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ん…
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僕と記憶の居場所
ある炎天下の下
僕は目を覚ました
「ここは…。」
そこは僕がよく知っている裏山だった。
いつもの大木もあるし鳥用の木箱もある。
でもあることを思い出すことが出来なかった。
「僕は…僕の名前は……。」
すると足音と共に声が聞こえた
「あ、やっと起きたの?」
女の人の声だ。
「キミは…?キミの名前は…?」
女の人の顔が見えた。目は少し垂れていて、瞳の色はローズクォーツのような優しいピンク色をしている。すごく綺麗で黒い長髪だ。そのおかげか白いワンピースがよく似合っている。
「えっ…私?私は莎穂(さほ)だけど…急にどうしたの?」
急に来てやっと起きたの?って話しかけて…なんなんだ…?
「ところで菰深(こみ)くん、落ち着いたかな?」
菰深ってもしかして…
「…菰深?もしかして僕の名前…?」
そう問うと質問が質問で返ってきた。
「本当に大丈夫!??自分の名前覚えてないの!?」
沙穂さんがすごい動揺している。表情どころか動きにまで出ている。まぁ実際名前覚えてないけどね。すると急にぶつぶつなにかを言い始めた。
「本当に覚えてないのね。私の名前もわかんなかったもの。もしかして記憶喪失?でもここは何処とはならなかったわ。人の名前だけ忘れてしまう記憶喪失なんてあるの?あ!菰深くん!ここは何処だかわかる!??」
急に聞かれて少し驚いた。しかし何故だかここは知ってる。
「病院の裏山…であってるかな?」
すると沙穂さんが余計に目を見開いている。またぶつぶつなにかを言い始めた。
「やっぱり場所は覚えてるのね…とりあえず病院に行くべきかしら?でも寝て急に記憶喪失なんておかしいわ。でも相当なショックを受けてここに逃げ出したんだものね…ありえるかも…」
本当になんなんだ。何が起こってるんだ。話についていけない。たっ助けて!爺ちゃん!!ん?自然と爺ちゃんって出てきた…まぁ気にしなくていいや。
……なにやら視線を感じるのだが。ってめっちゃ見られてる!?
「どっ…どうしたんです…か?」
無言のまま近づいてくるんだが…
待ってくれ。近い。顔近い。
「近いんですが…。」
無言のままずっと見ている。
ゲームとかでありそうだな…。
》〉どうする菰深!沙穂には聞こえてないようだ!〈《
▶︎離れる
▷そのまま
▷逃げる
って感じのコマンド。ありそう。ちょっと気にな……
じゃなくて!!
「沙穂さん!急にどうしたんですか!??」
沙穂さんはハッとして下がっていった。
「ごっ…ごめんちゃ☆じゃなくて、えーっと。ごめんなさい。」
一瞬なんかおかしかったぞ。聞かなかったことにしよう…うん。
とりあえずわかったことを整理しよう。
『今までにわかったこと
リスト
【病院の裏山にいる】
【僕の名前は菰深】
【綺麗な女の人は沙穂さん】
【人の名前は何も思い出せないが場所は分かる】』
ぐらいか…。そもそもなんで僕はここにいるんだろう。昼間っぽいし、制服を着ているから学校じゃないのか?なんで僕は裏山で寝てたのだろうか…。
「ねぇ、沙穂さん。僕はなんでここの裏山にいるの?何があったのかも僕は思い出せないんだ。場所しか…。」
すると沙穂さんが少し俯きながら小さな声で喋った。
「……あのね、辛くなるかもしれないけど聞くの?」
辛くなる…?どういうことだ?でも話を聞かないと、何故記憶が無くなったかなんてわからない。聞かないにしてもどうせ知る事になるんだ…。だったらもちろん答えは
「聞きたい。」
沙穂さんは俯いたまま
「本当に…?」
と僕に問う。
僕はもげるくらい首を振りながら
「うんうんうんうんはいはいはいはい聞きたいです聞きたいです聞きたいです聞きたいです聞きたいです」
と言ってたら、沙穂さんがすごく慌てた様子で
「本当に首もげちゃうから止めて!?わかった。わかったから!!そろそろ止めて?!話すからさ!!」
流石に首が痛くなってきたからやめる事にした。あっ…やばい目回った…。まぁ大丈夫でしょ。
沙穂さんが一回深呼吸をしてゆっくりと口を開いた
「あのね…とりあえず何処から言おうかな。あっあそこから言うわね菰深くんはねすごく、ジジこ…ゴホンッ
