産賀良助の普変なる日常

ちゃんきぃ

文字の大きさ
528 / 942
2年生2学期

9月13日(火)晴れ時々曇り 後輩との日常・岸元日葵の場合その8

しおりを挟む
 2日連続で夏のような暑さになった火曜日。
 この日は先週引き延ばしになった部活対抗リレーの順番を決めることになったアンカー
 
「それじゃあ、順番を決めたいと思いまーす!」

 その取り決めの中心に立っているのは、部長の路ちゃんでも副部長の僕でもなく日葵さんだった。
 正直なところ、リレーに関しては何も言えることがないから、イベント好きな日葵さんに任せた方が良いと判断したのだ。

「まずは……1番走りたい人ー!」

「いや、そういう決め方なの……?」

「そういうとこ雑だよな」

 日葵さんの発言に伊月さんと桐山くんがツッコミを入れる。
 どうやら1年生の間でも日葵さんは常にこんな感じらしい。
 姫宮さんと共に2人を……いや、この場合はたぶん伊月さんを振り回しているのだろう。

「やっぱ自主性が大事かなって思って。勝手にアンカーとかやらされるの嫌でしょ?」

「それはそうなんだけど……産賀さんと路さんはあんまり走るの得意じゃないんですよね?」

 伊月さんにそう聞かれて僕と路ちゃんは「面目ない」と返した。
 5人の50メートル走のタイムで比べると、2人とも1年生に負けているのは既に知られていた。

「じゃあ、アンカーは俺かな。最後で捲る方がいいと思うし」

「おお。やけにやる気じゃん、桐山」

「ふっ。男にはやらねばならない時があるんだよ」

「そうなんだー 茉奈はどうする?」

「ちょっとは興味持てよ!?」

「はいはい。アンカー期待してるよ」

 桐山くんの発言を日葵さんは軽くあしらう。
 あんなに姫宮さんと話す時は緊張している桐山くんだけど、日葵さんの前だとかなり自然体で過ごせている。
 何とも上手くいかないものだなぁと僕は勝手に思った。

「わたしと日葵ならわたしの方が早いから最初にリードを広げるか、桐山に繋げるように後から捲るか……どっちにしてもまずは先輩方の順番を決めた方がいいかも」

「そ、そうだよね……やっぱりわたしが走る順番が一番重要だよね……」

「あっ!? ち、違うんです、路さん! 決してそういう意味で言ったわけじゃなくて!」

「もう、路センパイは気にし過ぎですよー 部活対抗リレーなんだから楽しくやりましょ?」

 その日葵さんの言葉に僕を含めた他の4人は「えっ?」と驚く。
 それに対して日葵さんはポカンとしていた。

「えっ? ひまり、変なこと言った?」

「先週、絶対優勝するって言ってたじゃない」

「そうだっけ? まぁ、それはその時のノリ的なものだから。最近は何でも優勝したもん勝ちみたいな感じだし」

「何だか頭痛が痛いみたいな言い方な気がするけど……」

「伊月、いちいちツッコんでたらキリないぞ。順番的にはそこそこ早い日葵が最初に走って、そこから徐々に早くしていくのがいいんじゃないか」

「いいじゃん、それ! 桐山の意見を採用で!」

 結局、話の中心だったはずの日葵さんはあまり役割を果たせず、伊月さんと桐山くんが作戦を考える結果になった。
 なんというか、今までも視界の端で見えていた関係性ではあったけど、こういう場面になるとそれがよりはっきりわかる。

 それはさておき、僕のリレーの順番は3番目になった。
 去年よりも早い出番になったけど、今年は他3人が早いから胸を借りるつもりで走らせて貰おう。

「良助くん……バトン渡す前にこけたらごめんね……」

 ……路ちゃんの走っているところを見たことがないからわからないけど、そんな露骨に何か起こることはないだろう……たぶん。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

