産賀良助の普変なる日常

ちゃんきぃ

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3年生夏休み

8月1日(火)晴れ後輩との日常・桐山宗太郎の場合その19

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 夏休み11日目の水の日。
 8月の初日は文芸部の活動から始まったけど、僕の創作の進捗はあまり捗っていなかった。
 さすがにお盆までにはテーマを固めて書き始めておきたいけど、こればかりは閃かないとどうしようもない。

「……あっ、産賀先輩。トイレっすか?」

「う、うん。そうだけど」

「じゃあ、俺も行きます」

「えっ」

 そんな中、桐山くんが今までになかったことを急に言い出す。
 いや、別に一緒にトイレに行くのは構わないんだけど、まるで僕が立ち上がるのを待っていたかのようなタイミングだったので少々驚いてしまった。
 共に一番近くの男子トイレに入って用を足していると、桐山くんはおもむろに口を開く。

「産賀先輩……人生相談していいっすか」

「急にどうしたの!?」

「いや、なんつーか……今までになかったことが起こってまして」

 僕にとってはまさしく今この状況なんだけど、わざわざ部室から席を外して話したいことなら、本当に重大なことなのだろう。
 頼られたからには答えられる範囲で対応してあげたい。

「僕で良ければ聞くよ」

「ありがとうございます。実は……この部活が終わった午後から日葵の買い物に付いて行くことになったんすけど……」

「おおっ!?」

「うん? なんでちょっと嬉しそうなんすか?」

「あっ、いや……楽しそうだなと思って」

 日葵さんからついにアクションを起こしたとわかって露骨に反応してしまった。
 でも、桐山くんの言い方からして日葵さんの好意にはまだ気付いてない感じがする。

「楽しそう……とは限らないんすよ」

「えっ、どうして……?」

「だって、急に2人で買い物行くなんて言い出すのは、何か意図がある感じするじゃないっすか」

「そ、そうだね」

「そうなると、日葵が俺を付いて来させる理由って……」

「…………」

「高い壺でも買わせられるんじゃないかと」

「……は?」

「さすがに壺はないすっかね?」

 その時点では用は足し終わっていたけど、僕はあまりの発言にその場から動けなかった。

「き、桐山くんは日葵さんがそんなことする人だと思ってるの!?」

「いや、そういうわけじゃないっすけど……」

「それで誘われた時、なんかこう……もっと楽しそうな空気感出してなかった!?」

「まぁ、日葵の方は楽しそうだったかもしれないっすね。買い物行くわけだし」

「く、くぅ……」

「産賀先輩、つまり何が言いたいんすか?」

「……桐山くんが心配するようなことはないと思う、と言いたい」

「そうっすか。良かったぁ~」

 色々言いたいことが喉元まで出ていたけど、それを僕が言うのは違うと思って何とか我慢した。

「あと、もう一つ相談があって」

「な、なに?」

「……女子と2人で出かける時、気を付けるべきことってあるっすか?」

「えっ?」

「その……俺、そういう機会全然なかったので」

「…………」

 ただ、2つ目の相談の時にちょっと照れた感じに見えたのは……何もないわけではないと信じたい。
 だいぶ日葵さん寄りで考えてしまったけど、桐山くんには僕の反応など気にせず我が道を進んで欲しい。
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