気を取り直して、菰深くんはねすごくお爺ちゃんっ子なの。ずっとお爺ちゃんと一緒にいたもの。よく『お爺ちゃん助けてー!』って言ってたなぁ…。それでね何故それが関係あるのかって言うと…実はお爺ちゃん一週間前から体調崩して入院してたの。その病院がまぁそこの前の病院ね。そして今日、体調が急変してねあの世に旅立っちゃったのよ…学校で知らせを受けた私と菰深くんはすぐに病院に行った。菰深くんは信じられなかったみたい。よっぽど悲しかったんだろうね。病院に行って反応が全くないお爺ちゃんを見て現実を見た菰深くんは病院からでてね、落ち込んだ時にいつもお爺ちゃんと私と来るここに駆け出していったの。もちろん私もついて行ったわ。病室では無表情だったけどここに来た瞬間に2人で泣いたわ。菰深くんなんて何時間泣いてた事か。そして菰深くんは泣き疲れて寝ちゃったのよ。それで起きたら記憶をなくしちゃったのかもしれない。お爺ちゃんを亡くしたショックでね。」
そう話すと沙穂さんが俯いていたままこっちをみる
「そうだったんですね…。まだ記憶は戻っていませんが、相当辛い思いをしたんですね…」
なんで思い出せないんだ。まだ何かあるのか?と思いとりあえず聞いてみることにした。
「僕ってこの事以外に何かあるんですか?」
沙穂さんが急にそっぽを向いた。
………沙穂さん表情と動きに感情出やすい人だな。ちょっと可愛い。でもそっぽを向いたってことはまだ何かあるのでは…。
「教えてくれますか…?」
そこまで暑くないのにすごい汗をかいている。そこまでやばいのかな!?なに!?僕やばい人なの!??
少し間があいてから沙穂さんがそっぽを向きながら
「あ~あそこに蝶々がいるわ~」
と言い始めた。現実逃避してない!?
「あの…聞かない方がよかったですか…?」
渋々こっちを向いた。嫌なら話さなくてもいいのに…。
「えっ…いいわはぁ…もう話すわよ。実は箛深くんは同じクラスの懍婉ちゃんっていう子と付き合ってるっていう噂。噂だからわからないけど…。思い当たるのはそれしか…」
なんか胸の辺りがざわつく。忘れてはいけないことを忘れてしまっているのか…?
「学校行ってみる…?」
とりあえず行くっきゃない!!
「……」
病院の裏山は覚えてたのに学校はわからない。でも外見だけでわかる。
(デカい………。)
実は本当にヤバい人だったのでは…。
するとポケットの中から着信音がした。
「だ…れ?読めない」
読めないから沙穂さんに見せてみると
「懍婉ちゃんだよ!!」
と言われた。待てちょっまっなんかめっちゃ通知くるんですが!?え、しかも全て長文って…
「ねぇ箛 深くん学校の中行ってみない…?ほら懍婉ちゃんに会ったら記憶戻るかもだし」
まぁそうだなぁ。学校内歩くだけで疲れそうだな。
「ほら行こ?」
僕は頷いた。
ゼェゼエ僕ってこんなに体力なかったの…?やっと教室だ。今はもう放課後らしく明るい声が聞こえてくる。一つだけ気になったことがあった。
「沙穂さんその白いワンピース制服だったんですね…」
そういえば「懍婉ちゃん」って呼んでるの何故かすごい違和感があるんだけど…
「箛 深!!!!!」
急にしかも勢いで飛んできてビックリした…この子が懍婉…ちゃん…?
「懍婉ちゃん今ね箛 深くん記憶喪失なのだからみんなの名前がわからないみたい」
それを聞くと懍婉ちゃんは無表情でこっちに近づいてきた。
「ごめんね~☆箛 深借りてくわ~☆ ボゾッ行くぞ箛 深」
と言って連れてかれたのは学校裏だった。何!?何されるの!?さっき一瞬低音だったし!!(イケボとも言う)怖い。
「…ぼえ…ないの」
ボソボソ言っててよく聞こえない。
「もうめんどくせーの。お前の前では素で話すって決めたから関係ねぇもんな。覚えてねーのか?秘密を」
秘密と懍婉ちゃんに言われて引っかかる。なにか、なにかを忘れて…ハッ
「…懍婉。そうだ、懍婉は男だ…見た目が女でも本当は男……」
懍婉が深いため息をついた。
「やっと思い出したのか…ジジコン」
じっ…否定はしない…。というか
「記憶戻ったぁぁぁぁ!!」
冷たい視線を感じる。きっ…気のせいだな。
「戻ってんのか?じゃあお前好きな人は?」
もちろん!!…そう言われて思い出した。これ言わないと。
「懍婉、僕ら付き合ってる噂あるらしい…」
目を丸くしてから爆笑しだした。
「あははははwまじか。そんなんだったらさ、BLじゃん?あー笑えるー腹痛ぇ」
めっちゃ爆笑してる…珍しい。というか、僕の好きな人沙穂だし。あーあの起きたときの沙穂可愛いかったなぁ…。
「お前、心の声でてんぞw」
しまった。恥ずかしいっ!!