オッサン齢50過ぎにしてダンジョンデビューする【なろう100万PV、カクヨム20万PV突破】

山親爺大将
ファンタジー
剣崎鉄也、4年前にダンジョンが現れた現代日本で暮らす53歳のおっさんだ。 失われた20年世代で職を転々とし今は介護職に就いている。 そんな彼が交通事故にあった。 ファンタジーの世界ならここで転生出来るのだろうが、現実はそんなに甘く無い。 「どうしたものかな」 入院先の個室のベッドの上で、俺は途方に暮れていた。 今回の事故で腕に怪我をしてしまい、元の仕事には戻れなかった。 たまたま保険で個室代も出るというので個室にしてもらったけど、たいして蓄えもなく、退院したらすぐにでも働かないとならない。 そんな俺は交通事故で死を覚悟した時にひとつ強烈に後悔をした事があった。 『こんな事ならダンジョンに潜っておけばよかった』 である。 50過ぎのオッサンが何を言ってると思うかもしれないが、その年代はちょうど中学生くらいにファンタジーが流行り、高校生くらいにRPGやライトノベルが流行った世代である。 ファンタジー系ヲタクの先駆者のような年代だ。 俺もそちら側の人間だった。 年齢で完全に諦めていたが、今回のことで自分がどれくらい未練があったか理解した。 「冒険者、いや、探索者っていうんだっけ、やってみるか」 これは体力も衰え、知力も怪しくなってきて、ついでに運にも見放されたオッサンが無い知恵絞ってなんとか探索者としてやっていく物語である。 注意事項 50過ぎのオッサンが子供ほどに歳の離れた女の子に惚れたり、悶々としたりするシーンが出てきます。 あらかじめご了承の上読み進めてください。 注意事項2 作者はメンタル豆腐なので、耐えられないと思った感想の場合はブロック、削除等をして見ないという行動を起こします。お気を悪くする方もおるかと思います。予め謝罪しておきます。 注意事項3 お話と表紙はなんの関係もありません。

帰国した王子の受難

ユウキ
恋愛
庶子である第二王子は、立場や情勢やら諸々を鑑みて早々に隣国へと無期限遊学に出た。そうして年月が経ち、そろそろ兄(第一王子)が立太子する頃かと、感慨深く想っていた頃に突然届いた帰還命令。 取り急ぎ舞い戻った祖国で見たのは、修羅場であった。

シシルナ島物語 少年薬師ノルド/ 荷運び人ノルド 蠱惑の魔剣

織部
ファンタジー
 ノルドは、古き風の島、正式名称シシルナ・アエリア・エルダで育った。母セラと二人きりで暮らし。  背は低く猫背で、隻眼で、両手は動くものの、左腕は上がらず、左足もほとんど動かない、生まれつき障害を抱えていた。  母セラもまた、頭に毒薬を浴びたような痣がある。彼女はスカーフで頭を覆い、人目を避けてひっそりと暮らしていた。  セラ親子がシシルナ島に渡ってきたのは、ノルドがわずか2歳の時だった。  彼の中で最も古い記憶。船のデッキで、母セラに抱かれながら、この新たな島がゆっくりと近づいてくるのを見つめた瞬間だ。  セラの腕の中で、ぽつりと一言、彼がつぶやく。 「セラ、ウミ」 「ええ、そうよ。海」 ノルドの成長譚と冒険譚の物語が開幕します! カクヨム様 小説家になろう様でも掲載しております。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

ママはヤンママ女子高生! ラン&ジュリー!!

オズ研究所《横須賀ストーリー紅白へ》
キャラ文芸
神崎ラン(♂)の父親の再婚相手は幼馴染みで女子高生の高原ジュリー(♀)だった。 ジュリーは金髪美少女だが、地元では『ワイルドビーナス』の異名を取る有名なヤンキーだった。 学校ではジュリーは、ランを使いっ走りにしていた。 当然のようにアゴで使われたが、ジュリーは十八歳になったら結婚する事を告白した。 同級生のジュリーが結婚するなんて信じられない。 ランは密かにジュリーの事を憧れていたので、失恋した気分だ。 そう言えば、昨夜、ランの父親も再婚すると言っていた。 まさかとは思ったが、ランはジュリーに結婚相手を聞くと、ランの父親だと判明した。  その夜、改めて父親とジュリーのふたりは結婚すると報告された。 こうしてジュリーとの同居が決まった。 しかもジュリーの母親、エリカも現われ、ランの家は騒然となった。  

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

あべこべな世界

廣瀬純七
ファンタジー
男女の立場が入れ替わったあべこべな世界で想像を越える不思議な日常を体験した健太の話

処理中です...