353 / 942
1年生3学期
3月22日(火)雨のち晴れ 方針と展望
しおりを挟む
通常授業は残り3日となる火曜日。文芸部としても3学期中に集まるのは今日が最後になる。最も新入生勧誘のための準備はまだ完了していないので、春休み中も部活には来る予定だ。
そんな今日は最初に冊子へ載せた小説の感想会が行わる。僕が書いた小説『明るい未来』の評価としては全体的に好評だったけど、一部の表現を難しく書き過ぎていたり、もう少し言葉が欲しかったりするところは改善点として挙げられた。
小説の雰囲気に合わせてかっこつけようとしたけど、伝わらなければ逆効果なのは肝に銘じておこうと思った。
それから文芸部全体では解散になって、僕と岸本さんと数人の先輩方が残って新入生勧誘について話し合っていく。
「それでポスターの件はどうなったんだ?」
水原先輩にそう聞かれたので、僕は岸本さんの方を見ると、岸本さんは頷いてから喋りだす。
「色々考えてきたんですけれど、デザイン的には前回の方向性で間違ってないと思ったので、もう少し絵を増やしてみようと思って」
「ほう。その絵は誰が描くんだ?」
「その……文芸部外にはなってしまうのですけど、わたしの友達に依頼したいと考えてます」
「へー 岸本ちゃんの友達にそういうの得意な子いたんだー 美術部の子ー?」
「いえ、部活には入っていません。でも、相談してみたら協力すると言ってくれたので」
それを聞いた森本先輩と水原先輩は興味あり気にその人物について岸本さんに聞いていく。その人物とは何を隠そう花園さんだ。昨日の誕生日会のお喋りの中で偶然その話題が出たところ、実は花園さんが漫画チックな絵を描けるという話に繋がった。
もちろん、僕はそれ自体が初耳で、岸本さんも実際に描いた絵はそれほど見る機会がなかったようだけど、その場でさらりと絵を描いて見せた。
『少女漫画の模写をして遊ぶことがあったので、キャラクターっぽい絵ならこの通り。逆に風景画等はさっぱりなのでそれを注文されると困りますが、本のような小道具くらいなら描けると思います』
それを見た僕が頼んで見るのはどうかとその場で岸本さんへ相談して、二人でお願いしたところ快く引き受けてくれた。
『報酬は今後おいおい請求します。特にリョウスケは潤沢に蓄えておいてください』
僕のお財布はどうなるかわからないけど、タダでやって貰おうとは思ってないし、実際これでポスターやチラシが大きく進展したのは非常にありがたい。
「なるほどな。その岸本の友達には感謝しよう。ポスターが進みそうなら次は新入生が見学に来た際のことを考えようか」
「僕らの時はシンプルな説明でしたけど……他に何かやる予定だったんですか?」
「……いや、正直なところ活動の中心は文化祭と学期末の冊子作製だと思ってたから、そこは入部してからと考えていたんだ。活発な文芸部なら大会へ参加したり、もっと高頻度で感想会やディベートをしているのだが……」
「まー うちは先代からそういう雰囲気じゃなくて、内々で創作して評価し合う感じだったからねー 来年度はおすすめ本のやつとかもっとやってもいいのかもー」
「岸本や産賀が良ければ、週の活動頻度を増やしてみるのもいいかもしれない。もちろん、私たちもなるべく参加するが、中心となるのは二人と……まだ見ぬ新入生になるからな」
その後も主に水原先輩が今年度中の反省を挙げながら色々なアイデアを提案してくれたので、僕と岸本さんはそれに質問や意見を出していった。
果たしてこの新しい試みが去年以上の成果に繋がるのか……結果が出るまでそれほど遠くない時期になってきた。
そんな今日は最初に冊子へ載せた小説の感想会が行わる。僕が書いた小説『明るい未来』の評価としては全体的に好評だったけど、一部の表現を難しく書き過ぎていたり、もう少し言葉が欲しかったりするところは改善点として挙げられた。
小説の雰囲気に合わせてかっこつけようとしたけど、伝わらなければ逆効果なのは肝に銘じておこうと思った。
それから文芸部全体では解散になって、僕と岸本さんと数人の先輩方が残って新入生勧誘について話し合っていく。
「それでポスターの件はどうなったんだ?」
水原先輩にそう聞かれたので、僕は岸本さんの方を見ると、岸本さんは頷いてから喋りだす。
「色々考えてきたんですけれど、デザイン的には前回の方向性で間違ってないと思ったので、もう少し絵を増やしてみようと思って」
「ほう。その絵は誰が描くんだ?」
「その……文芸部外にはなってしまうのですけど、わたしの友達に依頼したいと考えてます」
「へー 岸本ちゃんの友達にそういうの得意な子いたんだー 美術部の子ー?」
「いえ、部活には入っていません。でも、相談してみたら協力すると言ってくれたので」
それを聞いた森本先輩と水原先輩は興味あり気にその人物について岸本さんに聞いていく。その人物とは何を隠そう花園さんだ。昨日の誕生日会のお喋りの中で偶然その話題が出たところ、実は花園さんが漫画チックな絵を描けるという話に繋がった。
もちろん、僕はそれ自体が初耳で、岸本さんも実際に描いた絵はそれほど見る機会がなかったようだけど、その場でさらりと絵を描いて見せた。
『少女漫画の模写をして遊ぶことがあったので、キャラクターっぽい絵ならこの通り。逆に風景画等はさっぱりなのでそれを注文されると困りますが、本のような小道具くらいなら描けると思います』
それを見た僕が頼んで見るのはどうかとその場で岸本さんへ相談して、二人でお願いしたところ快く引き受けてくれた。
『報酬は今後おいおい請求します。特にリョウスケは潤沢に蓄えておいてください』