「僕お嫁に行けないっ!!(カワボ)」
え。、今の声まさか懍婉…可愛い。ってかめっちゃニヤニヤされてる。
「百面相草生えるんだけど。そろそろ戻ろうぜ。お前、沙穂のこと好きなのにまた変な噂たつぞ。」
そういえば…そうだったね
懍婉が校舎の方に向かいながら言った。
「沙穂可愛いから他の男子にとられるぞ。さっさと覚悟決めろや。」
…あーもうっ。じゃあ!!
「今から行く。」
もう行くしかない。宣言しちゃったし
「……フッ馬鹿じゃねぇの?まぁいいんだけどさ」
そう言ってまた校舎に向かって歩き出した。そして懍婉は
「頑張れよ。」
とだけ言って校舎内に入って行った。懍婉も応援してくれてるんだ…。
遠くから沙穂らしき人の声が聞こえる。
「み…ーん。菰深くーん。あっいたわ!!さっき懍婉ちゃんとすれ違ったのよ!!」
伝えなきゃ。タイミング良いのか悪いのか…。
「あのね沙穂、僕記憶戻ったんだよ。それで伝えたいことがありゅっ。」
まって、噛んだ。好きで噛むでしょ。普通。
「記憶…戻ったのね。よかったわ。でも伝えたいことって…?」
ぐぬぬぬ、決めたんだ今日言わないと次はない。宣言したしね。もう爺ちゃんもいないから助けを求められない。だから菰深、言うんだ自分で、本当のことを沙穂に話すんだ。
「………沙穂のことが好き。」
ある炎天下の下
僕は目を覚ました
「ここは…。」
そこは僕がよく知っている裏山だった。
いつもの大木もあるし鳥用の木箱もある。
でもあることを思い出すことが出来なかった。
「僕は…僕の名前は……。」
すると足音と共に声が聞こえた
「あ、やっと起きたの?」
女の人の声だ。
「キミは…?キミの名前は…?」
女の人の顔が見えた。目は少し垂れていて、瞳の色はローズクォーツのような優しいピンク色をしている。すごく綺麗で黒い長髪だ。そのおかげか白いワンピースがよく似合っている。
「えっ…私?私は莎穂(さほ)だけど…急にどうしたの?」
急に来てやっと起きたの?って話しかけて…なんなんだ…?
「ところで菰深(こみ)くん、落ち着いたかな?」
菰深ってもしかして…
「…菰深?もしかして僕の名前…?」
そう問うと質問が質問で返ってきた。
「本当に大丈夫!??自分の名前覚えてないの!?」
沙穂さんがすごい動揺している。表情どころか動きにまで出ている。まぁ実際名前覚えてないけどね。すると急にぶつぶつなにかを言い始めた。
「本当に覚えてないのね。私の名前もわかんなかったもの。もしかして記憶喪失?でもここは何処とはならなかったわ。人の名前だけ忘れてしまう記憶喪失なんてあるの?あ!菰深くん!ここは何処だかわかる!??」
急に聞かれて少し驚いた。しかし何故だかここは知ってる。
「病院の裏山…であってるかな?」
すると沙穂さんが余計に目を見開いている。またぶつぶつなにかを言い始めた。
「やっぱり場所は覚えてるのね…とりあえず病院に行くべきかしら?でも寝て急に記憶喪失なんておかしいわ。でも相当なショックを受けてここに逃げ出したんだものね…ありえるかも…」
本当になんなんだ。何が起こってるんだ。話についていけない。たっ助けて!爺ちゃん!!ん?自然と爺ちゃんって出てきた…まぁ気にしなくていいや。
……なにやら視線を感じるのだが。ってめっちゃ見られてる!?
