最弱ダンジョン商人、ドラゴンスレイヤーになる

杉戸 雪人

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地獄の狂炎

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それにしても、テナのおかげで当面の資金源を確保することができた。回復アイテムやその他便利アイテムも取り揃えることができるぞ。

テナにも、何か欲しいものを買ってやれる……というか、テナにもっと還元しよう。

そんなことを考えては嬉々としていると、ウォロクがぽつりと言う。

「魔物どもがやけにたくさん逃げてくるから来てみたが、魔よけの加護とやらが効いていたからだったのかのう」

たくさんの魔物が逃げてきた……?

「そこまではさすがに……ウォロクさんは、第4領域からここに来たんですか?」
「いいや、第6領域からだの。てっきり第3領域の密林から魔物が来たのかと思ったが」

第6領域は、4、5、7領域と、
第4領域は、1、3、5、6領域と繋がっている。

ウォロクの話を整理するなら、

・3→4→6
・5→4→6
・1→4→6

という経路で魔物が大移動した可能性があった。

「第6領域であれば、第5領域から逃げた可能性もありますね」
「ふむ、確かにありうるか。第1領域からは来ないだろうしのう」

そんな話をしていると、ミリアが「ちょっと」と間に入ってくる。

「魔物がたくさんって……龍種が出現する兆候じゃない」

しんとした空気の中、ウォロクはうなずく。

「だからこそ、わしもここまで来てみたんじゃ」

龍種の魔物の行動原理は、そのすべてが解明されているわけではない。

しかし、平常では起こらない現象が起こった時、ダンジョンの警戒レベルは上昇するのだ。

「にゅんッ!!」突然、灰になっていたテナが目覚める。

何事かと振り返ると、身を屈めて自分の尻尾を足に絡めているテナがいた。

耳をひくひくさせては、顔を動かしている。

そして、何か分かったらしいテナは口を開いた。

「怖い音がする……」

テナが指さしたのは、第4領域『血海の浜辺』に繋がる通路。あるいはその遥か先の何かを感じ取ったのかもしれない。

「あんたたちはギルドに戻りなさい! ダンジョン警戒レベルを警報に上げるように連絡! これをギルドに見せて!」

そう言ってミリアが手渡してきたのは、彼女の冒険者登録証だった。

受け取るさなか、ウォロクは「のーほっほっほ!!」と既に『血海の浜辺』へと走っていた。途中ハンマーが木に引っかかっても無理やり木を折って進んでいる。

これが鎚魔導士ハンマージの力……。

「ああもう! ほんとに龍種だったら一人でどうすんのよ! とにかく、二人は応援を呼んできて! お願い! 間違いだったとしても責任は取るから!」
「その責任、俺たちも負います」

ありがと、と言ってミリアは駆け出す。

「ウォロクー!! 待ちなさーい!!」

俺は彼女たちに背を向け、待っていたテナから背負い箱を受け取る。

「行くぞ!」
「うん!」

『地獄門』にはここから直通の通路がある……俺はテナと共に『熱水の密林』を抜け出すのだった。
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