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断末魔の残穢
02 オープニング
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黒衣に身を包んだ魔女と、ドレスアーマーを身に着けた女騎士は、霧深い闇のダンジョンの中を歩いていた。
魔女の名はミリア=イーズ。
騎士の名はネリス=ヒルドル。
二人はA級冒険者として、闇のダンジョンに現れた龍――『断末魔の残穢』を討伐しに来ていた。
足元の暗いダンジョンの中、ミリアは銀色の瞳を光らせ迷いなく道を進む。
と、ミリアがネリスに囁いた。
「魔物が来る。多分スケルトン系」
「ミリアの目にかかれば、スケルトンもスケスケだな」
「うるさい」
ネリスが剣で魔物を砕き、ミリアは指先から生み出した銀色の炎でそれを燃やす。
作業じみた冒険の最中、ネリスが「静かに」と言う。
「何か聞こえるぞ」
「もう十分静かよ」
闇のダンジョンは、こと静けさと暗さにおいては他の追随を許さない。
「音楽だ……『英雄よ、その道を行け』が聞こえる」
「はあ? そんなわけ――」
冒険者ギルド定番の曲が、ミリアの耳にも届いた。ぽろんぽろんと優しい弦楽器の音色が響いている。
「――うそ。聞こえる」
「ああ、しかもニャーニャー歌っている」
ミリアが「新手の魔物かしら」と警戒するが、ネリスは首を振る。
「こんなにかわいらしい声の魔物、いるわけがない」
「あんたねえ……」
A級冒険者がそんなことを言っていてどうするの、とミリアは呆れた調子で言う。「かわいいのとかきれいなのが危ないんだから」と目を細めた。
だが、ネリスはなおも明るい調子でいる。
「きっと愉快な冒険者がいるに違いない。ミリア、行こう」
「嘘でしょ……」
「万に一つでもその可能性はある……そうだろう? ダンジョンから抜け出せなくなってしまった吟遊詩人が、最期に音楽を楽しんでいるのかもしれない」
「どんな可能性よ」
それならとっくに魔物に襲われてる、とミリアは渋々ながらもネリスに続いた。ダンジョンから抜け出せなくなった冒険者がいるかもしれない――その可能性を見過ごすことができなかったのだ。
「なあミリア。もし本当に吟遊詩人だったら、私たちの冒険を歌にしてもらおう」
「はあ、ほんとにお気楽なんだから」
ネリスとミリアはまだ知らなかった。これから出会う者たちが、吟遊詩人でも、新手の魔物でもないということを――
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と、ミリアがネリスに囁いた。
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「はあ? そんなわけ――」
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「――うそ。聞こえる」
「ああ、しかもニャーニャー歌っている」
ミリアが「新手の魔物かしら」と警戒するが、ネリスは首を振る。
「こんなにかわいらしい声の魔物、いるわけがない」
「あんたねえ……」
A級冒険者がそんなことを言っていてどうするの、とミリアは呆れた調子で言う。「かわいいのとかきれいなのが危ないんだから」と目を細めた。
だが、ネリスはなおも明るい調子でいる。
「きっと愉快な冒険者がいるに違いない。ミリア、行こう」
「嘘でしょ……」
「万に一つでもその可能性はある……そうだろう? ダンジョンから抜け出せなくなってしまった吟遊詩人が、最期に音楽を楽しんでいるのかもしれない」
「どんな可能性よ」
それならとっくに魔物に襲われてる、とミリアは渋々ながらもネリスに続いた。ダンジョンから抜け出せなくなった冒険者がいるかもしれない――その可能性を見過ごすことができなかったのだ。
「なあミリア。もし本当に吟遊詩人だったら、私たちの冒険を歌にしてもらおう」
「はあ、ほんとにお気楽なんだから」
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