僕のお財布はどうなるかわからないけど、タダでやって貰おうとは思ってないし、実際これでポスターやチラシが大きく進展したのは非常にありがたい。
「なるほどな。その岸本の友達には感謝しよう。ポスターが進みそうなら次は新入生が見学に来た際のことを考えようか」
「僕らの時はシンプルな説明でしたけど……他に何かやる予定だったんですか?」
「……いや、正直なところ活動の中心は文化祭と学期末の冊子作製だと思ってたから、そこは入部してからと考えていたんだ。活発な文芸部なら大会へ参加したり、もっと高頻度で感想会やディベートをしているのだが……」
「まー うちは先代からそういう雰囲気じゃなくて、内々で創作して評価し合う感じだったからねー 来年度はおすすめ本のやつとかもっとやってもいいのかもー」
「岸本や産賀が良ければ、週の活動頻度を増やしてみるのもいいかもしれない。もちろん、私たちもなるべく参加するが、中心となるのは二人と……まだ見ぬ新入生になるからな」
その後も主に水原先輩が今年度中の反省を挙げながら色々なアイデアを提案してくれたので、僕と岸本さんはそれに質問や意見を出していった。
果たしてこの新しい試みが去年以上の成果に繋がるのか……結果が出るまでそれほど遠くない時期になってきた。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
黒に染まった華を摘む
馬場 蓮実
青春
夏の終わりに転校してきたのは、忘れられない初恋の相手だった——。
高須明希は、人生で“二番目”に好きになった相手——河西栞に密かに想いを寄せている。
「夏休み明けの初日。この席替えで、彼女との距離を縮めたい。話すきっかけがほしい——」
そんな願いを胸に登校したその朝、クラスに一人の転校生がやってくる。
彼女の名は、立石麻美。
昔の面影を残しながらも、まるで別人のような気配をまとう彼女は——明希にとって、忘れられない“初恋の人”だった。
この再会が、静かだった日常に波紋を広げていく。
その日の放課後。
明希は、"性の衝動"に溺れる自身の姿を、麻美に見られてしまう——。
塞がっていた何かが、ゆっくりと崩れはじめる。
そして鬱屈した青春は、想像もしていなかった熱と痛みを帯びて動き出す。
すべてに触れたとき、
明希は何を守り、何を選ぶのか。
光と影が交錯する、“遅れてきた”ひと夏の物語。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム
ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。
けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。
学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!?
大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。
真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。
彼女に振られた俺の転生先が高校生だった。それはいいけどなんで元カノ達まで居るんだろう。
遊。
青春
主人公、三澄悠太35才。
彼女にフラれ、現実にうんざりしていた彼は、事故にあって転生。
……した先はまるで俺がこうだったら良かったと思っていた世界を絵に書いたような学生時代。
でも何故か俺をフッた筈の元カノ達も居て!?
もう恋愛したくないリベンジ主人公❌そんな主人公がどこか気になる元カノ、他多数のドタバタラブコメディー!
ちょっとずつちょっとずつの更新になります!(主に土日。)
略称はフラれろう(色とりどりのラブコメに精一杯の呪いを添えて、、笑)
母の下着 タンスと洗濯籠の秘密
MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。
颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。
物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。
しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。
センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。
これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。
どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。
妹の仇 兄の復讐
MisakiNonagase
青春
神奈川県の海に近い住宅街。夏の終わりが、夕焼けに溶けていく季節だった。
僕、寺内勇人は高校三年生。妹の茜は高校一年生。父と母との四人暮らし。ごく普通の家庭で、僕と茜は、ブラコンやシスコンと騒がれるほどではないが、それなりに仲の良い兄妹だった。茜は少し内気で、真面目な顔をしているが、家族の前ではよく笑う。特に、幼馴染で僕の交際相手でもある佑香が来ると、姉のように慕って明るくなる。
その平穏が、ほんの些細な噂によって、静かに、しかし深く切り裂かれようとは、その時はまだ知らなかった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる