捨てる子あれば拾う男あり

ごろごろロック

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十●歳の僕とゆーくん

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「なぁ和輝って彼女作んねーの?」
放課後の帰り道に友達の彰から不意に言われて首を傾げていた。
「興味ない」
むしろ皆が彼女を欲しがる理由がわからなかった。
「興味ないかー。そうかもな、お前女っぽいし」
「馬鹿言ってろ。どう見ても男だよ僕は」
剣道で鍛えた身体は伊達じゃない。どこもかしこも引き締まって……細い細すぎる。筋肉が殆どつかない。
もっとも身長も伸び悩んでいるのだが。百七十センチは欲しいところだ。まだ十センチ足りない。きっと成長期が来ていないからだと思いたい。
確かに女の子には言い寄られるが、とてもではないが好きになれない。
「でもさ、お前男にも告白されたじゃん」
「断ってる。僕には目標があるから」
「あーはいはい。何度も聞いてるよ。
難関高校大学合格して、親父さんと同じ会社に入るんだろ?」
「同じじゃなくても同格のとこ」
「お前の親父さんが勤めてるとこ、むちゃくちゃデカいとこじゃん。そこの本社の専務なんだろ?
エリート過ぎる」
「雅也さんの面倒を見るんだから、雅也さん以上に稼がないと」
「大きな目標立てすぎると挫折したとき辛いぞー」
「……挫折するのも良いみたいなんだよね、雅也さん」
理想を語った後で、雅也さんはニッコリと笑って『高校に落ちても、企業に入れなくても、私が和輝の一生を見てあげるから気負わなくて良いよ? お家で引き籠もっても構わない』とか、平然というのだ。
自立心とか、プライドとか、そういうの大事にさせて。
高校くらい大丈夫だよ!
「相変わらずお前に甘いよな」
彰はそう言って笑う。確かに甘いけど。
僕は歩きで自宅へ、今日の夕飯は何を作ろうかと考えながら歩く。
今日は定時上がりって言ってたし、手早く済ませられるのにしよう。

「和輝、和輝……!」
ずぷっ、ずぷっと雅也さんのペニスが僕の中を突き上げる。相変わらず大きくて太い。
俺はその雅也さんの専用。
仕事から帰ってきて、食事をして少し落ち着いたら大体行為へ流れ込む。毎日じゃないけど。
家の中でしてないところは無いんじゃないかってくらいどこも思い出がある。あ、ベランダは見えちゃうからしてなかったか。
大切に、それでも激しいときもある雅也さん。
今もリビングにうつ伏せの僕に伸し掛かって、身体は固定されてる。膝が床と擦れて痛いんだけど、中が気持ち良いし雅也さんが望むんだからいいや。
終えると二人でお風呂に入って雅也さんの寝室で一緒に寝る。エッチな事をしなくても寝るのは同じ。それが僕の日常。
僕の部屋もあるんだけど、教科書とか着替えとか置いてあるだけ。着替えは雅也さんの寝室にもある。……なんでだろ?


気持ち良くて大好きな雅也さんのペニスがどれ程有り難いのか、僕は半年前に知った。
自分と雅也さんの関係はおかしいのは気づいていた。深く聞くと多分今の関係が壊れてしまうだろう。
そして普通のゲイセックスにも興味が湧いた。
他の人はどうやってしてるのか。雅也さんは忙しくて、最近ちょっと欲求不満だったのもある。
たまたま知ったSNSの出会い系で、吟味に吟味して、選んだのはちょっと雅也さんに似ている人だったのは仕方ない。

