上 下
9 / 49

攻略対象3枚様、決定。

しおりを挟む




というわけで、あらためて攻略対象を私は決める事になったのだが。

なんせ、設定資料を600枚近くも作った女神様だから、アレやこれやと勧めてくる。


《このキャラは、ヤンデレなんですけど甘えん坊要素があって…》

《こっちのキャラはオネエ系なんですけど、好きな異性に対してだけは、男らしくて。》

《で、ですね、こちらは…》


よくもまぁ、こんだけキャラクターを作ったもんだと感心する。私の世界にこの人がいたら、かなりの神的な作家系の人になってたのではないかと思う。絵が描けたら、文章が書けたら、いやそれがなくてもコレだけのキャラクターの案があるなら、それだけではなくていろんな引き出しを持った、何かで成功しそう。それは私が多少絵が描けた程度という自分の立ち位置からでも想像できるというもので。


だがしかし、とりあえず。


600枚近くもあるキャラクター全部の説明は受けててもクッソ面倒くさいので、私は適当に紙の中からペイ、ペイ、ペイっと3枚引っ張り出した。


「女神様の作ったキャラクターはそれぞれ面白いのですが、全部聞いてられないのでこの3人からお願いします。」


《えええ?そんな簡単に決めていいのですか?ゲームとはいえ、貴女に真実の愛をくれるキャラクターですよ?》


「大丈夫ですよ。どのキャラクターも、女神様が心を込めて作り上げた自信あるキャラクターなんですよね?むしろこのほうが、自然に恋愛になるかもしれませんし。」


そうでしょう?と笑ってみせると、女神様は満足したように笑顔を返してきた。自身の作ったキャラクターが、褒められた事にご満悦のようだ。




《ええ、ええ!もちろんですとも!わたくしの作ったキャラクターは、どの子を選んでいただいても、何処に出しても恥ずかしくない、魅力あるキャラクターですもの!必ずやリコさんにも気に入っていただけると、わたくしには揺るぎない自信がございます!》



…ふっふ…

と、私は心の中で勝ち誇った笑いをする。




ふふん、少しだけ満足。


なので、女神様の作ったキャラクターの設定資料に改めて目を通してみる。まずは1人目。




ー リュウ・シュヴァルツ ー
学園理事長の孫にして、暗殺科二年生。暗殺科に在籍しているが、人懐こい犬の様に付き合いやすい性格。その性格を武器に人当たり良く付き合えるが、敵とみなしたものには容赦がない。ヒロインに対しては気のいい先輩。
髪色 黒
瞳色 藍色


2人目。

ー コウ・レイヴン ー
平民だが、学歴において常にトップ。薬学科三年生。人付き合いは苦手で、過去に薬学の実験で片目を負傷していて、常に眼帯。心を許す相手はこれまでいない。ヒロインに対しては出来の悪い変わった後輩扱い。
髪色 黒だが、光の加減で紫色に見える 
瞳色 負傷した右目は白。もう片方は淡い藤色。




3人目。
ー サクラ・シャインスカイ ー
シャインスカイ王国の第一王子。騎士科二年生。社交性はあるが、常に狙われる立場にあるため、本音で人と接する事はできない。ヒロインに対しては王子様立場。
髪色 淡いミルクティー色
瞳色 ローズピンク




ほうほうほう。

なかなかに、なかなかなキャラクター達で。
コレで、私が適当に決めたキャラクターなんだから、なかなか悪くはなかろうもんとふむふむする私。



「流石に女神様の作ったキャラクター達ですね。私の好み?というか、使いやすそうなキャラクターで、面白いです。」




《まあ!リコさんが気に入っていただけたキャラクターならば、本当に真実の愛を、リコさんとそのキャラクターで、できるかもしれませんね!気に入っていただけるキャラクターがいた事、本当に嬉しく思いますわ!》



私の言葉にいたく喜んだ女神様は、豊満なお胸をぶるんぶるんさせながら、私の目の前で楽しそうにステップを踏んでいらっしゃいます。

まあとりあえず、このキャラクター達がどんな風に動くのかは女神様の作ったゲーム世界ででしかわからない事なので、それについては腹を括るしかなくてですね。…どうなるかが想像できないから、今からバクバクと心臓が(死んでるけど)死にそうなくらいには緊張しております。ハイ。


うううう、そろそろ色々と面倒くさいこの女神様のゲームに入れられる時が近づいて来たのだと、嫌な実感が湧いて来て、憂鬱にしかならないよ…。


あ、ちなみにゲームタイトルなんか別にいらないかもだけど、女神様と話し合った結果、タイトルは。




『シャイニングガーデン~光の庭から、貴方へ~』




に、なりました。女神様の考えるタイトルったらもう、本当になんというか。


ちなみに女神様の考えていた次代候補の題名は、

『アナタのハートにバッキューン♡撃ち抜いちゃうぞ!だから受け止めてね?この想い!』

だったんですよ。あり得ないから私がなんとなく、それっぽく?もなんとか考えたものになりました。


どうしたらいいですかね?この女神様…。ハハハ。






しおりを挟む

処理中です...