SUN×SUN!

楠こずえ

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第4話:魔法の杖と呪文(その5)

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放課後、
ひまわりはあわてて家に一度帰ってきた。

今から魔法の薬草である「マンドレイク」を
探しに行くわけだが、
なにが起こるか分からない。

その時、少しでも魔法の力を借りることができれば、
ピンチに陥った時、皆を助けることができるかもしれない。

そう思ったら何もしないよりは、
朝見た夢のお告げを信じてみようかと思ったのだ。

「ええと・・・夢では、
書庫に古い本があるって言ってたけど・・・」

ひまわりの家で「書庫」といえば、
地下にある大きな書庫になる。
何千冊と占いに関する本などが保管されていて、
ちょっとした図書館のようであるが、
暗くてカビ臭いので、
ひまわりはめったに近づかない場所だ。

木製のドアをキーッと開けると、
例のカビ臭い匂いがツーンと鼻に入ってきた。

パチンと明かりを点ける。

たくさんの書物がずら~っと目に飛び込んできた。

太陽達との待ち合わせ時間に間に合うには
あと15分ほどしかない。
それまでに何とか本を見つけ出さなくてはならないが、
大量の本を目の前にしては、
どこをどう探せばいいのかも分からず
すでに途方に暮れてしまったような状態だ。

「一応・・・
魔法の杖も持ってきてみましたけど・・・」

ちらっと杖を見てみたが、
どこも変わった様子はない。

「杖が反応して見つけ出してくれるわけでもないんですね・・・」

「ハア・・・」と大きなため息を1つついたが、
そんなヒマもないので、
とりあえずそれらしき本を探し始めた。

5分、10分・・・と、あっという間に時間は過ぎ、
家を出る時間が押し迫ってくる。
手当たり次第引っ張り出した本が
床に散乱していて、
その真ん中でひまわりはヨロヨロと座り込んだ。

「だめ・・・全然見つからない・・・」

悲しくなった。

やっぱりあの夢はただの「夢」で、
この書庫に魔法の杖の使い方の本なんかあるわけがない。
もしあったとしても、
それを見つけ出せるほどの力が
自分には無いのだ。

約束の時間が迫るので、
ひまわりは少し涙を目に潤ませながら、
「あきらめましょう・・・、
やっぱり私にはこの杖を使うだけの資格がないんです・・・」
と立ち上がった。

その時だ。

杖が突然パアッと光りだした。

「!?」

あまりのまぶしさに目を閉じたひまわりだったが、
そっと目を開けてみると、
自分とまっすぐ直線でつながる本棚に
黄金色に輝いている本が一冊見えた。

「え!本が光ってます!?」

あわててその本を棚から引っ張り出し、
表紙を見てみる。

が、表紙に書かれている文字は
今まで見たことがないような言語で、
全く読めない。

「え、何これ?
せっかく見つけたのに、読めなかったら全く意味無いですよ・・・」

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