「どっ…どうしたんです…か?」
無言のまま近づいてくるんだが…
待ってくれ。近い。顔近い。
「近いんですが…。」
無言のままずっと見ている。
ゲームとかでありそうだな…。
》〉どうする菰深!沙穂には聞こえてないようだ!〈《
▶︎離れる
▷そのまま
▷逃げる
って感じのコマンド。ありそう。ちょっと気にな……
じゃなくて!!
「沙穂さん!急にどうしたんですか!??」
沙穂さんはハッとして下がっていった。
「ごっ…ごめんちゃ☆じゃなくて、えーっと。ごめんなさい。」
一瞬なんかおかしかったぞ。聞かなかったことにしよう…うん。
とりあえずわかったことを整理しよう。
『今までにわかったこと
リスト
【病院の裏山にいる】
【僕の名前は菰深】
【綺麗な女の人は沙穂さん】
【人の名前は何も思い出せないが場所は分かる】』
ぐらいか…。そもそもなんで僕はここにいるんだろう。昼間っぽいし、制服を着ているから学校じゃないのか?なんで僕は裏山で寝てたのだろうか…。
「ねぇ、沙穂さん。僕はなんでここの裏山にいるの?何があったのかも僕は思い出せないんだ。場所しか…。」
すると沙穂さんが少し俯きながら小さな声で喋った。
「……あのね、辛くなるかもしれないけど聞くの?」
辛くなる…?どういうことだ?でも話を聞かないと、何故記憶が無くなったかなんてわからない。聞かないにしてもどうせ知る事になるんだ…。だったらもちろん答えは
「聞きたい。」
沙穂さんは俯いたまま
「本当に…?」
と僕に問う。
僕はもげるくらい首を振りながら
「うんうんうんうんはいはいはいはい聞きたいです聞きたいです聞きたいです聞きたいです聞きたいです」
と言ってたら、沙穂さんがすごく慌てた様子で
「本当に首もげちゃうから止めて!?わかった。わかったから!!そろそろ止めて?!話すからさ!!」
流石に首が痛くなってきたからやめる事にした。あっ…やばい目回った…。まぁ大丈夫でしょ。
沙穂さんが一回深呼吸をしてゆっくりと口を開いた
「あのね…とりあえず何処から言おうかな。あっあそこから言うわね菰深くんはねすごく、ジジこ…ゴホンッ
気を取り直して、菰深くんはねすごくお爺ちゃんっ子なの。ずっとお爺ちゃんと一緒にいたもの。よく『お爺ちゃん助けてー!』って言ってたなぁ…。それでね何故それが関係あるのかって言うと…実はお爺ちゃん一週間前から体調崩して入院してたの。その病院がまぁそこの前の病院ね。そして今日、体調が急変してねあの世に旅立っちゃったのよ…学校で知らせを受けた私と菰深くんはすぐに病院に行った。菰深くんは信じられなかったみたい。よっぽど悲しかったんだろうね。病院に行って反応が全くないお爺ちゃんを見て現実を見た菰深くんは病院からでてね、落ち込んだ時にいつもお爺ちゃんと私と来るここに駆け出していったの。もちろん私もついて行ったわ。病室では無表情だったけどここに来た瞬間に2人で泣いたわ。菰深くんなんて何時間泣いてた事か。そして菰深くんは泣き疲れて寝ちゃったのよ。それで起きたら記憶をなくしちゃったのかもしれない。お爺ちゃんを亡くしたショックでね。」
そう話すと沙穂さんが俯いていたままこっちをみる
「そうだったんですね…。まだ記憶は戻っていませんが、相当辛い思いをしたんですね…」
なんで思い出せないんだ。まだ何かあるのか?と思いとりあえず聞いてみることにした。
「僕ってこの事以外に何かあるんですか?」
沙穂さんが急にそっぽを向いた。
………沙穂さん表情と動きに感情出やすい人だな。ちょっと可愛い。でもそっぽを向いたってことはまだ何かあるのでは…。
「教えてくれますか…?」
そこまで暑くないのにすごい汗をかいている。そこまでやばいのかな!?なに!?僕やばい人なの!??
少し間があいてから沙穂さんがそっぽを向きながら
「あ~あそこに蝶々がいるわ~」
と言い始めた。現実逃避してない!?
「あの…聞かない方がよかったですか…?」
渋々こっちを向いた。嫌なら話さなくてもいいのに…。
「えっ…いいわはぁ…もう話すわよ。実は箛深くんは同じクラスの懍婉ちゃんっていう子と付き合ってるっていう噂。噂だからわからないけど…。思い当たるのはそれしか…」
なんか胸の辺りがざわつく。忘れてはいけないことを忘れてしまっているのか…?