待ち合わせは二つ隣の駅のロータリー。ここは人が多いけど、同級生とかは来ることもない。
今日は試験明けで学校がないのと、雅也さんは海外出張だ。三日で帰ってくるらしいけど、良くあるので一人で留守番は慣れている。
だから、この日にしたんだけど、昼からってわりと難しいらしくて休んでくれるっていう優しい人と会うことにした。
「君がアヤセくん? 遅れてごめんね」
五分遅れて、そう声を掛けてきてくれたのは、三十代半ばという『ランクル好きなゆーくん』さん。ランクルってなんだろうと思ったら車だった。
「はい。ゆーくんさん」
「あはは、ゆーくんで良いよ。
てか、マジでアヤセくん、仕込みとかじゃなくて?」
「仕込み?」
「……いや、いい。マジかー。……めちゃ可愛い」
ニンマリ笑うその目はあんまり好きじゃないけど、明るそうで良かった。可愛いと褒めてくれるけど、カッコイイ方が嬉しいな。
写真よりちょっと太ってるけど、目元は雅也さんに似てる。着てるものはスーツ。
ちなみにハンドルネームの『アヤセ』は適当につけた。
「宜しくお願いします」
「えっと、初めてなんだっけ、こういうの」
「はい。会ってもらえて良かったです」
「うわー……これ、本当に美人局じゃないよなぁ?」
キョロキョロするゆーくん。や、やっぱり僕なんかじゃ駄目だったのかな。
あのサイトって、可愛い子と出会ってご飯したり遊ぶ為のだったから。エッチな事も頼めばしてくれるらしいって言うし。可愛い子としたかったのかも知れないけど、顔写真は口しか送って無かったから、期待と違ったのかも。
「僕がそのえっちなーー」
「ストップ。そういうこと沢山人がいるとこで言っちゃ駄目。
ともかく行こうか」
肩を抱かれて少しぞわりとしたけれど、促されて歩き出す。
「ご飯食べた?」
「はい。まーくんは食べました?」
「俺は良いかな。そんじゃこのまま……行っていい?」
「はい」
ドキドキするのは仕方ないよね。だって雅也さん以外とだもん。
セックスするのが好きというよりも、当たり前だと思うけど雅也さんが疲れている時に強請れない。だって仕事で忙しいのは、僕のためでもあるのだから。
だけどそうしてると身体がモヤモヤするし、どうして良いのかわからない。勃った時には雅也さんがしてくれるけど、最近は勃ってないのにお尻が疼いて堪らない。
自分じゃ気持良くならないし。
そういうのしてくれる人がいるなら頼ろうと思ったんだけど、同年代じゃ聞くのも恥ずかしい。
『え? お前そんなのも知らないのかよ?』
とか言われるかも知れない。
そんな時に聞いた出会い系ってのに頼ることにした。
ゆーくんは何十回か話をして、優しいのもわかったし、今日は仕事を休んで、結構都内住みなのにここまで来てくれた。
ゆーくんが70kで良いかな?と言ってたけど、僕の体重は53キロくらいだから、53kですと答えておいた。
そんなに太ってないよ、僕。
雅也さんと行くホテルは大体高層だったり山の中の大きなとこで、これから入るのとはかなり違うので新鮮だ。
入ってベッドしかない。
うわぁ……ドキドキするな……。
ベッドに座らされるとそっとキスをされた。
ちょっと臭いけど、ミントとかで誤魔化してる感じ。
「本当に可愛いね、アヤセくん。
経験あるって聞いたけど、怖くない?」
「怖くないです。えっと、経験は……それなりにあります」
週に二回は雅也さんとしてる。
「そう。んじゃ最後までして良いよね?」
「最後まで?」
「エッチなことを最後までってこと」
「はい」
そんなの当たり前じゃないか。その為に会いに来たんだから。
「俺はお風呂に入ってきたけど、アヤセくんは?」
「臭いですか?」
「あ、いや、用意とかさ」
「大丈夫です」
それはちゃんとしてきた。雅也さんが用意もしてくれる様になっていたけど、この頃は忙しい雅也さんの為に準備しておく。自分でやってるのは、少しでも長く雅也さんに抱いて欲しいから。この頃は用意しても空振りだけど。
