マシニングオラクル “AIが神を『学習』した世界”

ajakaty

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魂の似姿

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『なんだ…あのバァさんミネルヴァ|君に何も話してないのか?今、君の身体…正確には全身の細胞には“私”を保持していた神酒ナノマシンが染み渡り、。簡単に言うと……君は今、私を宿すに相応しい身体にいるところなんだ』

『ぐっぎぎ!?……新しい身体に生まれ変わってる?……何言ってるかさっぱり分かんねぇ』

 自身の中に響く声を奇異に感じながらも……それ以上に、身体中を駆け巡る痛みが、意識を保つ事にとてつもない労力を強要する。

『フム……分かりやすく表現したつもりだったが、改めて説明するなら……』

 こいつ!まだ長々と説明する気か?!

『いや、ちょっと待て!ぐっ、今はそんな悠長な事はしてられねえ。二つだけ聞かせろ。……お前と、えっと…なんだ、契約?したらジッチャンを助ける事が出来んのか?……それと、あのシヴァとかいういけ好かないヤツ……アイツから切り抜けられんのか?今大事なのはその2つだけだ』

『フム……理解した。では簡潔に……救命はおそらく問題ない。100%とは言い難いが、かなりの高確率で成功だろう。それともう一つ、シヴァの件だが……こちらについては任せたまえ。への対処はさほど難しいものではない。なにしろ私は形だからな』

『……分かった。気になる事は山程あるがジッチャンには時間がねえ……それに、情けねーけど痛みに耐えるのもきつくなってきたわ』

『……本来ならば全身の細胞に“後天的にニューロンとシナプスを構築する”などナノマシンをもってしても発狂沙汰の痛みなのだがね……君がまがりなりにも耐えられているのはご両親から受け継いだ遺伝子と君の身体情報を常に神酒ソーマへアップデートしていたから……』

『ああ!もういいよ!!その構築ってのはいつ終わるんだよ?!』

 自身に響く声を遮る。その姿は見えない筈なのだが……なぜか相手の憮然とする様が見て取れた様な気がした。

『……まぁいいだろう。さあ最後の仕上げだ。改めて思い浮かべたまえ。私は君を守護する新たなる力、共に寄り添い、君をこの世界の調律者へと導くともがらだ。これから君の傍らに住まう者の姿を……自身の魂から掬い取るんだ』

『がっ……俺の魂に寄り添う相棒……?』

『そうだ!』

 その一瞬、頭の中に響く声に呼応するように……ナニかが自身の中に広がるのを感じる。雄雄しく朱色の翼を広げ、たなびく七本の尾翼が目に浮かぶ。力強い首の先には焔の如く立ち上がる羽根飾りを冠に頂いた猛禽の顔と嘴が……

『……バイオニューロン構築完了!顕現する!!!』

 そう聞こえた瞬間……

ーーーーーーーーーー

 『それに関しては阿智羅様がお話しましょう……長引いても数分で構築シークエンスは終了する筈ですので……

 そう言われた瞬間、葵はG19拳銃をホルスターから引き抜き、ミネルヴァと名乗るフクロウにピタリとポイントした。

『まだ……あなたが何者かは分からないけど……アチラ君に万が一の事があったら私はあなたを許さないわよ』

『………私にそのような銃火器脅しは無意味ですが……少し言動が不穏当でしたね。確かに“神酒ソーマ”には生命の危険がありますが、阿知羅様に及ぶ危険度を“限りなく少なくする”為にあらゆる方策が取られております。ご安心下さい』

 フクロウの回答は甚だ頼り無い物だが……ここに未知のテクノロジーが在る事と『五柱の機神』の眷属でない事は間違い無いようだ。しかし……

『グッ…ガァァッ!?』

 依然予断を許さない状況でミネルヴァに注意を向けていると、突然アチラが苦しみだす。

『アチラ君!しっかりして!』

 アチラの身体がびくびくと痙攣し、その首筋には凄まじい量の汗が吹き出ている。漏れ出る苦鳴はとても安心できる様な物ではないが……その時一際大きな痙攣起こり、突然アチラの着ていたシャツの背中が弾け飛んだ。

『そんな……』

 瞬間……アチラの身体が、弾け飛んだかと錯覚するほどの勢いでズタズタになったシャツの下から、筋肉質の背中があらわになる。そこには……

『入れ墨??いや、弾け飛んだ時にはそんなもの……?』

 アチラの発達した背筋のうねりに、ある種の猛禽類に見える姿が浮かびあがりつつあった。反射的にミネルヴァの方に振り返る。

『どうやら問題なくアバターの設定を終えられたようです。間もなく顕現するでしょう』

 ミネルヴァの言葉に再び視線を戻すと、そこには今日何度目かの信じられない光景が現れていた。

『え……?!』

 アチラの背中一面に躍動していた赤い鳥……が
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