「学校行ってみる…?」
とりあえず行くっきゃない!!
「……」
病院の裏山は覚えてたのに学校はわからない。でも外見だけでわかる。
(デカい………。)
実は本当にヤバい人だったのでは…。
するとポケットの中から着信音がした。
「だ…れ?読めない」
読めないから沙穂さんに見せてみると
「懍婉ちゃんだよ!!」
と言われた。待てちょっまっなんかめっちゃ通知くるんですが!?え、しかも全て長文って…
「ねぇ箛 深くん学校の中行ってみない…?ほら懍婉ちゃんに会ったら記憶戻るかもだし」
まぁそうだなぁ。学校内歩くだけで疲れそうだな。
「ほら行こ?」
僕は頷いた。
ゼェゼエ僕ってこんなに体力なかったの…?やっと教室だ。今はもう放課後らしく明るい声が聞こえてくる。一つだけ気になったことがあった。
「沙穂さんその白いワンピース制服だったんですね…」
そういえば「懍婉ちゃん」って呼んでるの何故かすごい違和感があるんだけど…
「箛 深!!!!!」
急にしかも勢いで飛んできてビックリした…この子が懍婉…ちゃん…?
「懍婉ちゃん今ね箛 深くん記憶喪失なのだからみんなの名前がわからないみたい」
それを聞くと懍婉ちゃんは無表情でこっちに近づいてきた。
「ごめんね~☆箛 深借りてくわ~☆ ボゾッ行くぞ箛 深」
と言って連れてかれたのは学校裏だった。何!?何されるの!?さっき一瞬低音だったし!!(イケボとも言う)怖い。
「…ぼえ…ないの」
ボソボソ言っててよく聞こえない。
「もうめんどくせーの。お前の前では素で話すって決めたから関係ねぇもんな。覚えてねーのか?秘密を」
秘密と懍婉ちゃんに言われて引っかかる。なにか、なにかを忘れて…ハッ
「…懍婉。そうだ、懍婉は男だ…見た目が女でも本当は男……」
懍婉が深いため息をついた。
「やっと思い出したのか…ジジコン」
じっ…否定はしない…。というか
「記憶戻ったぁぁぁぁ!!」
冷たい視線を感じる。きっ…気のせいだな。
「戻ってんのか?じゃあお前好きな人は?」
もちろん!!…そう言われて思い出した。これ言わないと。
「懍婉、僕ら付き合ってる噂あるらしい…」
目を丸くしてから爆笑しだした。
「あははははwまじか。そんなんだったらさ、BLじゃん?あー笑えるー腹痛ぇ」
めっちゃ爆笑してる…珍しい。というか、僕の好きな人沙穂だし。あーあの起きたときの沙穂可愛いかったなぁ…。
「お前、心の声でてんぞw」
しまった。恥ずかしいっ!!
「僕お嫁に行けないっ!!(カワボ)」
え。、今の声まさか懍婉…可愛い。ってかめっちゃニヤニヤされてる。
「百面相草生えるんだけど。そろそろ戻ろうぜ。お前、沙穂のこと好きなのにまた変な噂たつぞ。」
そういえば…そうだったね
懍婉が校舎の方に向かいながら言った。
「沙穂可愛いから他の男子にとられるぞ。さっさと覚悟決めろや。」
…あーもうっ。じゃあ!!
「今から行く。」
もう行くしかない。宣言しちゃったし
「……フッ馬鹿じゃねぇの?まぁいいんだけどさ」
そう言ってまた校舎に向かって歩き出した。そして懍婉は
「頑張れよ。」
とだけ言って校舎内に入って行った。懍婉も応援してくれてるんだ…。
遠くから沙穂らしき人の声が聞こえる。
「み…ーん。菰深くーん。あっいたわ!!さっき懍婉ちゃんとすれ違ったのよ!!」
伝えなきゃ。タイミング良いのか悪いのか…。
「あのね沙穂、僕記憶戻ったんだよ。それで伝えたいことがありゅっ。」
まって、噛んだ。好きで噛むでしょ。普通。
「記憶…戻ったのね。よかったわ。でも伝えたいことって…?」
ぐぬぬぬ、決めたんだ今日言わないと次はない。宣言したしね。もう爺ちゃんもいないから助けを求められない。だから菰深、言うんだ自分で、本当のことを沙穂に話すんだ。
「………沙穂のことが好き。」
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