!」



ーー謹慎が解けた?そんな話聞いてないけど



とにかく、今は忙しいから後で聞こうと思いサランにこちらへ来る様言う。するとサランに色々言われていた使用人の男女がオロオロとしている



ーー今はサランに構ってる時間はないんだけどな



「アリネス、とりあえず他のみんなには作業に戻る様言っておいてくれる?」


「………かしこまりました。何かありましたら護衛騎士にお申し付け下さい。ざっくりとは今回の内容を伝えております。」


「ありがとう」


心配そうなアリネスを見送り、サランに向き合う



「謹慎が解けた云々はまた後で聞くとして、何をしていたの?他の使用人の方々はかなり困っていた様に見えたのだけど」


するとサランは少し顔を顰めた



「レイチェル様、あの使用人共は駄目ですよ。何の役にも立ちません」


「どういう事?」


「レイチェル様の良さや今回のお茶会の価値を理解してないのです。全く、話を聞こうとしないので別の使用人をこちらで準備する事になって面倒でした」



ーーん?



サランの言っている意味がわからないのは私の理解力が足りなさすぎるのだろうか。
もう少しきちんと聞こうと思い口を開こうとした瞬間、背後から「レイチェル様!」
と早足でこちらへ向かってくるアリネスが見えた



「あらアリネスどうしたの?」


するとアリネスは怒りで肩を震わせながら言う



「レイチェル様が計画なさったお茶会の予定が大幅に変えられております」










ーーえ?



しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

あなたは異世界に行ったら何をします?~良いことしてポイント稼いで気ままに生きていこう~

深楽朱夜
ファンタジー
13人の神がいる異世界《アタラクシア》にこの世界を治癒する為の魔術、異界人召喚によって呼ばれた主人公 じゃ、この世界を治せばいいの?そうじゃない、この魔法そのものが治療なので後は好きに生きていって下さい …この世界でも生きていける術は用意している 責任はとります、《アタラクシア》に来てくれてありがとう という訳で異世界暮らし始めちゃいます? ※誤字 脱字 矛盾 作者承知の上です 寛容な心で読んで頂けると幸いです ※表紙イラストはAIイラスト自動作成で作っています

ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者

哀上
ファンタジー
チートを貰い転生した。 何も成し遂げることなく35年…… ついに前世の年齢を超えた。 ※ 第5回次世代ファンタジーカップにて“超個性的キャラクター賞”を受賞。 ※この小説は他サイトにも投稿しています。

セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~

空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。 もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。 【お知らせ】6/22 完結しました!

傷物転生令嬢マグダリーナと原初の魔法使いエステラの幻想譚-女神とスライムの光とともに- (旧タイトル:ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異

天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる―― ※他サイトでも掲載しています ※ちょいちょい手直ししていってます 2026.12.14 タイトル変更 旧タイトル:ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活

八百万の神から祝福をもらいました!この力で異世界を生きていきます!

トリガー
ファンタジー
神様のミスで死んでしまったリオ。 女神から代償に八百万の神の祝福をもらった。 転生した異世界で無双する。

処理中です...