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第二の世界
精霊の庭
しおりを挟むお茶会当日になった。私の体調も無事回復した。一応大事を取って扇舞の練習はお茶会が終わってからという事になったのでお預けだが、お茶会が終わるまでは毎日頭の中でイメージトレーニングや部屋でできる軽い体操などで体力を付けている。
数分で全身の筋肉をしっかり伸ばせるリズミカルな運動なのだが、どこで覚えたかは全く覚えていないのに内容は覚えている。
そして音楽と共に身体を動かす気がするので自分で「チャーンチャーララチャチャチャ」と歌いながら踊っているのだが物凄くアリネスからの評判が悪い。
「もっと私がぐっとくる様な踊りでお願いします」と言っていたがこれが1番身体を伸ばせる気がするので無視しておいた。
「いよいよですね」
「うん。当日だから色々やる事沢山あると思うけど宜しくね」
「お任せください」
アリネスに髪を結って貰いながら鏡越しの会話をする。
「そういえば今日はお庭でお茶会よね?あのお花の香りがする所」
「ええ。レイチェル様のご指示通りに」
「ありがとう」
髪を結い、ドレスに着替えて色々と着飾ったら最終確認開始だ。
項目が多いので漏れがない様にしないといけない。
「では、お庭は先程確認しました通り季節の花がバランス良く咲いている精霊の庭。お茶菓子は例のレイチェル様が考案なさった物と、従来の花が入っていないものを半分ずつ。
紅茶は多種類を準備しておきそれぞれ来られた方々に自由に選んでいただくと言う事で手配しております。
それから……机には香りのしない花を飾る、でお間違いございませんね?」
「ありがとう。完璧ね」
庭は花の香りがするのに机には香りなしの物を置く理由としては単純にくどいから。
ーーだって香り酔いしそうだし。
庭からふわっと香る香りと、手元で少し香るくらいできっと丁度いいかなと思ってそうお願いすればアリネスはきちんと手配してくれた。
クロスなどの色は全て落ち着いた色合いの物で緑の風景をあまり壊さない様にした。
華やかにするのも良いが今日来られるのは全員女性だし、皆キラキラしいドレスだろうからテーブル周りの物くらい静かでいいだろう。目が疲れる。
なので、シンプルながらも女性が好きそうな動植物がさりげなく入ったりしている物を選んだ。
庭に生えている植物が描かれている物もあるので気がつけば話題のひとつにでもなるかもしれない。
「さて。じゃあ直前の最終確認巡りに出発しましょうか」
薄く施されたメイクを擦って落としてしまわない様必至に手と顔に集中しながら部屋を出る。今日も護衛達は全員集合だ。本当ちゃんと休めているのだろうか。
「では、お願いしますね」
各々の責任者に簡単な確認と挨拶だけしてすぐに離れる。彼等も忙しいのだ。私が居たら邪魔でしかない。
ーーあれ?
最後に精霊の庭へ向かっていると前方に数人集まり何か言い争っている様に見える
「何かあったのかしら」
当日は忙しいから多少そういったトラブルもあるかもしれないが、近づくにつれて言い争いよりも中央にいる女性が何か声を張り上げながら周りに指示を出し、それに対して周りが困った様にしている風に見える
「ちっ」
ふいに舌打ちが聞こえたのでそちらを向くとアリネスが不機嫌な顔を隠そうともせず前方を睨みつけていた
ーー?
もう一度視線を前に戻すとだんだん中央にいる女性の姿が見えてきた
ーーあ、あれって……
「サラン、どうして貴方こんな所にいるのです」
低く、怒りを必死に堪えた声がアリネスから聞こえる。すると中央で沢山指示をしていた様子のサランはパッとこちらを向く。最後に会った時から何も変わらず元気そうだ。
「あっ!レイチェル様!おはようございます!」
ーーアリネスの言葉無視したわね……
ちらりと隣を見ればまさしく『憤怒再到来!』といった様子のアリネスがサランを睨みつけている
「おはようサラン……それで、どうして貴方はここにいるの?確か謹慎は解けていないはずよね?何だかんだでかなり長い謹慎になったって聞いたけど」
するとサランはふふっと愉快そうに笑いながら胸に片手を当て話し出す
「謹慎ならば本日で解けましたよ?それに本日はレイチェル様主催のお茶会だそうじゃないですか!少し前にお聞きしてからもうわたくしお力になりたくてなりたくて!!」
ーー謹慎が解けた?そんな話聞いてないけど
とにかく、今は忙しいから後で聞こうと思いサランにこちらへ来る様言う。するとサランに色々言われていた使用人の男女がオロオロとしている
ーー今はサランに構ってる時間はないんだけどな
「アリネス、とりあえず他のみんなには作業に戻る様言っておいてくれる?」
「………かしこまりました。何かありましたら護衛騎士にお申し付け下さい。ざっくりとは今回の内容を伝えております。」
「ありがとう」
心配そうなアリネスを見送り、サランに向き合う
「謹慎が解けた云々はまた後で聞くとして、何をしていたの?他の使用人の方々はかなり困っていた様に見えたのだけど」
するとサランは少し顔を顰めた
「レイチェル様、あの使用人共は駄目ですよ。何の役にも立ちません」
「どういう事?」
「レイチェル様の良さや今回のお茶会の価値を理解してないのです。全く、話を聞こうとしないので別の使用人をこちらで準備する事になって面倒でした」
ーーん?
サランの言っている意味がわからないのは私の理解力が足りなさすぎるのだろうか。
もう少しきちんと聞こうと思い口を開こうとした瞬間、背後から「レイチェル様!」
と早足でこちらへ向かってくるアリネスが見えた
「あらアリネスどうしたの?」
するとアリネスは怒りで肩を震わせながら言う
「レイチェル様が計画なさったお茶会の予定が大幅に変えられております」
ーーえ?
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