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第3話:ドキドキ初デート(5)

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教頭先生から突然言い渡された『ポスター貼り』の仕事だったが、
まさか西森と学校で2人きりになれるチャンスを与えてくれるとは・・・。

「先生、
こんなところで何やってるんですか?」

西森にそう聞かれ、
「何って、ポスター貼り・・・」
と答えると、
「ポスター貼り?それも一人で?
それって、何か悪いことでもやらかして、
罰として作業させられているわけですか?」
と、疑いの目でおれを見てくる。

「いやいや!別に罰じゃないから!」

「否定しても、
どう見たって罰を受けているようにしか見えませんよ」

ああっ、もう!

なんでいつもいつも、
こんな『かっこ悪い場面』ばっかり西森に見られるんだよ!

これじゃ、ますますおれの株が落ちるだけじゃん!

いろんなことが重なってガックリしていると、ふいに西森が、
「手伝いますよ」
と言って、床に置いていたセロテープを手に取り、スクッと立ち上がった。

「え?」

「塾までまだ時間がありますし、
それに・・・」

西森は少しためらってから、
「こんな時じゃないと、先生と話もできないでしょ?」
と、照れた顔でおれを見ながら言った。

急にかわいい表情を見せられたおれは、
またもや胸をズッキューンと撃ち抜かれ、その場に倒れそうになった。

なんだよ、西森!
さっきまで、ツンツンしておれのこと突き放していたくせに、今度は急にかわいく近寄って来るなんて、どれだけ小悪魔なんだよ!

「に・・・西森・・・」

幸せすぎて泣きそうになっているおれに西森は、
「ほら!
壁の方向いて、ポスター貼ってください!
他の生徒達が通っても、怪しまれないように、しっかり仕事してください!」
と、キビキビと指示を出す。

「ハイ!」

西森に言われた通り、おれは再びポスターを貼り始める。

おれがポスターを壁に貼ろうとすると、
西森が横から画びょうやセロテープを渡してくれるので、
一人の時より作業効率が断然良くなった。

たまに横を生徒達が通っていくが、
おれと西森のことを怪しむ人は誰もいない。

一部、おれが西森に説教されながらポスターを貼っている、と思った生徒もいたようだが。

そんなこんなでポスターを貼っていき、
とうとう最後の場所である西校舎の4階までやって来た。

この階は資料室や会議室で占められているので、人通りも少ない。

西森をプラネタリウムに誘うなら、今この場所しかない、とおれは思った。

「西森・・・、その・・・
この前は勉強中に邪魔なメールしてゴメン・・・」

とりあえず、
この前の謝罪から始めようと西森に声をかけた。

すると西森も、
「あれは、私もイライラしていて、
つい先生に怒りをぶつけてしまって、すいませんでした」
と謝ってくる。

久しぶりの2人きりの時間。

お互い、心臓の音がドキンドキンと高鳴っていく。

最後の1枚のポスターを貼る時、おれと西森の手が軽く触れた。

おれは思わず西森の手をつかんで、
「西森、今度の日曜、2人で出かけないか?」
と切り出した。

「え?出かける?」

おれからの突然の提案に西森は、驚いた顔を見せる。

「大学時代の友人に誘われて、
プラネタリウムを見に行くことになったんだけど、もし西森の都合がよかったら、一緒に行きたいんだ」
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