ともかくそれが役に立って良かった。
「本当に経験あるんだね……」
ちょっと残念そうに言うのはなんでだろう?
「こんな可愛い子、俺なら手放さないけど」
「……ありがとうございます」
雅也さんは僕を嫌いなんかじゃない。手放してなんていないのに。ちょっとむっとしたけど我慢だ。
「何歳の時に最初にしたの?」
手が伸びてくると、シャツをはだけさせて大きな手で胸に触ってくるゆーくん。
「言わなきゃ駄目ですか……?」
「いやっ、言わなくて良いよ! 君みたいな可愛い子とかお店でしか見たことなくて」
僕みたいなのがいるお店? まだ働ける年じゃないはずなんだけど。
「店の子は歳はハタチからだけど。でもさ、そうすると俺の好みから外れちゃうんだよ。
アヤセくんくらいの歳が好きなんだ。
ま、アヤセくんなら年取っても大歓迎だけど」
年齢で年取ったら嫌いになることもあるのか。
雅也さんもそうなのかな。僕が年を取ってきたから嫌いになってセックスしてくれなくなったのかも。
少し黙ってしまった僕に、ゆーくんは慌てて言葉を続ける。
「今のアヤセくんも可愛いよ!
今より小さい時も可愛かっただろうけど、今のアヤセくんも最高!」
励ますように言いながら、ゆーくんは僕に覆いかぶさる。
や、やっぱりちょっと怖いな。でも、これも『普通』を学ぶためと、雅也さんが居なくて物足りないからだ。
胸や僕のペニスを刺激してくれるゆーくん。物足りなさでもじもじと太腿を擦り合わせると、それに気づかれて足を開かされた。
「へぇ、本当に経験あるんだな」
ローションを垂らされ、アナルの中へと指を入れてくる。
そこじゃないよぅ、もっと上っ。
「ああトロトロしてる……。アヤセくん、挿れるね?」
ゴムをつけて、ゆーくんが僕の腰を支える。雅也さんのよりも小さいんだな……。なんか嫌かも。
それがずぷんと一気に挿入された。
雅也さんと違って細いから痛くないし、なんか体臭とかペニスが気持ち悪い。
「キツくて、絡んでくるっ、くそっ、くそっ!」
腰を動かして、僕の中を乱暴に突き上げてくる。
違うよぅ、そこじゃないし、奥に来ない!
全然気持ち良くならない。雅也さんのなら見ただけで欲しくなるし、僕のペニスだって勃つのに。
「出る、出るっ、出すからね、アヤセくんっ!」
なんか煩い。
ゆーくんは一度出したけど足りないみたいで、もう一度だけ僕の中で果てた。
「気持ち良すぎて空イキしちゃった?
ゴメンね。俺も気持ちよかったよ。
アヤセくんのオマンコ最高だね」
……違うよゆーくん。全然気持ち良くなくて、出なかったんだよ。気持ちのいいとこ突いてくれないし、いいトコに届かないしゆっくりだった。
これが普通なの?
しかも二回でいいの?
お風呂に入ってさっぱりすると、ゆーくんは真剣な顔だった。
「こんなに気持ち良かったの初めてだった。
また会いたいなアヤセくんと。
あ、これ。3kって言ってたけど、10kでも足りないくらい最高だった」
いそいそとお財布から一万円札十枚を出して、僕に握らせた。
「これくらいアヤセくんなら当然だからね?
3kなんて言っちゃ駄目だよ」
もしかして35kとか80kってお金のこと!?
「でも僕っ……」
お金を貰うためにセックスしたんじゃないんだよ。
「良いから。
はーっ……、こんなに可愛い子となんてマジ美人局とか思ったけど、セックス最高だし。こんなんじゃ足りない気がする。
しかもこんなビジホとか最低だわ俺。
次はもっと持ってくるから。
……一緒にご飯食べていちゃいちゃしようね」
ちゅっと頬にキスをされたけど……うん、ゆーくんはもう会わなくて良いかな。
だって全然気持ち良くさせてくれなくて、独り善がりだし、体力ないし。
でもそれを口にするのは失礼だよね。
「ありがとうゆーくん。次があったら宜しくね」
多分ないと思うけど。

      
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