よわむしエレンの物語 あらくれ王子

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第1話

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よわむしエレンの物語 あらくれ王子
その1

水の魔剣士を討伐してから2ヶ月が経った。
あの騎士学校では今日も実戦の授業を行うために生徒たちは、
学校の中庭に集まっていた。
円を囲むように彼らは集まり、その中心に2人の生徒が向かい合わせで立っていた。
1人はいたって普通の生徒で、もう1人は少女のような見た目の
小柄な少年だった。
それぞれが教師に渡された木刀を構えたところで先生は、時計を取り出して
手をあげた。
「初め‼︎」
その言葉に2人は反応したが、一瞬だけ早かったのは
その小柄な少年「“エレン・サミュエル”だった。
相手はそれにすぐに気づきガードをした、のけぞることはなく
すぐに押し返したが、体勢を保ちまた素早く振り上げた、相手の方もいくらガード
使用がエレンの素早い連続攻撃のはとても敵わなかった。
次第に相手の方も何度も打ちつける剣撃に体力を奪われて一瞬気が緩んだ
エレンはそこを見抜き、相手の木刀の隙間を潜り。
“赤ちゃんに手を添えるように”木刀を相手の頭にトンっと置いた。
「一本」とエレンは一言添え、木刀を上げて脇に挟んだ。
周りの生徒は何も声を上げなかったけど結果はわかってた。
先生は手を上げて
「そこまで‼︎」と言った。
エレンは相手の生徒に近づいて手を差し伸べた。
相手もそれに応えるようにその手を握った。
「エレンなんだが前とは違ってきたよね」
生徒たちの中に入っていたルーシーは言った
「そうだね、なんか最近実戦での勝ちが多くなったね」
そんなことを生徒たちは彼に聞こえないように話していた。
その輪の中に戻ろうとエレンは歩いたが、しかし何も石も段差もないところで転び
ちょっと涙目になって「痛いー」と呟いていた。
それを見て。
「でもやっぱりエレンはエレンだね」といつもの彼に全員安心をした。
教師のランクリーもふぅっと息をついて木刀を中庭の外にある倉庫へ
戻しに行った。
倉庫の中の空タルに木刀をぶっ込んで、パンパンっと手を打ちそのまま帰ろうと
した所。
出入り口のドアを開けた所、上司のフッドと出会い頭になった。
「‼︎隊長‼︎すみません‼︎」
「おおっとランクリー、悪いな、お前を探してたんだ」と
先に謝って言った。
「ええ、なんでしょうか?」と質問をしたらフッドは彼に言った…



「…わかりました」とランクリーはすぐに校舎へと戻った。
それとは別に校舎の廊下でエレン、ドルッグス、ルーシーが並んで歩いていた。
「エレン、今日も勝っちゃってね。」
「ちょっと本気でやりすぎたけどね…」と苦笑いするエレンにドルッグスは肩を
回して言った。
「しかしよぉ、エレンお前なんで飛び級しなかったんだ?
水の魔剣士を倒したのによ」
その言葉に対してエレンは
「僕は地道にやっていきたいんからそれに…」と続けて言おうとした所だった。
「おい」と後ろから呼び止められた。
3人はそっちに振り向いたら、フッドがそこにいた。
「フッド先生」
「ああフッド、なんの様だ」と呼び捨てするドルッグスには気を止めず
「エレン、ドルッグス、ルーシー3人とも私の部屋に来なさい」と
自室へと連れていた。
机に座っているフッドの前には3人がそれぞれ並んで立っていた、
その後ろにはランクリーがいる。
「えっと…先生何かご用でしょうか?」とエレンはフッドに聞いた。
するとフッドはこういった。
「騎士学校宛に依頼が来た、その主は公爵の“アルフォース”様からだ」
「え⁉︎、公爵ぅ!と言うことは貴族か‼︎」と周りに響く様に驚く
ドルッグスに後ろのランクリーは
「こらドルッグス!声が大きいぞ!」注意をした。
「まあ驚くのもしょうがない、普段はこの近くの町からの依頼ばかりだからな…
正直私も目を疑ったよ」と静かにフッドは言う。
するとルーシーは彼に質問をした。
「先生、そのことよりも私たちが呼ばれたのは理由があるのですか?」
するとフッドはこう言った。
「そうだ、この任務に我が校の生徒も参加させることにした推薦としてお前たちを選んだ理由を言おう…」ドルッグス以外2人はきゅっと姿勢を引き締めた。
「まずはルーシーとドルッグスの推薦理由は実戦での強さを買ってだ、
実力は上級生すら敵わないくらいだからだそしてエレン。」
「はい」
「力こそないものの他生徒と比べて
知識も豊富で頭の回転も早い、2人をまとめる役としては
役に立つだろう」
ということにドルッグスは不満をたらした。
「ええー、俺はエレンの言うことを聞けって言うのかよぉー」
「こらドルッグス、エレン任せたよ」とルーシーはエレンの肩をポンっと
叩いた。
「は…はい!」と緊張しながら返事をする。
「そして依頼内容だがある“荒くれ者”を生けどりにしろと」
「ああ?その辺のチンピラなら俺らなら余裕だぜ」と
自信満々に言うドルッグスに対してフッドは言った。
「ドルッグス、口を慎め、その荒くれの名は“セオー”
すぐにでも見つけるために出発をするぞ」
と立ち上がり壁にかけてある剣を取った、そしてエレン達は
隊長フッドのもとで荒くれ者セオーの捕縛のために遠くの街まで
向かった。
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