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あー、私は死んだのか。まあ仕方ないか。

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いつも読んでいたラノベのように、私は死んでここに来た。享年48歳。年齢イコール彼氏なしイコール結婚していなかった、私の人生。
でも、私は恋愛にまるっきり興味がなかったので、別に恋愛しなくても結婚しなくても、自分が楽しく生きてきたから別に悔いはない。
親はうるさかったけど、さすがに40歳になった頃には何も言わなくなったかなぁ。ありがたかったけど。

自分のやりたいことやって、好きなことだけして、その為だけに仕事するのは苦ではなかったし、毎日何もやる事なんか決めずにのほほんと生きてる自分。

とても自由で、満足してた。

でも、好きな事をするって事は、不摂生にもなるわけで。

そんな私は、まだまだ長くあるであろう人生に、早々に幕を閉じる事になってしまったらしい。

糖尿とかはなかったけど、血圧高かったもんなー。太ってもいたし。それでも体重70キロに届かずに死んだ自分を褒める事にしよう!




…と、今まさに真っ白な空間で呑気に座り込んでる自分を分析して、なにやら慰めにもならない謎フォローを自分で入れ。


あー…さすがに好きなものだけ毎日食ってたら、そりゃー不摂生になるわなー。早死にも仕方ないかぁ。
さっさと三途の川渡って、次行こか、次。


そう思って立ち上がった私の前に、眩いピンクの光が立ち塞がった。


そう、ピンクの光だったそれは、まさに

立ち塞がっていたのだ。ピンクの光だけど。


「は?」


思わず間抜けな声が出る。でもその光は、右へ避けても左へ避けても、その光は逃げ道を塞ぐように立ち塞がった。

初めはただの光だったそれは、攻防をするうちに人型になった。人型になったその光にだんだんイラついてきた私は、その光が物理的に出来るかわからなくても構わないから、とりあえずぶん殴ってみることにした。

拳を振り上げてーー…



《ああ、お待ちなさい!あなたに新たな生を与えようと、わたくしはここへ来たのです!》#__・__#


その言葉と共に現れたのは、赤を主体とした衣装に身を包み、やたらめったらハートマークのある金銀の刺繍のそれらを身に纏った、毛先がピンクで淡い金髪で、目の中にハートの光を携えた、漫画の中にしかいないような美しい女性だった。
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