喫茶店フォレスタ

楠 京子：『強がりの纏う衣装は憧れの人と並んで歩いていたくて』

京子と紳士

「お疲つかれ様さまです。……おや、様になってますね」
「へへ、お父さん、どう？」
「元気な京子さんのイメージにピッタリです」
　休きゆう憩けいを終えてきたらしい盾じゅんが、京子を見てふわりと微ほほ笑えんだ。それに彼女はくるくると回って見せたり、バスケットボールのシュートをしてみたり。
「初はつ恵えさんも、こんな風にやんちゃだったのですかね？」
「こら」
　優しい表情で呟つぶやいたその言葉に、苦笑いしながら初はつ恵えがツッコミを入れた。
「……お母さんみたいに、もっとピシッと決めたい」
　羨うらやましそうに初はつ恵えを見る京子の頬ほおが膨ふくれるのを、後ろから陽よう介すけがつつく。途と端たんに、ギャーギャーと小こ競ぜり合あいが始まり、すぐに出てきた初はつ恵えに、陽よう介すけと京子の頬ほおが引っ張られる。
「痛い」
「せっかく良い気分の相手にちょっかいかけるな。新品の服を触さわられるのも嫌いやだろう」
「う。……はあい。ごめんね、京子」
「……ん。こっちこそ、ごめん」
　仲直りしたところで、盾じゅんが椅い子すを引いて促うながす。
「さあ、格かつ好こいい主しゆ賓ひんをお迎むかえしましょう」
　驚おどろいた後、少し照れながらいそいそと椅い子すに座すわる京子。
　お嬢じよう様さまも、と陽よう介すけもまた案内された。